第Ⅱ巻、ちょうど1ヶ月かかった。その間に日本のパソコン史を読んでいたからだが。
第Ⅱ巻は、圧巻だ。そりゃそうだろう。ジョブズが復帰してからの怒涛の進撃が描かれているのだから。Think Differentから始まり、iMac、アップルストア、iPod、iTunesストア、iPhone、App Store、iPad、iCloudと連なる技術革新の数々・・・すべてが一体となって機能することを技術の進展とともに突き詰めていった歴史。
ビル・ゲイツのマイクロソフトがとったオープン戦略、それは今も産業レベルでは標準的な考え方ではなかろうか。そうではなかったのがジョブズであり、アップルだった。しかし、よく考えれば、オープンとクローズという二項対立で捉えられがちなこの関係もオープンの度合い、垂直統合の度合いと考えれば、単純な二項対立ではなく、オープンからクローズまでいろいろな戦略が考えれ、それぞれがその中の1つだったということではないか。
- 第22章 再臨 野獣、ついに時機めぐり来たる
- 第23章 王政復古 今日の敗者も明日は勝者に転じるだろう
- 第24章 シンク・ディファレント iCEOのジョブズ
- 第25章 デザイン原理 ジョブズとアイブのスタジオ
- 第26章 iMac hello(again)
- 第27章 CEO 経験を積んでなおクレージー
- 第28章 アップルストア ジーニアスバーとイタリアの砂岩
- 第29章 デジタルハブ iTunesからiPod
- 第30章 iTunesストア ハーメルンの笛吹き
- 第31章 ミュージックマン 人生のサウンドトラック
- 第32章 ピクサーの友人 ・・・そして敵
- 第33章 21世紀のマック アップルを際立たせる
- 第34章 第1ラウンド メメント・モリーー死を忘れるなかれ
- 第35章 iPhone 三位一体の革命的製品
- 第36章 第2ラウンド がん再発
- 第37章 iPad ポストPC時代に向けて
- 第38章 新たな戦い 昔の戦いの余韻
- 第39章 無限の彼方へ さあ行くぞ! クラウド、宇宙船、そのまた先へ
- 第40章 第3ラウンド たそがれの苦闘
- 第41章 受け継がれてゆくもの 輝く想像の天空
第Ⅱ巻は、大きく分けるとやはり3つに分けられるか。まずはアップルへの復帰から27章のCEOの就任までが最初だろう。次がアップルストアから33章まで、そして最後が闘病しながらも、iPhone、iPad、iCloud等を生み出していたったジョブズの姿が描き出されている第34章から第41章まで。
アップル製品の使い心地の良さはなぜなのかということがこれでもかという製品開発時のジョブズの行動で思い知らされる。例えば、デザイン優先のこだわり(シンプルであることの追求)、消費者を常に念頭に置いての製品設計などだ。今の消費者を調査しても、将来消費者が望むものは分からないからやらないという調査屋泣かせの記述もある。
- 作者: ウォルター・アイザックソン,井口耕二
- 出版社/メーカー: 講談社
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それから日本にはimodeというサービスがあったが、それは消えてしまう(2019年9月30日で新規申し込みは終了)が、アップルが作ったiMacからiPod、iPhone、iPad、iCloudとiがつけられた機器・サービスが続き、これからも生き残っていくというこの違いはどこから来るのだろうか*1。点と点とつないで考えているか否かの違いか。
アップルのクローズ戦略は先頭に立つジョブズがGoing Concernを目指したということが大きい。そこがすべての出発点。その考えを実現するには、消費者のために商品を提供することを考え、消費者は何を望むかを考え、そこからまずデザインを決め、そしてハードが決める。消費者が望んでいることを実現することに徹底的にこだわれば、垂直統合しかないだろうということで、クローズ戦略ということになる。
ユーザエクスペリエンスを重視し、それを最大化しようとすれば、垂直統合ですべてをコントロールすることがベスト・・・徹底していたんだ。そういう全てに対するこだわりが貫徹しているからこそ、購入後も捨てられない箱が積み上がる。
久々にすごい本を読んだという読後感。いろいろ考えさせられることもある。どこまで活かせるかはわからないけど、この本に書いてあったことには影響を受けるだろう。それほどの本だった。
まだ読んでない人は是非読まれることをお勧めします。
最後にスタンフォード大学の卒業式辞のリンクを貼っておく。
スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式辞 日本語字幕版
Stay Hungry, Stay Foolish・・・貪欲であれ、初心を忘れるな・・・と僕は理解したい。
今年9冊目読了しました。