日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

この秋、デジタル経済を考えるための必読の書籍2点:『ビックデータ探偵団』、『AI時代の労働の哲学』

まだ読み始めてもいない新刊のご紹介。すでに読み終えている人もいるだろうけど、自分はまだこれから。

ITの社会実装が現実になってきて、そこから生み出されるビッグデータで何が分かるのか、一方、そのビッグデータを燃料に人間知の不可能を可能にするAI、その両者について書かれた2冊の本。

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ビッグデータ探偵団」は安宅さんが率いるYahoo!ビッグデータレポートチームが書いたビッグデータで何が分かるのかがいろいろ書いてある。データ分析の力がどういうものか教えてくれるだろう。そして単にここに書いてあることを読んでなるほどと思うもいいが、できたら探偵団の1人になってその先を考えるようにしたい。

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稲葉さんの一冊は、これからの時代を考えるためのこれまた大切な問題となる労働ついての書籍。AI時代の労働の問題・・・そもそも労働とは何なのか・・・デジタル経済の成長のエンジンとなる、データとは果たして労働に代替するものなのか、あるいは製造業の資本ストックに代わるものか、自分でもよく分からないが、このあたりの議論を考えるときに参考になるのではと思う。

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2冊ともこの秋に読破したい本だ。

これまでの製造業の時代の視点で読むか、これから到来するであろうデジタル経済を想像しながら読むか。どちらにしろ議論は始まったばかりで、これからの経済社会がどのように変化していくのか、それを考え始めるのに絶好の2冊ではないかと期待ている。

 

骨伝導コードレスヘッドホンで劇的に変わった僕の音楽視聴

ワイヤレスかつ骨伝導で聴くことの安全性、利便性を感じる今日この頃、音楽を聴く機会が劇的に増えた自分に気づく。これってデジタル化がさらに市場を成長させる機会になるのではないの?と思い、そのあたりを調べてみようと・・・その前に今回はここまで自分が音楽を聴くようになった顛末をまとめておくことに。

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これまで日常で音楽を聴くのは、仕事中、Yoububeで聴ける音楽をBGMにするぐらい。加えて、車で移動中、CDを聴くというもの(ただし同乗者がうんざりしても同じCDを聴き続ける)。動画などはもっと見る機会はなかった。DVDはいくつか持っていたが、最近は全くといっていいほど見ていなかった。

 

変化の序章は、今年はじめのiPadProの購入。今まで利用はあまり積極的ではなかったiPadの利用がこれで変わった。iPadPro自体、ディスプレイが綺麗になったり、スマートキーボード等の使い勝手が向上したり、完成度が向上したこともあり、(昔自炊した)電子書籍や新聞のオンライン版を読むようになった。そしてその頃「技術は使い倒そう」という言葉を聞き、なるほどと刺激を受けたことも影響している。

mnoguti.hatenablog.com

それでも無精者故、何かきっかけがないと・・・ということできっかけになったのが、ワイヤレスイヤホンを購入したことだ。iPadProにはイヤホンジャックがなかったので渋々購入したような形だったが、ワイヤレスということで利用機会を広げる一助になった。

mnoguti.hatenablog.com

まず動画を見るようになった。iPadProに昔のDVDを入れたり、それまであまりみなかったYoutubeなどの動画を見るようになった。夜、寝床ででもイヤホンで聴きながら動画を見るようになった。Bluetoothの届く範囲であればコードに煩わされることなしに視聴できたからだ。ストレスフリー。いやコードレスって便利だと実感した。

 

次は、iPhoneXs MAXを購入したこと。今までiPhoneで音楽を視聴することはなかったが、ちょうどその頃マイブームだった宇多田や林檎をiPhoneで場所を選ばずに聴きたくなったことと、昔聴いていたCDが大量にあったを思い出し、「そうだ、ワイヤレスイヤホンがあるから、それを使えばどこででも聴ける」ということでCDを端から入れて聞くようになった。

mnoguti.hatenablog.com

さらに利用機会を広げたのが、これが決定的だったが、骨伝導型のヘッドホン(イヤホンとヘッドホンの境界ってどこなのだろうw)の購入。骨伝導ということで、耳穴を塞ぐことがなくなったので、仕事しながらも、走りながらも、音楽を聴くようになった。そしてiPhoneなので、どこに行くにも音楽がある生活となっていった。

mnoguti.hatenablog.com

これ↓、この骨伝導ワイヤレスヘッドホンが優れもの。少々お高いけど、オススメです。

これは良かった。いつも音楽がある生活。そしてCDをいちいち入れ替えるとか面倒なことをしなくてもいろいろな音楽をずーっと聴き続けられる。いろいろな音楽を聴くといい気分転換になった。こうなると今まで購入してあったCDやDVDを端から入れて聴くようになったし、購入意欲にも変化が出てきた。

 

そこで一つ考えたのが・・・デジタル化が進んで音楽業界の市場規模は成長したのかという点。LPレコードからCDになった時、市場規模が拡大したように、CDからネットのストリーミング等デジタル商品になったこと、また骨伝導やワイヤレスという技術進歩で視聴環境が広がっているように見えるが、実際、市場規模は成長しているのか?と。

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そこで日本レコード協会のHPで市場規模の統計を確認してみたのだが、どうも右肩上がりで市場規模が拡大ということにはなっていないようだ。

www.riaj.or.jp

国内のビジネス環境が厳しいという点もあるだろうが、実際のところはどうなっているのか、日本レコード協会の統計などを参考に実際どうなのかを少し探ってみたいといことで本日の記事はここまで。

今後をお楽しみに!

 

新井紀子著『AIに負けない子供を育てる』:読解力を鍛える必要がある大人も多いはずだ

以前、新井氏の以下の書籍を読んだ。

 

AIに労働機会が奪われるなどと無闇に不安がっている世の中に対して、具体的に何が問題になるのかというのを指摘した書籍であり、内容はなるほどと思わせる内容だった。

mnoguti.hatenablog.com

最初はこれからの子供の話として読んでいたが、そこで具体的に指摘されていたのが、読解力の弱さで具体的には以下の6点が挙げられていた。

  • 係り受け:主語と述語の関係や修飾語と被修飾語の関係
  • 照応解決:指示代名詞が何を指すか
  • 同義文判定:2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定
  • 推論:文の構造を理解した上で、生活体験や常識、さまざまな知識を総動員して文章の意味を理解する力
  • イメージ同定:文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
  • 具体例同定(辞書・数学):定義*1を読んでそれと合致する具体例を認識する能力

このうち最初の2つはAIが得意とするところ、これからはそれ以外の4点の能力をしっかり鍛える必要があるというところを読んだ時・・・自分はどうなのか?と思った。

mnoguti.hatenablog.com

例として挙げられていた文章、読みづらかった・・・上手く理解できないのだ・・・職業上というのもあるが、自身、ショックだった。子供ばかりではない・・・これをもう一度どうにかしなければならない・・・ということを考えたが、具体的な行動となるとなかなか。そこを鍛えればいいと簡単にいうが行うは難しだ。

 

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だから本書が出るのを望んでいたのかもしれない。当然、著者が第2弾として出版してくれるだろうという期待もあった。

AIに負けない子どもを育てる

AIに負けない子どもを育てる

 

それが今回、出版された。待ってました!ってことで早々に購入。

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章立ては10章立てだ。当然、最初からじっくり読んでいくのだが、その前に一度、最後の10章を読んでからでもいいかもしれない。

AIに負けない子どもを育てる
 

第10章は、「大人の読解力は上がらないのか?」というものだ。当然、我々のような読解力が劣る成人も諦めることはないということだ。

自分としては、もう一度、鍛え直す・・・そのきっかけが本書を読むことだ。そしてリスタートに備えようということだ。

 

ローレンス・レビー著『PIXAR<ピクサー>:世界一のアニメーション企業の今まで語られていなかったお金の話』:新しいことを成し遂げる過程が経営という面から語られている

ピクサー、不思議な存在だった。ディズニーアニメーションを作っている会社?ってぐらいの認識。トイストーリーとか、モンスターズインクとか、ミスター・インクレディブルとか*1

 

今回、ジョブズの本を読んでジョブズの仕事をより理解したければこの本も読まなければいけないと必読リストに入り、この度、やっと読了した次第。

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本書は、ピクサーの経営面、特にIPOからディズニーへの売却までの期間の出来事を当時の最高財務責任者の目を通して描いたものだ。だからコンピュータアニメーションの作品や技術的側面での取り組みや苦労については書かれていない *2

新規ビジネスの事業計画を立て、それを世間(投資家)に認めてもらうために何をしなければならないか。本書を読んでいるとその辺りのことが分かる。当然、自分が実際にそういう状況に直面したらこの行間にあるさらに細かいことに対してシビアな意思決定を求められるのだろうが、何しろビジネスを起こしていく、特に技術とビジネスの観点から何をしなければいけないのかというのを考える取っ掛かりとしては非常に参考になると思う。 

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

 

筆致は淡々とさらっと書いている。内容は、ビジネス小説として読めば間違いなく面白いが、この面白くさらっと書いていある内容について少し深く考えてみればそれがいかに困難なことを成し遂げてきたのかが理解できると思う。

ITの時代に特筆すべき存在となったピクサージョブズという各々を理解するのに必読の本だろう。

 

次に何かしようと考えている人は自分をこの文脈の中に置いて考えてみればそのすごさが理解できるのではないかと思う・・・同じ状況で俺にできるのか?って。

本書の構成は以下の通り。各章はコンパクトにまとめらているが、全部で4部28章建てだ。

  •  プロローグ
  • 第Ⅰ部 夢の始まり
  • 第1章 運命を変えた1本の電話
  • 第2章 事業にならないけれど魔法のような才能
  • 第3章 ピクサー派、スティーブ派
  • 第4章 ディズニーとの契約は悲惨だった
  • 第5章 芸術的なことをコンピュータにやらせる
  • 第6章 エンターテイメント企業のビジネスモデル
  • 第7章 ピクサーの文化を守る
  • 第Ⅱ部 熱狂的な成功
  • 第8章 『トイ・ストーリー』の高すぎる目標
  • 第9章 いつ株式を公開するか
  • 第10章 夢のようなビジョンとリスク
  • 第11章 投資銀行界の絶対王者
  • 第12章 映画がヒットするかというリスク
  • 第13章 「クリエイティブだとしか言いようがありません」
  • 第14章 すばらしいストーリーと新たなテクノロジー
  • 第15章 ディズニー以外、できなかったこと
  • 第16章 おもちゃに命が宿った
  • 第17章 ステイーブ・ジョブズ返り咲き
  • 第Ⅲ部 高く飛びすぎた
  • 第18章 一発屋にならないために
  • 第19章 ディズニーとの再交渉はいましかない
  • 第20章 ピクサーをブランドにしなければならない
  • 第21章 対等な契約
  • 第22章 社員にスポットライトを
  • 第23章 ピクサーからアップルへ
  • 第24章 ディズニーにゆだねる
  • 第Ⅳ部 新世界へ
  • 第25章 企業戦士から哲学者へ
  • 第26章 スローダウンするとき
  • 第27章 ピクサーの「中道」
  • 終 章 大きな変化

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著者が最高財務責任者としてピクサーに入った時、問題山積だった。それを一つずつ潰していく過程、そこに関わるステークホルダーたち、世の中のタイミング、後からこうやって振り返ってみるとなるべくしてなるようになったと読めてしまうが、本文にも書いてあるが、そこには多くの困難な意思決定があった。

それを可能にしたのは、目標を明確に定め、そこに向けて、あらゆる可能性を徹底的に考え、議論し、再構築し、さらに考え、できることは全て検討し尽くすということを実践したからこそだろう。

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History (English Edition)

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History (English Edition)

 

少数の経営メンバーで検討していく最中にはいろいろ意見の相違があり、行き詰ることもあっただろうが、そこを一つ一つ解決していく。曖昧な状況はなくす。決めきれないことは、明確に何を次に持ち越すのかを整理する。当然、成功するか否かは分からない。でもできる限りのことはし尽くす。そして結果が出てくる。多くの課題の一つずつが解決され、事態が少しずつ進んでいく。

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History

 

その中にはラッキーであったこともあったはずだ。そのラッキーなことが自分たちに起こるのは、事業のリスクや可能性に対する徹底した検討があるからこそではないだろうか。

この本は、未知の物事を成し遂げるには、いかにリアリティを持って、目標を明確にしたうえで、事態を検討できるか、議論できるか、そして判断し、事態を進めることができるかという事がいかに大切かを教えてくれている。最後の第Ⅳ部で語られる「中道」という考え方がそれそのものなのだというのが著者のメッセージなのだろう。

今年13冊目、読了しました。

さて、ジョブズの本から始まったこの流れ、次はどこにいくべきだろうか。脚注で紹介したピクサーの制作側の話を読むか、アップルに戻り、下に引用したティム・クックの本を読むか。あなたならどっち?

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

 

 

*1:ちなみに自分が映画館で見たのはモンスターズインク。これ以降、映画館に行っていないw

*2:ピクサーの作品やそれを生み出す技術面を知りたければこちらの書籍を読むといいと思う。

ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

 

Apple Special Event. September 10, 2019.

9月10日、アップルの秋の恒例イベントがあった。

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以前はあまり注目していなかったけど、最近、ジョブズの本を読んで・・・

mnoguti.hatenablog.com

mnoguti.hatenablog.com

 

いろいろ気づかされ、ジョニーアイブの本を読んで・・・

mnoguti.hatenablog.com

 

なるほどと納得させられ、そして今、これを読んでる。

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

 

今のアップルを率いるクックについて書かれている、まだこれは読んでいない。

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

 

iPhoneをはじめ、アップルの製品やサービスがどうなっていくのか、利用者の視点というよりジョブズやアイブが求めていたもの、クックが率いるアップルが進む先が今回はどのように表現されるのか・・・そんなところを注目しながら見ている自分がいたり。


September Event 2019 — Apple

3眼カメラ・・・画像、4K映像への志向か。新たな画像・映像の世界を切り開く製品になるのか。

どうだろう・・・洗練を突き詰めると簡潔になる・・・そしてすべてが一体となって機能する・・・そしてシンプルさの追求が生み出す新たな製品・・・少し落ち着いたら新しくオープンしたアップルストア丸の内にでも行ってみようか。

楽しみ。

 

石山アンジュ著『シェアライフー新しい社会の新しい生き方ー』:シェアリングエコノミーの啓蒙書というよりは現代社会に対する問題提起の書

この本の最大の魅力は、シェアライフを実践している人の手による著書だということだ。自分で経験し、かつ、全国のシェアライフをしている人たちとふれあい、政府の政策に関わる。日々の営みがシェアライフそのものと言ってもいいだろう。

 

その著者が書いた一冊・・・最初は啓蒙書として読んでいたが、読み進むにつれてこれは啓蒙書というよりシェアライフを通してみた現代社会に対する問題提起の書として読めると思った。

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自分らが普段生活している社会、財やサービスをシェアするシステムとしては、市場メカニズムがある。そうなんだよ、日々、お金を払ってモノやサービスを売買しているけど、これは共有するシステムの一種だ。

 

本書が問うているのは、その社会においてなぜ今シェアライフ、シェアリングエコノミーなのか?ということだ。

シェアライフ 新しい社会の新しい生き方

シェアライフ 新しい社会の新しい生き方

 

本書の構成は以下の通り。

  • はじめに
  • 章 私のシェアライフ(60人の家族、100の家、シェアする社会の登場、気づけば、私はずっと「家族」を探してきた、個人の意思よりも組織の理論が尊重される社会への違和感、シェアとは希望である)
  • 第1章 新しい時代(前提が失われた時代に生きる私たち、より人間が人間らしく生きるには、個人中心の時代の到来、「豊かさ」のパラダイムシフト、私から私たちへ)
  • 第2章 新しい価値観(「シェア」とは?、見えない価値が価値になる、シェアの本質とは「つながり」)
  • 第3章 新しい生き方(シェアで「働き方」が変わる、シェアで「住む・暮らし方」が変わる、シェアで「旅」のスタイルが変わる、シェアで「人生100年時代」に備える、シェアで「家族・子育て」の概念が変わる、シェアで「学び」が変わる)
  • 第4章 つながりが社会を救う(日本が直面する課題、シェアで地域課題を解決する、世界中で広がるシェアリングシティ、新たなセーフティネット
  • 第5章 シェアするマインド(シェアライフは「信頼」で成り立つ、信頼できる・信頼される自分になろう)
  • 終章 シェアの未来(資本主義型と持続可能型2つのシナリオ、ルールと社会制度の課題)
  • おわりに
  • シェアライフを今すぐ始めたい人へ

 

章の下の節の見出しまで書き出してみたが、どうだろうか。自分のこれまでの体験から始まり、シェアリングエコノミーが出てきた時代背景を語り、シェアリングエコノミーの実際を語る。用語の使い方は少々甘いところがあるが、それを考慮してもなお読んで自問自答し、考えるための問題提起の書としての価値は十分だ。

4章以降では、シェアリングエコノミーが果たしつつある役割を語り、それを実践するための大切な要素として「信頼」を語る。そして最後にシェアリングエコノミーの将来を考える。著者が訴えたかったこと・・・それを行間から読み取るようにじっくり読みたい。

シェアライフ

シェアライフ

 

 

市場メカニズムがあるにもかかわらず、なぜ今、シェアなのか、市場メカニズムの限界か、あるいは社会のそこここが錆びついてしまったためか、その原因はなんなのか。そうやって考えてくると、シェアリングエコノミーは社会変革のツールであり、ICT分野から見れば、市井の端々までデジタルトランスフォーメーションを行き渡らせる手段でもあり、シェアライフはそれを実践するということだろう。

持続可能な地域のつくり方――未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン

持続可能な地域のつくり方――未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン

 

シェアライフ、シェアリングエコノミー、シェアリングビジネスという社会変革のツールがなぜ今必要なのかという点を考えるとき参考になるのが、SDGs(Sustainable Development Goals)という考え方だ。

その参考書としては、ここに挙げた「持続可能な地域の作り方」が参考になる。これについてはまた別途ご紹介したい。

 

渋滞は移動する・・・渋滞の解決は他の渋滞を生む、この行き着く先はどうなるのか?

この夏も長距離ドライブでは何回か渋滞に遭遇した。特にお盆の徳島行きは神奈川県内で事故渋滞と自然渋滞の両方に巻き込まれ散々だった。こうやって渋滞に遭遇して、大変な目にあっていると、普段から渋滞に関心が向く。

 

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そうすると車に乗っていないのに、日本道路交通情報センターのHPに行って渋滞の状況を見たりする。日々の渋滞は、大体、いつも決まったところで発生する。しかし、少し長い目で見るとそうでもないことに気づいた。

 

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高速道路の渋滞を念頭に考えているが、高速の渋滞解消は遅い車が走る車線(ゆずり車線や登坂車線)を増やすなどの対応はできるが、上り坂を平らにしたりするなど根本的な改良は加えられない。だから渋滞の発生箇所は、上り坂の手前が多い。あるいはかつての料金所のように強制的に速度を落とされる場所だ(今だと工事区間とか)。

上り坂の手前の渋滞が少なくなるのは、代替路ができた時ということになる。例えば、新東名の浜松いなさJCTから豊田東JCTが開通して、東名の音羽蒲生あたりの渋滞がなくなるとか、高槻から神戸まで新名神ができて中国自動車道等の渋滞が減るとかだ。

 

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そうやって高速道路網が完成していくと徐々に渋滞はなくなり、いずれは渋滞が全くなく快適なドライブができるのではないかと漠然と考えていたが、実はそうじゃないということに最近気付いた(ここで書くようなことはすでに既知という人も結構いるだろう)。

例えば、首都高渋谷線の三軒茶屋から大橋JCTあたりや東名の神奈川県内はかつてよりより渋滞が激しくなっているように感じるし、京都は上り線の渋滞がひどくなっている。そして最近は伊勢湾岸道で渋滞に引っかかるようになったという具合だ。これまでも渋滞の名所だったところの渋滞がさらにひどくなっている。

 

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理屈は簡単で、あるところの渋滞が解消されると、他のまだ対応できてない渋滞発生場所の交通量がさらに増えて、そこの渋滞がひどくなるのと、隠れ渋滞箇所が顕在化するからだ。つまり料金所がETCになり、渋滞が少なくなっている分、そのしわ寄せは他の渋滞を激しくしていることになる。

 

それまで渋滞にならずに済んでいた場所が交通量が増えたことによって渋滞が発生するようになる。これは京都の渋滞が該当するかもしれない。以前は上り線で草津JCT新名神に入るところは渋滞はなく、京都東から京都南あたりを中心に渋滞していたのだが、最近は草津JCTから始まっていることが多い。例外的だが、新名神の宝塚北SAのようにそこにわざわざ寄る車で本線まで渋滞になってしまうようなところもある。

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いづれは自分が通るコースでは渋滞はなくなるのだろうと思っていたが、それはどうか分からないというのが本当のところだ。例えば、東名の神奈川県内は新東名が完成してもおそらく混雑は変わらない。伊勢湾岸道もさらにひどくなることは考えられるが、その逆はどうだろうか。草津JCTを先頭にした渋滞は大津から高槻まで新名神が開通すると解消されるかもしれないが、その分、どこかで新たに渋滞が発生する可能性は十分ある。それが伊勢湾岸道かもしれない。

完全自動運転になって、AIで車の流れを制御すれば渋滞は解消されるのだろうか。それでも完全に需要をコントロールできない限り無理なような気がする。人が移動する限り、車の渋滞は無くならない。

逆にこれからの渋滞箇所は以前は分散していた渋滞がそこに集中して起こることになり、より激しい渋滞になると想像できる。これからは渋滞に巻き込まれるとより大変になる・・・渋滞は避けて行動するようにしましょう。

 

リーアンダー・ケイニー著『ジョナサン・アイブ:偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』:アップル製品の使い心地の良さの理由が分かる一冊

スティーブ・ジョブズの本を読んでいる最中にこの本の存在を知った。当然、ジョブズの本を読んだ後、次に読む本はこの本と決めていた*1

 

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アイブのこの本を読んでいる最中に当の本人がアップルを辞めるというニュースに接した。なぜなのだろう?と思った訳だが、本書を読んでいると、アップルという会社、アイブのアップルでの立場、物作りにおけるデザインの役割を考えた時、辞めるというのはそんなに不自然でないなと思ったのは自分だけだろうか。

 

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

 

 いろいろ考えながら読まされた本である訳だが、章立ては以下の通り。

  • 日本語版序文
  • 主な登場人物*2
  • まえがき
  • 第1章 生い立ち
  • 第2章 イギリスのデザイン教育
  • 第3章 ロンドンでの生活
  • 第4章 アップル入社
  • 第5章 ヒット連発
  • 第7章 鉄のカーテンの向こう側
  • 第8章 iPod
  • 第9章 製造・素材・そのほかのこと
  • 第10章 iPhone
  • 第11章 iPad
  • 第12章 ユニボディ
  • 第13章 サー・ジョニー
  • 謝辞
  • 守秘義務と情報源
  • 注記

読み終えてしまうとあっという間、興味深いという意味で非常に面白い内容だった。

ジョナサン・アイブ

ジョナサン・アイブ

 

 

ジョブズの本を読んだ後だけに、頭の中で比べながら読むところもあり、ジョブズもアイブも父親の存在が大きかったのかと思ったり、環境ってやっぱり大事よねと思ったり、デザインに対する考え方、捉え方で二人は通じ合うものがあった訳だけれど、奇跡のような取り合わせだと思ったりといろいろある。 

Jony Ive: The Genius Behind Apple's Greatest Products (English Edition)

Jony Ive: The Genius Behind Apple's Greatest Products (English Edition)

 

この本は、アイブについて書かれているが、アイブの考え方を通して、デザインというものの大切さが描かれているとも言えないだろうか。デザインから考える・・・まずデザインがあり、それを可能にする内部機器のあり方が決まる。そしてそのデザインそのものは、ユーザが意識しないようにすることが究極の目的だとして描かれている。

ひたすらシンプルさを追求し、追求することで、そこから出てくる様々な課題をあるものはクリアし、あるものは諦め次善の策をとる。それは妥協のない取り組みの繰り返しだった。

 

そういう努力の賜物がアップルの製品だ。同業他社が作る製品とは使い勝手が全く違うと感じさせるのも、デザインという視点で、表面だけでなく、内部までこだわり、また製品を作る思想についても「シンプル」を貫徹して突き詰めるというその姿勢・・・ただただすごいと思った。

この本を読むとますますアップル製品を使いたくなってしまうと同時に、アイブが外に出た後のアップルがどうなっていくのかも見守っていきたいと思うのでした。

今年11冊目読了しました。

 

*1:ジョブズの本についての記事は以下の通り。

mnoguti.hatenablog.com

mnoguti.hatenablog.com

*2:この種の本で主な登場人物が乗せられているのは珍しいと思うのは自分だけ?

個人情報の経済的価値を考える:マイデータ・マイライフに参加する(電通と富士通の試み)

電通さんと富士通さんがGAFAに牛耳られていると見られているネット上の個人データに一矢報いようとして「パーソナルデータを活用した新しいライフスタイルを提案するライフデザインの検討を開始」した。その取り組みの一端が語られたワークショップだった。

 

peatix.com

今回のワークショップは、「本活動の一環として両社は、個人に関わる「時間」と「趣向」のデータを活用し、個人にあったライフスタイルをデザインする実証実験を、2019年8月に実施します。本実証実験では、データは自分自身がコントロールすべきという考えのもと、両社が参加者に、自分自身のデータを自分の生活のために活用することを体感いただくため、参加者が利用許諾した自身のGoogle カレンダーのデータを活用し趣味・趣向のデータをマッチングさせてライフスタイルを提案します。」

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「また、本実証実験に向けて構築するサービスでは、個人が安心してデータを取り扱うことを可能にする富士通PDS(Personal Data Store)サービスである「Personium(ペルソニウム)*1」サービスを基盤とし、電通が提唱する「タイムフィリング*2」という考えのもとで富士通が開発したアプリケーションを使用します。」*3ということを体験するものだった。

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いろいろハプニングもあったが、自分にとってはGAFAが世界中から集めている個人情報、個人データが個人にとってどういう意味を持っているのかを実感させてもらえるワークショップであった。それがどのようなものであったか、この日、庄司先生が自分を例にして個人データの持つ可能性を示してくれたので、それの一部を紹介しよう。

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ここで庄司先生から示されたことは先日の情報通信白書の読書会で考えたこととつながるものであり、読書会の話がどちらかというとマクロや産業レベルの話であったのに対し、この時は個人レベルの話と言えただろう。

mnoguti.hatenablog.com

 

話の内容は、もう少し自分の情報を大切にしましょう、自分の情報をプライバーの問題だけでなく、もう少し自分で上手く生かして使うことを考えましょう。そうすると、個人情報の経済的価値が見えてきませんか・・・というものだと僕は受け止めた。

そうなのだ。今のままでは、プライバシーをあまりに重視するあまり、将来、個人情報の持つ経済的価値を見殺してしまい、それが本来持っている価値を所有している本人でさえ死蔵してしまうのではないかという懸念。今で言えば、GAFAに自由に(無料で)使わせていいのかということだ。プライバシーとか、忘れられる権利とかを検討するのも大切なのだが、それの持つ経済的価値をもう少し考えてみてはどうかということだと思う*4

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そこで実際に考えてみようということになる。「定量化する自分」ということで、まずは、日常生活がどの程度定量化されているかを考えるといいだろうということで具体的に考えさせてくれた。

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上の写真の通り、いつ(スケジュール)、どこ(地図)、だれ(人間関係)、なに(買い物)の軸で整理してみると、意外とたくさんあることに気づくのではないか。

順不同で自分の定量化の例を上げてみると、会社サイボウズ(スケジュール)、iPhoneカレンダ(スケジュール)、GoolgeMap(行き先)、Facebook(日々の出来事、人間関係)、twitter(日々の出来事、人間関係)、Instagram(日々の出来事、人間関係)、ブログ(日々の出来事)、Amazon楽天(購買行動)、Garming(ランング等運動、心拍数)、mealog(体重、体脂肪率)、Eight(名刺管理)、乗り換えNAVI等(移動)ほぼ起きている間の行動は何らかの形で記録されている。

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これらのデータをまず各分野でなるべく1つに集約して簡潔にすることと、そのデータをさらに連携させるとそこからまたいろいろ便利なことができるようになるのではないかという問いかけだったが、実はこのデータの連携がなかなか上手くいかないという現状。それに対する富士通さんと電通さんの試みというつながりになる。 

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もっと便利になるはずということで、ここでは、健康、娯楽、人間関係に基づいて具体的に考えた。この日は、それを、ペルソニウムサービスで実体験してみたわけだが、時間が短かったのでそこを実感するまではいかなかったが、庄司先生の話を聞きながらそういうことだったかとピンときたことはきた。

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こうやって考えてくると、デジタル経済を成長させるためには、マクロ、産業レベルの取り組みとミクロ、個人レベルの取り組みの両面が必要なのだと思えてくる。GAFAに対抗する云々ではなく、デジタル経済を成長のエンジンにするためにも個人情報の経済財としての可能性、それを可能にするための制度設計がこれからは大切なのではないかと思うのでした。

 

*1:パーソナルデータの開示者や活用者に対し、データ保管やアクセス管理可能なデータ領域を提供するサービス。

*2:自分の時間をより能動的に埋めていくことで、生活にリズムができ、好奇心や興味が芽生え、新たな出会いが生まれる、という考え方。(電通より商標出願中)

*3:

http://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0513-009813.html から引用。

*4:人は日々生活することでいろいろな生活情報を生産している。それを取引すれば・・・今の感覚で言えば、働かずに収入を得る道が開ける・・・ベイシックインカムに近いものではないか?

情報通信白書の読書会に参加してきた@国際大学GLOCOM研

はじめに

今年も7月初旬に情報通信白書が一般に公開された。書籍として購入することもできるが、電子書籍kindle)だと無料で入手できる。

令和元年版情報通信白書

令和元年版情報通信白書

 

 

例年の恒例行事だそうだが、自分は初めての参加であった。仕事として白書の一部をお手伝いさせてもらったこともあり、どのような議論が出てくるのか一度聞いてみたいと思い参加した。

場所は、六本木にある国際大学GLOCOM研で実施されたが、参会者は100名ぐらいいたのではないだろうか。自分はキャンセル待ちで入場できた次第で関心の高さが感じられた。

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今年の白書の特徴は?

武蔵大学の庄司先生の司会(兼コメンテーター)で始まった読書会。今回、白書の内容を説明してくれたのは、作成の責任者であった、前情報通信経済室長の富岡さんだ。建前ではなく、本音の話が随所に聞かれたので非常に有益だった。

令和元年版情報通信白書

令和元年版情報通信白書

 

この日の説明内容、コメント、質問等を自分のメモの限りで書き出してみよう。当然、自分の聞き間違いや理解が追いつかず解釈を間違えているかもしれないが、そこはそういう前提で読んでほしい。

読書会は、総務省のHPにも公開されている資料に基づき行われた(若干、読書会用に準備された資料もあった)。

今回の白書は、「体系的に整理されている」「全体を理解するのに役立つ」という意見が多かったようだ。自分も白書をざざっと読み通してそう思った。現状、デジタルトランスフォーメーションとかSociety5.0とか第4次産業革命とか色々言われているが、その混沌とした経済社会を情報通信の側面から体系的に整理した点は非常に評価されるのではないか。

 

皆の関心は?

そしてその後の質疑に移り、大きなそしてなかなか答えの見つからない質問が数多く寄せられた。その中で自分が興味を惹かれたのはこの2つ。

① デジタル経済とは何か?

これは今回の読書会での内容や某経済検討会での議論の内容を思い返しながら、ふと頭に閃いた・・・ズバリ、デジタル情報が成長のエンジンになる経済ということ*1

その市場構造が、プラットフォームを中心としたビジネスに見られるのではないか。ネットワーク効果がもたらす雪だるま式の拡大効果がデジタル経済の成長のエンジンということだ。だとすれば、従来の生産関数が資本設備が成長のエンジンであったのに対し、デジタル経済ではそれをどのように取り入れるべきなのだろうか。

  • 農業経済:GDPは、労働、土地から生み出される
  • 工業経済:GDPは、労働、機械資本(土地を含む)から生み出される
  • 情報経済:GDPは、労働、情報資本(機械資本、土地を含む)から生み出される
  • デジタル経済:GDPは、労働、AI・プラットフォーム資本(情報資本、機械資本、土地を含む)から生み出される

こんな感じでこれまでの経済と比較すると考えられるのではないかという仮説だ。農業時代の土地は、工業の時代にも存在したが、付加価値を生み出す上では機械資本がより重要になる。

そしてその機械資本も時代とともに、機械化、電子化、ソフト化と徐々にその性質を変化させていく。その性質は規模の経済とかネットワーク効果とかで分類され、その効果を捉えるために、資本を一般資本と情報資本に分けて分析したりした。情報資本が考えられるが、ここではあくまでも機械資本の延長上で考えられている。

それがデジタル経済では、機械資本の代わりに情報資本が成長のエンジンとしてモデルの中で重要になる。ここでいう情報資本は、現状、機械資本の一部を情報資本としているものとは違う。情報そのものを資本として計測しようというわけだ。

GDP=f(労働、情報資本)

このように考えられるのではないか・・・というのがこの時の議論等を聞きながら頭の中を駆け巡った。

② 所有から共有へというトレンドが行きつく先、資本主義はどうなるのか?

次は、シェアリングエコノミーが今、広がりつつあるが、シェア(共有)することから自然と導きさ出される誰でも想像すること・・・共有する経済になるとその行き着く先は、資本主義に対する共産主義になるのではないかという懸念だ。

でもそれは外れていて、おそらくデジタル経済の時代は今の分類では分類できない経済システムになるのではないかと想像できる(本当か?)。だからシェアが広がったら、共産主義に近づいていくということを心配するのはちょっと違うと思った。

デジタル経済を離陸させるためには何が必要か。

さてこれからデジタル経済が主役になり、国?地域?人?の経済成長が実現されるとすると、デジタル経済を離陸させるためには何が必要だろうか。

情報が市場で取引されるようにならないといけないので、現在でも議論されているGDPR、DFFT、さらに情報銀行、情報の取引市場が必要になるのか。もしかしたらベイシックインカムの必要性が今よりも自然な形で導き出されるかもしれない。

色々議論することはたくさんある。これからの経済がデジタル経済になっていくのであれば、それを見越した議論をすることがこれから大切になる。

(以下、加筆)上記の他にもメモから拾ってみると・・・質問だったか、説明の中で言われたことかは不明だ・・・箇条書きで以下記載しておく。

  • ICTはGDPの成長をもたらさないのではないか

これは、シェアエコでの取引を念頭に置いたものだったと思う。今のGDP統計は新製品として市場に出た時だけカウントされ、それがメルカリ等で交換されてて収入を得ても生産面で統計に反映されることはない。ただし、消費面からは捉えることができる。

  • ICTが格差をもたらしている

エレファントカーブで観察される先進国中間層の落ち込み等を観察して。ICTと非正規雇用の関係・・・ルーチン業務の代替状況等。

  • 汎用技術(GPT)の経済への貢献は長い目で見る必要がある

補完的イノベーションの必要性

  • 何が必要か?

ICTの専門家、通常の業務部門のICTの理解と利用(必ずしもICT人材を抱え込む必要はなく、非ICT部門のリテラシー、意識を高めることの方が大切では?)

オープンイノベーションの必要性(自前主義からの脱出、GAFAが生まれなかった背景の一つ)

  • GAFA、BAT規制をどう考えればいいのか?

何のために規制を課すのか?(プラットフォーム上のビジネスの活性化?何のためにやるのか?)

デジタル経済の成長のエンジンをもっとも活かすための制度・規制のあり方とは?制度の議論するとともに、その経済分析も必要ではないかと思う今日この頃でした。

 

*1:ということでこのブログのカテゴリーも「ICT社会の経済分析」から「デジタル社会の経済分析」に変更した。