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Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

城山三郎:もう、きみには頼まない

城山の澁澤物語を読んだ後、Amazonのレコメンデーションに、「現代の澁澤」というようなお薦め文(だったと思う)があったのが目に入り、思わず買ってしまった。

少年期から青年期を経て、晩年にいたるまで石坂泰三の生涯について書かれている。

4167139235 もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界
城山 三郎
文藝春秋  1998-06


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逓信省に入省した後、第一生命へ移り、戦後は労働争議の厳しい東芝を建て直すことによって今日の礎を築いた。そしてその後は経団連の会長として日本経済を成長させることに精進し、最後は大阪万博の会長まで勤めた人物である。

今回、この本を読むまで石坂の存在は知らなかった・・・日本現代の経済史など学んだことがないし、通信産業以外のことにはまったく暗い・・・自分の知識がいかに偏ったものかを再認識した次第。

石坂は正当な考え方を持ち、かつそれを通す、まっすぐな人。

小細工を弄することなかれ、経営に秘訣なし、ただよく勉強することだ

が、石坂の基本的な考え方だった。本書に描かれる石坂の生き方は泰然自若という言葉を思い出させる。そして戦時中、日本の不利な戦況をいち早く捉えていたりしたことからも想像できるとおり、またその考え方の通り、よく勉強(世の中を見聞)していたのだろうということが分かる。

石坂は日々を、その日を目一杯生きることを考えながらやってきた人らしく、生活のすべてが活動的だ。あらゆることに興味を持ち、積極的に活動していたようだ。見方を変えれば、日々の努力や勉強ということになろうか。

また権力にひるむことなく、筋を通し、物事を実施していく点など現代の経済人としてのあり方を再度考えさせてくれる。

日本現代の経済史の一面をまた興味深く知ることができた。

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