日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

島田太郎、尾原和敬著『スケールフリーネットワークーものづくり日本だからできるDXー』:次の収穫逓増はべき乗則によってもたらされる

マクロでは経済成長はなぜ可能なのか、ある時期から成長のスピードが速くなったのはなぜか、バブル以降日本経済の成長率が上がらないのはなぜか、ミクロでは企業成長(あるいは市場での勝利)はどのように実現されるのか・・・長年の謎だった。

Scale Free Network

スケールフリーネットワークとは?

その謎に対して、産業革命以降の経済成長の実現は技術革新が大きく影響している、技術の生産工程への応用が規模の経済性を実現し経済成長がそれ以前の時代に比較して目に見えて高くなったことだということが分かった(下記の記事参照)。

mnoguti.hatenablog.com

さらに、下記の書籍を読んで経済成長と知識・情報の関係が、そしてなぜこれからは知識や情報が重要なのかが分かった。そこからさらに、これからの時代はどうなるか、あるいは、情報や知識が経済成長に寄与すると言われてきたがその実際のメカニズムはどう理解できるのかということが新たな謎として浮かんできた。

mnoguti.hatenablog.com

その答えの一つとして今回のスケールフリーネットワークがキーワードとして現れた。それを思いつくままシェアリングエコノミーを経済成長を実現するDXの観点から考えてみたのが以下の記事だ。

mnoguti.hatenablog.com

情報や知識がネットワーク化されることによりべき乗則による収穫逓増が実現され、それが経済成長をもたらすのだと教えてくれたのが、下記の書籍。今回、読み終えたところだ。自分としてまだ完全に理解できてはいないが情報社会における経済成長の源泉としての情報や知識と経済成長を実現するためのネットワーク化によるべき乗則の実現がポイントであることは分かった。ある意味、長年の暗闇の中で迷っていたのが、遠くに灯が見えた感じだ。

スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX

スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX

 

本書の内容は以下の通り。これまでのGAFAに牛耳られている状況から日本が脱出するためにDXをどう進めたらいいかということが書いてある。本書は最後の2章は対談なので著者たちが言いたいことは4章までに書いてある。どの章もじっくり読みたいが、本書は議論の入口を示してくれているところでさらに詳しくスケールフリーネットワーク等について勉強することが必要だろう。

  • はじめに
  • 1.日本企業は「DX」にどう立ち向かえばいいのか
  • 2.スケールフリーネットワークの爆発力
  • 3.アフターデジタルの世界で日本が持つ優位性
  • 4.日本がとるべきステップとは
  • 5.発想を転換できれば、日本にはチャンスがある(松尾豊氏との対談)
  • 6.二回戦に向けて、日本企業が備えるべきこと(入山章栄氏との対談)

そのためにも本書の4章まではじっくり読みたい。

 

すでに出ているがこれからのキーワードがスケールフリーネットワーク。実はGAFAのビジネスはこのスケールフリーネットワークの特性を生かしたものだということ。それはサイバー空間上でのことでありこれから本格化するサイバーフィジカルの世界はまた別であり、モノづくりで強かった日本にはその辺りの資産はたくさんあるのでそこを生かせば第2ラウンド(サイバーフィジカル空間)では巻き返しが可能だという内容。

これまで散々、情報化だ、ネットワーク化だ、クラウド化だと言ってきてそれが経済成長を速めることにあまり貢献してこなかったと思われる日本経済・・・デジタルトランスフォーメーション(DX)では同じ轍を踏まないように何を目的にどうしたらいいかが書いてある。そのキーになるのがスケールフリーネットワークだ。べき乗則を最大限活かすためにどうすべきかを考えながらビジネスを組み上げる必要があるということ。

 

そのためにはべき乗則がどういうものかをさらに具体的に知る必要があると思う。そういう点で、本書はそのきっかけを作ってくれた一冊ということになろうか。また、著者たちがいうようにモノづくりの実績がある日本がサイバーフィジカルの第2ラウンドで強さを発揮できるかは、そんな簡単なことではなく、色々クリアしなければいけない課題があるように思える。端的には、モノづくりを復活させたいという思いがいまだに強い人が多いという点だろう。モノづくりでの過去の資産を活かすためにはその考え(モノづくりを復活させたい)を捨てないと到底無理だと思う。

 

さて次はサイバーフィジカル空間がどういうものかもう少し詳しく知りたいと思う。

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