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徐向東:中国人に売る時代!−巨大市場開拓の成功法則

とあることがきっかけで読んでみた・・・徐向東氏の著作。彼は現在日本でビジネスをしているが、毎週のように中国と行き来している。そういう意味では日本の今と中国の今をリアルタイムで常に比較している人物であり、その目に日本経済、ビジネスがどのように映っているかは非常に興味のあるところ。

本書は1年前の出版なので、現在の中国はさらに変化していることは容易に想像がつく。逆に言えば、ある意味、この本に書いてある内容はすでに古くなっている部分もあるということになろうか。それでも本書を読むことは、今の日本経済の凋落ぶりを考える上で参考になる。

章立ては以下のとおり。

  • 第一章 世界市場の新しい主役・中国人の消費パワーを知る(?中国人の消費パワーを知る、?中国の正しい情報取得法を知る、?中国の奥深さや地域多様性を知る、?中国人の国民性を知る)
  • 第二章 中国市場の「いま」を知る−「行け行けドンドン」から「安心・安全・健康・エコ」に変貌(?中国の消費の主役「新中間層」を知る、?新しい主役層の「80後」世代を知る、?中国の新しい消費トレンドを知る)
  • 第三章 中国市場開拓 成功事例から学ぶ(?「行け行けドンドン」の取り込み成功法に学ぶ、?「安心・安全・健康・エコ」活動の成功法に学ぶ、?若者や女性層の囲い込み成功法に学ぶ、?ネットと通販のマーケティング成功法に学ぶ、?伝統業界に新しいチャンスを見出す成功法に学ぶ、?小売業の現場から中国人顧客対応の術を学ぶ、?アニメ映画からコンテンツン産業成功法を学ぶ、?韓国企業に中国市場開拓の本気度を学ぶ)
  • 第四章 日本企業の中国市場開拓戦略を考える(?中国のケータイ市場に対する日本企業の敗因から学ぶ、?日本企業の中国戦略の課題を考える、?日本企業の中国市場開拓の成功法を考える)



4532490766 中国人に売る時代!
徐 向東
日本経済新聞出版社  2009-11-20


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まず本書を通読して感じるところは、中国の経済成長のすさまじい勢いとその変貌ぶりだ。技術の普及は先進国も途上国も時間差がなく入っていく、否、途上国の方がそれは早い場合もある・・・と言われることがあるが、まさにそれを体現しているのが今の中国だということが伝わってくる。

本書に書いてあることは、中国市場でビジネスを展開するために必要な視点であるが、それはマーケティングや企業戦略を考える上でオーソドックスなことであり、特別なことは書いていないと言っていいと思う。

要するに、中国での日本企業は各企業の中国市場のポジションでやるべきことをやれていないために苦戦しているということだ。だからそこができている日本企業は成功している。そしてそのような事例も紹介されている。

本書で書かれていることは、基本的なこと・・・つまり、中国人の顔を見てビジネスをせよ、土地によって、世代によって、その時代によって、みな違うのだから、セグメンテーションを間違えるなということだと思う。それから流通網の作り方、販売網の作り方をそれに基づいてどう築いていくのか、思い切った投資ができるのか・・・自らのビジネスを展開するにあたって何が肝になり、そこからどのように発展させていく必要があるのかを考えなさいというメッセージだろう。

この本はある意味自信をなくしている現在の日本企業一般について、自信を持ってやることをやればビジネスはうまくということを明らかにしたものだろう(楽観的に読み過ぎだろうか)。


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