2年ぶりにいただいた新子はやはり新子だった。
日本橋蛎殻町の水天宮さんの近くにある鮨屋、鮨処 雅では天然物の素材を中心に旬のネタが出てくる。この時期の旬のネタといえば、新子が代表だろう。早いのは、6月中旬ぐらいに出てくるが、それだと一貫に10枚以上つく時もある。今回は、5枚か3枚付だった。早いものを好む江戸っ子的には6月中旬の出始めを食べたいものだが、美味しいのは今回のように、5枚か3枚付ぐらいがいい。
だから新子を食べたければ今がチャンスなのだ。鮨屋ならどこにでもあるわけではないし、出している鮨屋でも仕入れ次第なのでいつもあるわけではない。食べられただけでラッキーなわけだ。これで今年の後半もいいことがありそうだなどと勝手に思いながら味わい食べる。
これがこの日の新子の全て・・・50枚ぐらいあろうか。上の方は小さめの5枚付、手前側は少し大きめで3枚付になる。これを一匹ずつ丁寧に並べ、握っていく。その所作を見ているだけで、希少価値が、美味しさが伝わってくる。
カウンターに座った6名が皆、注目し、出されるのを今か今かと待つ。1尾1尾の新子に感謝しながら、目の前のにぎりと対座する。ゆっくり食べさせてもらう。
この時期だけしか食べられない。どこででも食べられるわけではない。この時期にいつでも食べられるわけではない。季節と手間とタイミングが合わないと食べられない貴重なにぎり。これからは豊洲にあれば食べられる可能性が高いので、いろいろな人に是非味わってほしい。
新子のにぎりはこの日の後半だったので、当然、その前にはいつものつまみやにぎりを堪能させてもらう。
にぎりは、金目の昆布締めから始まり、真鯛(皮付き)、漬けマグロ、中トロ、ホッキ貝、小丼(蟹身、いくら、ウニ)、車海老、中落ち手巻き、うにのにぎり・・・いや、美味しいにぎりの数々も堪能させてもらう。
常連さんたちのカウンター、いろいろな話に花がさく。そしていつしか、美味しい時間も終わりを迎える。デザート的な玉子のにぎりとデザートの食用ほおずき・・・満ち足りた気持ちと共に最後の美味しさを味わう。
実は、その後にさらに追加で、最後の最後に小肌を頂いたのでした。新子もいただき、小肌も食べる。美味しい夕食のひと時となりました。
この日のお酒はいつもと同じ、エビスの生ビールと日本酒は、新潟の酒、鄙願(ひがん)と五合庵を頂いたのでした。
新子の季節が来ると、次は新イカの季節がすぐそこだ。来月には新イカのにぎりが食べられるのが楽しみなどと考えんがらお店を後にしたのでした。
美味しいひと時をごちそうさまでした。