日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

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リーアンダー・ケイニー著『ティム・クック:Appleをさらなる高みへと押し上げた天才』:ジョブズ後のAppleは何を目指したのか?

これからのAppleというか、これからのデジタル経済を、ビジネスを考えるために読んだ書籍・・・この本を含めて4冊*1

 

いやぁ〜、いろいろ教えられました。

とすれば、

ということになろうか。

ジョブズが亡くなってからすでに8年が過ぎ、その間、CEOとしてAppleを新たな高みに導いたティム・クック。その彼の幼少時代から学生時代とAppleに入社するまで、入社後、そしてCEOになってからを関係者へのインタビュー等を行って描き出している。

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ジョブズやジョニーに比べればやはり地味に見えてしまう。特に前半のアウトソーシングAppleの経営を大きく改善したところなんかは縁の下の力持ちって感じだ。派手さはないがなくてはならない役割を果たしたという言えるだろう。

 

そしてCEOになってからのティムは、非常に大きなことを着実に進めてきたと言える。その代表が、プライバシーに関する政府機関との向き合い方だし、顧客に対してその考え方を貫徹したところだろう。それともう一つが多様性についての取り組みだ。製品についてもApple Watchを出すなどこれまでのAppleの革新性を失うことなく展開している。

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

 

本書の中にも書いてあるが、ティムの時代になり、Appleはその革新性をジョブズという天才に代わり多様性で維持しようとしている。それは今後も強力に推し進められることだろうことが本書を読むと分かる。

それからプライバシーに関する考え方・・・これは非常に大切な取り組みだったのではないか。一つの例外を作るとそれは例外ではなくなるということで、iPhoneバックドアをつけることを徹底的に拒否したその考え、プライバシーのあり方・・・これは今後のデジタル経済が進展した情報が経済財になる時代においてその意味がより明確になるのではないか。

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本書は、序論と12の章からできている*2。各章は以下の通り。

  • 序論 うまくやってのける
  • 第1章 スティーブ・ジョブズの死
  • 第2章 アメリカの深南部で形作られた世界観
  • 第3章 ビッグブルーで業界を学ぶ
  • 第4章 倒産寸前の企業に加わる、一生に一度の機会
  • 第5章 アウトソーシングでアップルを救う
  • 第6章 ステーブ・ジョブズの後を引き継ぐ
  • 第7章 魅力的な新製品に自信を持つ
  • 第8章 より環境に優しいアップル
  • 第9章 クックは法と闘い、勝利する
  • 第10章 ロボットカーとアップルの未来
  • 第11章 アップル史上最高のCEO?

第2章までが導入、第3章から第5章がCEO前の貢献(アウトソーシング)、第6章から第7章がCEOの新製品の開発、そして第8章、9章、10章でCEO後のティムを象徴する3つの取り組みが紹介される。すなわち、環境、プライバシー、多様性。

ティム・クック?アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック?アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

 

 

本書を読んでいるとAppleというジョブズなしでは考えられなかった企業がティムというCEOによって、ジョブズ亡き後、いかにうまく経営されているかが垣間見える。そしてそれが非常に上手く回っているように見える。ジョブズが作った荒削りの企業、新しい製品・サービスを世に送り出すのに精一杯であった企業をさらなる高みに押し上げつつある・・・これまでは少なくとも上手く行っているようだ。 

Tim Cook: The Genius Who Took Apple to the Next Level (English Edition)

Tim Cook: The Genius Who Took Apple to the Next Level (English Edition)

 

ティムがCEOになってからしばらくは、「Appleは大丈夫なのか?」という視点で見られることが多かったが、本書を読むと、「これからのAppleの取り組みはデジタル社会、デジタル経済を切り開く尖兵として、新製品やサービスを出すだろう」と思える。そのような見方に変わっている自分を見つける。

この本を購入する前に、ジョニー・アイブが退社するという報道があった。これはAppleが次に一歩を踏み出したことを暗示するものなのか・・・どうなのか。

これからのAppleがティムを中心にどのように成長していくのか注目される。

編集者、出版社の方へのお願い

予算の都合とか、本の厚さとかいろいろあるとは思うが、脚注を省略するのはやめてほしい。一応、HPにpdfファイルで公開しているけど、あれでは見辛いし、一冊の作品として見た時、なぜわざわざその作品を壊すようなことをするのか・・・と思わずにはいられない。本を読むものとして悲しい処置だったと思う。

今年15冊目読了。

 

*1:ジョブズの本は上下2巻なので、各々カウントすれば5冊。

mnoguti.hatenablog.com

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*2:本書を読んでいて、たまに英語の構文が頭に浮かぶことがあった。数カ所だけど・・・もう少し文章を日本語として洗練させて欲しかったなと思った。

新井紀子著『AIに負けない子供を育てる』:水は易きに流れる・・・人はもっと易きに流れる(長文)

前著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の中で明らかにされた現代人の読解力の低下。教科書が読めないのは子供だけではなく大人も同じだということ。東ロボのプロジェクトを通しそれに気づかされた著者。

 

本書はその続編にあたるものだ。著者が中心となって、このままでは読解力の低下を解消することは難しく、まずは読解力を自ら確認できるリーディングスキルテスト(RST)の開発(本書にはその簡易版の掲載されている)について特色と利用方法も含めて解説している。さらにその実施から得られた解答を分析し、読解力の構造を明らかにし、教科書の読めなさ加減を6つの項目で定量的に把握し、分析。

mnoguti.hatenablog.com

本書の構成は以下のとおり。

  • はじめに
  • 第1章 AIの限界と「教科書が読めない子どもたち」
  • 第2章 「読める」とはなんだろう
  • 第3章 リーディングスキルテスト、体験!
  • 第4章 リーデイングスキルテストの構成
  • 第5章 タイプ別分析
  • 第6章 リーディングスキルテストでわかること
  • 第7章 リーディングスキルは上げられるのか?
  • 第8章 読解力を培う授業を提案する
  • 第9章 意味がわかって読む子供を育てるために
  • 第10章 大人の読解力は上がらないのか?
  • おわりに

 

「読む」ということは、「意味を理解する」とは、どういうことかについて、読者が簡易版RSTを実際に体験してみて、下記6点について採点した結果をみることにより理解できるようにしてある。

  1. 係り受け解析*1
  2. 照応解決*2
  3. 同義文判定*3
  4. 推論*4
  5. イメージ同定*5
  6. 具体例同定(辞書・理数)*6

この6つのスキルを持っていないと教科書を正確に読み、理解することはできない。自分でも試してみたが、具体例同定がほぼ全滅だった。一応、研究者を自称している自分にとってこの結果は致命的なものだ。

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本書にはこの6つのスキルのあり方をいくつか類型化している。

  • 前高後低型:理数系が苦手
  • 全分野そこそこ型:自力でもっと伸ばせる
  • 全低型:中学生平均レベル
  • 前低後高型:知識で解いてしまう
  • すべて10点満点型:読解力ばっちり

当然、自分としては「すべて10点満点型」に近いものになるだろうと思っていたが、採点してみると、見事に前高後低型だった。考えることを避け、安易な方法に流れたツケが今の自分ということだ(水は易きに流れる)。

 

勉強をどのようにしてきたかということを思い出し見ると、小学校高学年の頃、蛍光ペンが流行り出し、それを使って教科書の重要と思えるところをマークしまくり、テスト勉強はその部分を丸暗記するやり方だった。それは中学になっても、高校になっても基本は同じ(おまけに高校はあまり勉強しなかった)。

丸暗記でテストに臨むという姿勢。テストも文章を読ませて考えさせ、解答を簡潔に記述させるものもあったが、多くは穴埋め式だった。僕らの1年前から共通一次試験がマークシート方式で実施されている。知識偏重、思考力軽視だった勉強の仕方。それで済んでしまう穴埋め式、マークシート方式の試験。後悔してもすでに遅い。 

AIに負けない子どもを育てる

AIに負けない子どもを育てる

 

こんな勉強の仕方だったので、理数系の科目、理科(物理・化学)、数学は高校生の時にはすっかり苦手科目、嫌いな科目になっていた。おそらく社会(政経、公民、地理、歴史)も論述型の試験が主流だったら不得意科目になっていただろう。その時自分は文系に進んだのだろうか・・・。

 

今でも覚えているのは、多分、高校の世界史の先生だったと思うが、最初の中間テストが暗記で答えられるテストだったのだが、その先生がその答案用紙を返すとき、「テストは問いに対する考えを論述で答えるものなので、今回のような穴埋め式テストでいい点とってもあまり意味ないよ」ということを言われた覚えがある。あの時先生の言われた言葉が今になって後悔と共に思い出される。気づくのが遅すぎる。

読書についてどうだったかというと、精読するというよりは速読することで短時間で読めることがいいと思い、そうしていた。精読は苦手だった。だから読後感を人に話す時もかなり大雑把な、不正確な内容の紹介をしたし、理解が浅いので自分で考えたことをうまく伝えられないという認識もあった。

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読解力を培うという点で自分のやってきたことはすべての点で真逆であった。そして今現在、抽象レベルの高い議論や新しく定義が出てきた時の理解と応用、それを使って議論することが苦手な自分がいる。それはまさしく具体例同定が弱いことを表すもので、今回の簡易版での体験は日頃薄々感じていた自分の文章を読む上での弱点を見事に明らかにしてくれた。 

AIに負けない子どもを育てる
 

本書の中には、読解力が低い大人も諦めることはないと、見事に読解力を鍛え直した例も出ている。自分も問題点が明らかになった今、それを意識しながら日々本を読み、文章を書けば徐々に読解力、特に具体例同定が改善してくるのではないかと思う。そこは楽観的に考えたい。

さて、本書を読み進めることで、自らの読解力を認識すると、その流れの中で、国語教育についても考えさせられる。著者は、国語教育についてもその改善すべき方向を示し、授業例も示し、具体的に今後について述べている。著者が取り組む教育改革はこれから本格化し、本書が多くの人に読まれることによって、その輪は広がっていくだろう。

 

本書は単なる啓蒙書ではなく、日本の国力の基礎の基礎となる読解力の改善が喫緊の課題であることをRSTの結果で具体的に示した問題提起の書だ。

政府も手をこまねいているわけではなく、人材育成をどうすべきか日々議論が行われている。

www.mext.go.jp

最後に日本の情報通信産業は今、部材では世界有数のメーカーがいる一方、スマートフォンなどの完成品では多くの企業が撤退し、勢いがなくなっている。この現実について、もしかしたらこの読解力の話がつながっているのではないかと思い始めている。それについては別途書いてみたい。

今年14冊目読了。

*1:文の基本構造(主語・述語・目的語など)を把握する力。

*2:指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語を把握する力。

*3:2文の意味が同一であるかどうかを正しく判定する力。

*4:小学6年生までに学校で習う基本的知識と日常生活から得られる常識を動員して文の意味を理解する力。

*5:文章を図やグラフと比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力。

*6:言葉の定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力。

【霞ヶ関合同庁舎2号館】ドトールコーヒーショップ霞ヶ関第2号館店:久しぶりのノマドワーカーで束の間のコーヒーを

ここは総務省1Fの喫茶コーナー・・・正面入口から入ると奥の方にある。DOUTORコーヒーが入っている。某省まで御用聞きに来た帰り、急いでお昼を食べて出てきたので、ちょっとここで一息ついたところだ。

 

いつのまにかWiFiが使えるようになっている・・・これは便利。結構速くて、快適に使える。情報通信を所管する官庁が入るビルだからね、このくらいの快適さは当然というところだろう。

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飲むのは普通のブレンドコーヒーのM・・・これで結構美味しい。量も多からず少なからずでちょうどいい。テイクアウトにすれば消費税8%だったのだろうが、店内召し上がりにしたので10%。庶民としては少しでも安いほうがいいけれど、税金だからね。税金はちゃんと納めましょうという意識を醸成しないといけないと思うのだが、ゴネ得という感じがしないでもない・・・消費税の軽減税率。

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こういうちょっとした隙間の時間は、ぼーっとしていながら色々なことを考えて思いついたりする。そういう点では貴重な時間だ。

 

例えば、やさしい日本語、日本語をだれにでもわかりやすく表現するというのは、日頃使っているわれわれには結構難しいことではないのかとか。あるいは「AIに負けない子供を育てる」に書いてあることは、日本の経済社会のこれからに対してかなり怖いことが書いてあるのではないか。

今回のノーベル化学賞受賞はよろこばしいことだが、受賞者が育った教育環境と今の教育環境・・・比較してみたら、基礎的読解力についてはどちらがより鍛えられるのか・・・それを考えるとマークシート世代はノーベル賞級の研究成果を出す人材がどれだけでてくるのかとか。

 

そして半導体で一時は世界を制覇した産業、ウォークマンで世界中を驚かせたような消費財、最終製品を出したデジタル産業から、もう一度そのような製品/サービスを世に送り出すのはマークシート世代以降はできるわけがなかったと妙に納得したりとか。

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一杯のコーヒーで多くのことを妄想する自分がいたりする。喫茶店でノートパソコンやiPadを叩きながら、さらに妄想を膨らませていく・・・ノマドワーカーになることは自分自身の思考をリフレッシュするためには非常に役に立つ。仕事と仕事の隙間を埋められるこういう立地のお店は貴重だ。

美味しいコーヒーで妄想を楽しもう!

ごちそうさまでした。

 

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新井紀子著『AIに負けない子供を育てる』:読解力を鍛える必要がある大人も多いはずだ

以前、新井氏の以下の書籍を読んだ。

 

AIに労働機会が奪われるなどと無闇に不安がっている世の中に対して、具体的に何が問題になるのかというのを指摘した書籍であり、内容はなるほどと思わせる内容だった。

mnoguti.hatenablog.com

最初はこれからの子供の話として読んでいたが、そこで具体的に指摘されていたのが、読解力の弱さで具体的には以下の6点が挙げられていた。

  • 係り受け:主語と述語の関係や修飾語と被修飾語の関係
  • 照応解決:指示代名詞が何を指すか
  • 同義文判定:2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定
  • 推論:文の構造を理解した上で、生活体験や常識、さまざまな知識を総動員して文章の意味を理解する力
  • イメージ同定:文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
  • 具体例同定(辞書・数学):定義*1を読んでそれと合致する具体例を認識する能力

このうち最初の2つはAIが得意とするところ、これからはそれ以外の4点の能力をしっかり鍛える必要があるというところを読んだ時・・・自分はどうなのか?と思った。

mnoguti.hatenablog.com

例として挙げられていた文章、読みづらかった・・・上手く理解できないのだ・・・職業上というのもあるが、自身、ショックだった。子供ばかりではない・・・これをもう一度どうにかしなければならない・・・ということを考えたが、具体的な行動となるとなかなか。そこを鍛えればいいと簡単にいうが行うは難しだ。

 

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だから本書が出るのを望んでいたのかもしれない。当然、著者が第2弾として出版してくれるだろうという期待もあった。

AIに負けない子どもを育てる

AIに負けない子どもを育てる

 

それが今回、出版された。待ってました!ってことで早々に購入。

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章立ては10章立てだ。当然、最初からじっくり読んでいくのだが、その前に一度、最後の10章を読んでからでもいいかもしれない。

AIに負けない子どもを育てる
 

第10章は、「大人の読解力は上がらないのか?」というものだ。当然、我々のような読解力が劣る成人も諦めることはないということだ。

自分としては、もう一度、鍛え直す・・・そのきっかけが本書を読むことだ。そしてリスタートに備えようということだ。

 

ローレンス・レビー著『PIXAR<ピクサー>:世界一のアニメーション企業の今まで語られていなかったお金の話』:新しいことを成し遂げる過程が経営という面から語られている

ピクサー、不思議な存在だった。ディズニーアニメーションを作っている会社?ってぐらいの認識。トイストーリーとか、モンスターズインクとか、ミスター・インクレディブルとか*1

 

今回、ジョブズの本を読んでジョブズの仕事をより理解したければこの本も読まなければいけないと必読リストに入り、この度、やっと読了した次第。

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本書は、ピクサーの経営面、特にIPOからディズニーへの売却までの期間の出来事を当時の最高財務責任者の目を通して描いたものだ。だからコンピュータアニメーションの作品や技術的側面での取り組みや苦労については書かれていない *2

新規ビジネスの事業計画を立て、それを世間(投資家)に認めてもらうために何をしなければならないか。本書を読んでいるとその辺りのことが分かる。当然、自分が実際にそういう状況に直面したらこの行間にあるさらに細かいことに対してシビアな意思決定を求められるのだろうが、何しろビジネスを起こしていく、特に技術とビジネスの観点から何をしなければいけないのかというのを考える取っ掛かりとしては非常に参考になると思う。 

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

 

筆致は淡々とさらっと書いている。内容は、ビジネス小説として読めば間違いなく面白いが、この面白くさらっと書いていある内容について少し深く考えてみればそれがいかに困難なことを成し遂げてきたのかが理解できると思う。

ITの時代に特筆すべき存在となったピクサージョブズという各々を理解するのに必読の本だろう。

 

次に何かしようと考えている人は自分をこの文脈の中に置いて考えてみればそのすごさが理解できるのではないかと思う・・・同じ状況で俺にできるのか?って。

本書の構成は以下の通り。各章はコンパクトにまとめらているが、全部で4部28章建てだ。

  •  プロローグ
  • 第Ⅰ部 夢の始まり
  • 第1章 運命を変えた1本の電話
  • 第2章 事業にならないけれど魔法のような才能
  • 第3章 ピクサー派、スティーブ派
  • 第4章 ディズニーとの契約は悲惨だった
  • 第5章 芸術的なことをコンピュータにやらせる
  • 第6章 エンターテイメント企業のビジネスモデル
  • 第7章 ピクサーの文化を守る
  • 第Ⅱ部 熱狂的な成功
  • 第8章 『トイ・ストーリー』の高すぎる目標
  • 第9章 いつ株式を公開するか
  • 第10章 夢のようなビジョンとリスク
  • 第11章 投資銀行界の絶対王者
  • 第12章 映画がヒットするかというリスク
  • 第13章 「クリエイティブだとしか言いようがありません」
  • 第14章 すばらしいストーリーと新たなテクノロジー
  • 第15章 ディズニー以外、できなかったこと
  • 第16章 おもちゃに命が宿った
  • 第17章 ステイーブ・ジョブズ返り咲き
  • 第Ⅲ部 高く飛びすぎた
  • 第18章 一発屋にならないために
  • 第19章 ディズニーとの再交渉はいましかない
  • 第20章 ピクサーをブランドにしなければならない
  • 第21章 対等な契約
  • 第22章 社員にスポットライトを
  • 第23章 ピクサーからアップルへ
  • 第24章 ディズニーにゆだねる
  • 第Ⅳ部 新世界へ
  • 第25章 企業戦士から哲学者へ
  • 第26章 スローダウンするとき
  • 第27章 ピクサーの「中道」
  • 終 章 大きな変化

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著者が最高財務責任者としてピクサーに入った時、問題山積だった。それを一つずつ潰していく過程、そこに関わるステークホルダーたち、世の中のタイミング、後からこうやって振り返ってみるとなるべくしてなるようになったと読めてしまうが、本文にも書いてあるが、そこには多くの困難な意思決定があった。

それを可能にしたのは、目標を明確に定め、そこに向けて、あらゆる可能性を徹底的に考え、議論し、再構築し、さらに考え、できることは全て検討し尽くすということを実践したからこそだろう。

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History (English Edition)

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History (English Edition)

 

少数の経営メンバーで検討していく最中にはいろいろ意見の相違があり、行き詰ることもあっただろうが、そこを一つ一つ解決していく。曖昧な状況はなくす。決めきれないことは、明確に何を次に持ち越すのかを整理する。当然、成功するか否かは分からない。でもできる限りのことはし尽くす。そして結果が出てくる。多くの課題の一つずつが解決され、事態が少しずつ進んでいく。

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History

To Pixar and Beyond: My Unlikely Journey with Steve Jobs to Make Entertainment History

 

その中にはラッキーであったこともあったはずだ。そのラッキーなことが自分たちに起こるのは、事業のリスクや可能性に対する徹底した検討があるからこそではないだろうか。

この本は、未知の物事を成し遂げるには、いかにリアリティを持って、目標を明確にしたうえで、事態を検討できるか、議論できるか、そして判断し、事態を進めることができるかという事がいかに大切かを教えてくれている。最後の第Ⅳ部で語られる「中道」という考え方がそれそのものなのだというのが著者のメッセージなのだろう。

今年13冊目、読了しました。

さて、ジョブズの本から始まったこの流れ、次はどこにいくべきだろうか。脚注で紹介したピクサーの制作側の話を読むか、アップルに戻り、下に引用したティム・クックの本を読むか。あなたならどっち?

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

 

 

*1:ちなみに自分が映画館で見たのはモンスターズインク。これ以降、映画館に行っていないw

*2:ピクサーの作品やそれを生み出す技術面を知りたければこちらの書籍を読むといいと思う。

ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

 

リーアンダー・ケイニー著『ジョナサン・アイブ:偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』:アップル製品の使い心地の良さの理由が分かる一冊

スティーブ・ジョブズの本を読んでいる最中にこの本の存在を知った。当然、ジョブズの本を読んだ後、次に読む本はこの本と決めていた*1

 

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アイブのこの本を読んでいる最中に当の本人がアップルを辞めるというニュースに接した。なぜなのだろう?と思った訳だが、本書を読んでいると、アップルという会社、アイブのアップルでの立場、物作りにおけるデザインの役割を考えた時、辞めるというのはそんなに不自然でないなと思ったのは自分だけだろうか。

 

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

 

 いろいろ考えながら読まされた本である訳だが、章立ては以下の通り。

  • 日本語版序文
  • 主な登場人物*2
  • まえがき
  • 第1章 生い立ち
  • 第2章 イギリスのデザイン教育
  • 第3章 ロンドンでの生活
  • 第4章 アップル入社
  • 第5章 ヒット連発
  • 第7章 鉄のカーテンの向こう側
  • 第8章 iPod
  • 第9章 製造・素材・そのほかのこと
  • 第10章 iPhone
  • 第11章 iPad
  • 第12章 ユニボディ
  • 第13章 サー・ジョニー
  • 謝辞
  • 守秘義務と情報源
  • 注記

読み終えてしまうとあっという間、興味深いという意味で非常に面白い内容だった。

ジョナサン・アイブ

ジョナサン・アイブ

 

 

ジョブズの本を読んだ後だけに、頭の中で比べながら読むところもあり、ジョブズもアイブも父親の存在が大きかったのかと思ったり、環境ってやっぱり大事よねと思ったり、デザインに対する考え方、捉え方で二人は通じ合うものがあった訳だけれど、奇跡のような取り合わせだと思ったりといろいろある。 

Jony Ive: The Genius Behind Apple's Greatest Products (English Edition)

Jony Ive: The Genius Behind Apple's Greatest Products (English Edition)

 

この本は、アイブについて書かれているが、アイブの考え方を通して、デザインというものの大切さが描かれているとも言えないだろうか。デザインから考える・・・まずデザインがあり、それを可能にする内部機器のあり方が決まる。そしてそのデザインそのものは、ユーザが意識しないようにすることが究極の目的だとして描かれている。

ひたすらシンプルさを追求し、追求することで、そこから出てくる様々な課題をあるものはクリアし、あるものは諦め次善の策をとる。それは妥協のない取り組みの繰り返しだった。

 

そういう努力の賜物がアップルの製品だ。同業他社が作る製品とは使い勝手が全く違うと感じさせるのも、デザインという視点で、表面だけでなく、内部までこだわり、また製品を作る思想についても「シンプル」を貫徹して突き詰めるというその姿勢・・・ただただすごいと思った。

この本を読むとますますアップル製品を使いたくなってしまうと同時に、アイブが外に出た後のアップルがどうなっていくのかも見守っていきたいと思うのでした。

今年11冊目読了しました。

 

*1:ジョブズの本についての記事は以下の通り。

mnoguti.hatenablog.com

mnoguti.hatenablog.com

*2:この種の本で主な登場人物が乗せられているのは珍しいと思うのは自分だけ?

京セラ「みなとみらいリサーチセンター」オープニングイベント 「異種格闘技戦’19」:錚々たるメンバーの刺激的な議論でした

京セラさんが、横浜のみなとみらい21地区にリサーチセンターをオープンした。京セラさんは京都が本拠地でR&D部門も全て京都にあるものだとばかり思っていて、それで今回横浜みなとみらいにリサーチセンターを開所したということで関心*1があり、そのオープニングイベントに出てきた。

minatomirai21.com

去年あたりからみなとみらいに足を運ぶ機会が何回かあったが、いろいろな企業のR&D部門がこの地に移ってきているようだ。NTTグループの研究系会社のテクノクロスもこの地にある。昔は横須賀のYRPだったが、これからはこのみなとみらいの地がR&Dの拠点になっていくのだろうか。

 

さて、みなとみらいリサーチセンターのオープニングイベント「異種格闘技戦'19」だが、予想以上に面白かった。」異種格闘技・・・つまり違う分野でのその道の人たちを招き、各々のバックグランドから共通のテーマについて議論を戦わせるというもの。

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その参加者は以下の通り。

当初から予告はされてきたが、会場で改めてこの参加者をみて、多様性の交差点としての異種格闘技戦というものを実感した。それぞれお互いの分野からの見方を尊重し、議論が行き詰ってしまうことなく、いろいろと展開していった(もしかしたら発散していたかもしれない)。

この時の議論を自分が書き残したままに書き連ねると・・・3テーマ(拡張後の空洞化にどうなるのか、課題がなくなった社会での新しい価値観、ほか)ぐらい与えられたかと記憶しているけど、自分のメモと記憶の限りに

  • 拡張はすでに起きている・・・それはネットにぶら下がっている生き方になっている。
  • ジョブズは、商品で世界を変えた、しかも悪い方に変えた。
  • ぐるなびに従うことがネットにぶら下がる。
  • 空洞化の意味が分からない・・・それは退化のこと?
  • 原始人と現代人
  • モノを直す力
  • 役に立たないことに時間を使う贅沢・・・つまり余暇は贅沢な行為
  • しかし、現代に役立たないことが、将来、役に立つ(そういう例が歴史上ある)
  • 空洞化にある種の価値観が入っているのがまずどうなのよ?
  • 形態のシフト・・・適用(進化*2)という視点で見る
  • 進化の段階で見るとデッドエンドに入っている(甲殻類みたいなもの)・・・アドプテーションする?
  • スポーツの記録:伸び続けるのはなぜ?・・・トレーニングとか、栄養状態とメディカルの進歩とか
  • 身体性の重要性(五感があるか)・・・AIがダメなのは身体性の問題、リアリティ
  • 辛い=痛み
  • 体と脳
  • 痛み(失敗)対する予測が行動を抑制する
  • 感じるけど表出できないのか、そもそも感じないのか?
  • 空洞化はどうなったか?

 

ここまでが、「拡張後の空洞化にどうなるのか」のテーマについて。

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そして議論はまだまだ続く。

  • 課題を作れることが価値ある
  • ボケと突っ込み
  • いい作品はボケている
  • 人間は人間にしか感動しない
  • 人間のようなAIには価値はない
  • AIの問題はポストヒューマンの問題
  • ミニスキーは凄い*3
  • コンテクストの存在・・・家、カーサ、メゾン・・・それぞれ頭に描く家は違う(アルプスの少女ハイジの描写)
  • 機械翻訳の限界・・・書き手(著者)のインテンションは分からない
  • 独創性は閃かない・・・ロジカルの大切さ、パワポより文章
  • データベースの並列化(共有化)
  • どのレベルで成立している基準か?・・・上に行くほど共有?しやすい
  • 大気中のコミュニケーションを使わない
  • 技術と技・・・技は伝わらない(デジタル化で必要なくなる)
  • 自己組織化*4・・・ファンクションを伝える

 

まあ、こんな感じだった。これが一連の議論の中で意味のある発言として連なった・・・その会場にいた。正確にはサテライト会場だった。いろいろうなづくところもあったし、よく分からないこともあった。非常に面白いパネルディスカッションだった。多様な視点が必要とされる現代・・・オープンイノベーションの醍醐味といったところか。

下の写真は、攻殻機動隊押井守さん。肉眼で見たのは初めてでった。積極的ではなかったが、一旦口を開くとその発言はハッとさせれることが多かった。

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今回掲載した写真は、イベント後の《京宴ーKyo Utage》ネットワーキング(ヤッホーブルーイングコラボ企画)での紹介のところだ。宴自体は、ヤッホーブルーイングさんなので、ビール飲み放題でかなり盛り上がっていた。

 

*1:イベントでの懇親会で京セラの人に聞いたところ、モノづくりは西日本で、システム系は従来から東日本中心でやっていたそうだ。その東日本の拠点としてみなとみらいにリサーチセンターを開所し、東日本の組織を集めたと確かその人は言われていた。

*2:「進化」にもある種の価値観が入っている。

*3:ミンスキーは懐かしい名前・・・書籍も買ったし、当然積ん読だった。

心の社会

心の社会

 
どっかにあるはずだから読んでみようと思ったりね。

*4:これも懐かしい言葉だ。

自己組織化する宇宙―自然・生命・社会の創発的パラダイム

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この本とか・・・懐かしい。

【渋谷エクセルホテル東急 5F】エスタシオン カフェ:週末の午後にちょっと贅沢な空間でカフェオレを

渋谷、半蔵門線に乗れば浜町からも30分程度、だけどあまり来ない街・・・実は去年から仕事ではそれなりにお邪魔していることをふと思い出したりして。

 

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この日は週末の渋谷、待ち合わせた場所がここだった。

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渋谷マークシティの5階、エクセルホテル東急のフロントの階にあるカフェだ。当然、利用したのはこの日が初めてだったが、ホテルのカフェというのは造りが大きく、広く、高くていい・・・贅沢な空間。

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そして様々な人が行き交うところ。各々が交わることはない。各々が各々の相手と飲み物を手に取りながら話、ある人は軽い食事を取りながら話す。一人でいる人はパソコンに向かっている人が多かったのは最近のテレワークやノマドワークが普及してきた表れだろうか。

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この日、午後4時ぐらいに利用したのだが、この時間がこんなに混んでいるとは知らなかった。お昼の時間をだいぶ過ぎ、ディナーの時間にはまだ少しある。どちらかというとぼちぼち混み始めるぐらいかなと思っていたが、実際は、自分が到着した時、前に7組の待っている人々がいた。これはびっくりだった。

まあ、しかし広いし席数があるので回転もある程度はやい。しばらく入口で待っていたが、程なく名前を呼ばれて2人席に案内される(最終的には窓側の広い席に移動したのでした)。

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そこで頼んだのは、珍しくカフェオレ。シロップとチョコレートが付いてきた。チョコレートはいただいたが、シロップはどうしようか迷った。結局、珍しく試してみようということで入れてみたが、結論としては入れなくてもカフェオレだけあって十分甘みがあり、必要なかったということになった。

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カフェオレは乾いた喉に程よい冷たさで潤いをくれた。ゆっくり飲みながら改めてカフェの中を見回す。やはり広い空間は何とも言えない。これはホテルのロビーやそれに連なるところでないとなかなか味わえない感覚だ。あとは公共空間だろうか。

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こういう空間に身を置けるだけでも贅沢というもの。たまには一人で来て、できたら窓際の席でパソコンを広げながらなんということはなしに思いつくままブログの記事を書いていてもいいなあと思いながら過ごす渋谷の午後でした。 ごちそうさまでした。  

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ウォルター・アイザックソン著『スティーブ・ジョブズⅡ』:すべてが一体となって機能する

第Ⅱ巻、ちょうど1ヶ月かかった。その間に日本のパソコン史を読んでいたからだが。

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第Ⅱ巻は、圧巻だ。そりゃそうだろう。ジョブズが復帰してからの怒涛の進撃が描かれているのだから。Think Differentから始まり、iMacアップルストアiPodiTunesストア、iPhoneApp StoreiPadiCloudと連なる技術革新の数々・・・すべてが一体となって機能することを技術の進展とともに突き詰めていった歴史。 

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ビル・ゲイツマイクロソフトがとったオープン戦略、それは今も産業レベルでは標準的な考え方ではなかろうか。そうではなかったのがジョブズであり、アップルだった。しかし、よく考えれば、オープンとクローズという二項対立で捉えられがちなこの関係もオープンの度合い、垂直統合の度合いと考えれば、単純な二項対立ではなく、オープンからクローズまでいろいろな戦略が考えれ、それぞれがその中の1つだったということではないか。

  • 第22章 再臨 野獣、ついに時機めぐり来たる
  • 第23章 王政復古 今日の敗者も明日は勝者に転じるだろう
  • 第24章 シンク・ディファレント iCEOのジョブズ
  • 第25章 デザイン原理 ジョブズとアイブのスタジオ
  • 第26章 iMac hello(again)
  • 第27章 CEO 経験を積んでなおクレージー
  • 第28章 アップルストア ジーニアスバーとイタリアの砂岩
  • 第29章 デジタルハブ iTunesからiPod
  • 第30章 iTunesストア ハーメルンの笛吹き
  • 第31章 ミュージックマン 人生のサウンドトラック
  • 第32章 ピクサーの友人 ・・・そして敵
  • 第33章 21世紀のマック アップルを際立たせる
  • 第34章 第1ラウンド メメント・モリーー死を忘れるなかれ
  • 第35章 iPhone 三位一体の革命的製品
  • 第36章 第2ラウンド がん再発
  • 第37章 iPad ポストPC時代に向けて
  • 第38章 新たな戦い 昔の戦いの余韻
  • 第39章 無限の彼方へ さあ行くぞ! クラウド、宇宙船、そのまた先へ
  • 第40章 第3ラウンド たそがれの苦闘
  • 第41章 受け継がれてゆくもの 輝く想像の天空

第Ⅱ巻は、大きく分けるとやはり3つに分けられるか。まずはアップルへの復帰から27章のCEOの就任までが最初だろう。次がアップルストアから33章まで、そして最後が闘病しながらも、iPhoneiPadiCloud等を生み出していたったジョブズの姿が描き出されている第34章から第41章まで。

アップル製品の使い心地の良さはなぜなのかということがこれでもかという製品開発時のジョブズの行動で思い知らされる。例えば、デザイン優先のこだわり(シンプルであることの追求)、消費者を常に念頭に置いての製品設計などだ。今の消費者を調査しても、将来消費者が望むものは分からないからやらないという調査屋泣かせの記述もある。

スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II

 

それから日本にはimodeというサービスがあったが、それは消えてしまう(2019年9月30日で新規申し込みは終了)が、アップルが作ったiMacからiPodiPhoneiPadiCloudとiがつけられた機器・サービスが続き、これからも生き残っていくというこの違いはどこから来るのだろうか*1。点と点とつないで考えているか否かの違いか。

 

 

アップルのクローズ戦略は先頭に立つジョブズがGoing Concernを目指したということが大きい。そこがすべての出発点。その考えを実現するには、消費者のために商品を提供することを考え、消費者は何を望むかを考え、そこからまずデザインを決め、そしてハードが決める。消費者が望んでいることを実現することに徹底的にこだわれば、垂直統合しかないだろうということで、クローズ戦略ということになる。

 ユーザエクスペリエンスを重視し、それを最大化しようとすれば、垂直統合ですべてをコントロールすることがベスト・・・徹底していたんだ。そういう全てに対するこだわりが貫徹しているからこそ、購入後も捨てられない箱が積み上がる。

久々にすごい本を読んだという読後感。いろいろ考えさせられることもある。どこまで活かせるかはわからないけど、この本に書いてあったことには影響を受けるだろう。それほどの本だった。

まだ読んでない人は是非読まれることをお勧めします。

最後にスタンフォード大学の卒業式辞のリンクを貼っておく。


www.youtube.com

Stay Hungry, Stay Foolish・・・貪欲であれ、初心を忘れるな・・・と僕は理解したい。

今年9冊目読了しました。

 

*1:自分はimodeの方が先ではなかったからと思っていたが、実はほぼ同じ頃であり、iMacの方が早かったということだ。本書を読んで、アップル製品のiは、indefinite(無期限)のiなのかと思ったりもした。

点、線、面で考える

点を見つけることが最初

世の中で注目されてることの一歩先を行けるのがいい

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点が見つかったらそれを線にすることを考える

線は複数作るか1つに絞るか・・・1つに絞る

ストーリーを考えて進める・・・途中変更はあり、貪欲に周りを吸収する

つまり変幻自在にやる

ただし、哲学は一貫していることが肝

そしてその線を今度は面に広げることを考える

いろいろな分野と行き交うことになる

自分は自分を大切に

・・・というようなことをこの人の伝記を読みながら考えている。

Steve Jobs: The Exclusive Biography (English Edition)

Steve Jobs: The Exclusive Biography (English Edition)

 

 

面を作るまで行ければいい

でもそれがゴールではない

繰り返すけど本人がブレてはいけない

自分の道を極めるために突き進む

それは自分のためではない・・・ということを実践したい

思いつきで、その場だけでは終わらせない

日和見主義にもならない

そしてゴールはない