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ジェームズ・W・ヤング著『アイデアのつくり方』:読めば分かるが、実践するのは難しい

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この本を知ったのはとある大学の先生がつぶやいていたのを見かけたことがきっかけだった。何しろ薄かったので簡単に読めそうだったのが良かった。実際に簡単に読めたかというとどうだろうか。

60 pages of text, less than 90 pages thin including commentary

本文60ページ、解説含めても90ページ弱の薄さ

本文60ページは読むだけなら60分かからないで読み終えてしまうだろう。しかし、この本はサッと読むのではなく、じっくり考えながら噛み締めながら読みたい内容だ。書いてあることは、社会人なら多くの人が経験していることで新しい発想を得て、それをものにするための方法論をアイデアをキーワードに著者の経験に基づいてまとめてあるものだ。だから「あぁ、そういうの他の本でも読んだ」とか、「すでに知っていることだな」で終わってしまうこともできる。でもそれではもったいないのがこの本だ。それはこの薄さにある。

本文60ページだが、内容は厚い。短い文章で書いてあることは考えることの大切さを気づかせてくれるものだ。だからじっくり考えながら読みたい。そういう本だと思う。内容は以下の通りだ。自分の場合、竹内均氏による解説を読んだ方がすんなり頭に入ってきたりした。

  • 序ーウィリアム・バーンバック
  • 日本の読者のみなさんに
  • まえがき
  • この考察をはじめたいきさつ
  • 経験による公式
  • パレートの学説
  • 心を訓練すること
  • 既存の要素を組み合わせること
  • イデアは新しい組み合わせである
  • 心の消化過程
  • つねにそれを考えているきおと
  • 最後の段階
  • 二、三の追記
  • 解説ー竹内均
  • 訳者あとがき

解説を読んでから再度本文を読み返し、自分の思考過程は今までどうだったのかを振り返ってみるのがいいのではないかろうか。おそらく多くの人は知っている内容だろうが、実践できていたかというと、全てをこなせていないのではないか。5つの過程*1が示されているが、特に真ん中から後ろ・・・考えを無意識の中で熟成させる過程については気づいていない人が結構いるのではないかと思う。煮詰まってどうしようもなくなった後に新しい発想はふと訪れることがある・・・というあの過程だ。そしてそれを実際に使いこなすには実際に合わせて調整する必要があることが最後の過程として指摘されている。

新しいアイデアを得るためには、日頃の情報収集と整理、その理解の後が大切だということをこの本は改めて気づかせてくれる。この過程をわかって日頃の情報収集や整理を行うのとこの過程を意識せず行うのとでは結果は全く違うものになる可能性が高い。

考えに行き詰まったときにぱらぱらっとめくって読み返し、自分を冷静にするために本書は常に机の片隅に置いておきたい1冊だと思う。

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*1:5つの過程は、以下の通り。竹内均氏の解説での言い方であげておく。括弧内は本文での言い方。

  • データを集め(資料集め)
  • データを咀嚼し(資料に手を加える)
  • データを組み合わせ(孵化段階)
  • ユーレカの瞬間(アイデアの実際上の誕生)
  • イデアのチェック(具体化し、展開させる段階)