日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

国際競争力もへったくれもない・・・やることやってないことが最大の問題

昨晩、ある会合での講演を頼むため、その講演者候補の方にあった。中国の方だが、40代前半で、働き盛りといえば働き盛りなのだが、その点を差し引いても、考え方が前向きで具体的・・・だから説得力がある。おまけに気さくで話しやすく、楽しい(われわれはちょっと行儀が良すぎないか・・・というのがその時の思い)。

その人には中国の現代ビジネスとICT市場について話してもらう予定なのだが、それについて簡単な打ち合わせをしているときに中国や日本についていろいろ話に及んだ。印象に残っている話をメモとして残しておくと・・・

  • 中国の変化は激しい。1年も経てば大きく変わる。5年も前の知識では通用しない。それは中国人本人が帰国したときにも実感すること。例えば、中国といえば昔は自転車だったが、今は自家用車だ。北京の朝と夕方の2時間は外出しない方がいいと言われるぐらい交通渋滞がすごい。
  • ビジネスの仕方もそうだ。昔の印象のまま進めようとするとうまくいかない。MBAを卒業してきて、そのやり方をストレートに応用してビジネスをしている。
  • 中国や韓国の企業の欠点をあげつらい批評する、あるいは所詮彼らのやっていることは日本の二番煎じだと言う日本人がいるが、中国や韓国の企業は欠点があっても、二番煎じだとしても彼らは今ビジネスで成功しているし、成長している。そこをしっかりと認めるべき。おそらく日本の高度成長期もそうだったのではないか。
  • 失敗を怖がっていては何もできない。新サービスを提供するについても、完全なサービスを出そうとして時期を失するよりは、ここだと思ったときに出せるもので出してしまった方がいい。それから欠点は補って行けばいい。昔のマイクロソフトのOSやアプリケーションソフトはそうではなかったか。ソフトバンクのビジネスもそれに近いものがある。
  • さらに日本の商品が売れないのは、現地での調査をきちっとしていないことが原因ではないか。仮にしているとしてもそれを製品開発に生かしていなるとは思えない。サムスンが自分の顔が取れるカメラを搭載した端末を出した。これは売れている。なぜならば中国人は自分の顔を撮ってネットに公開するのが好きだ。こういうユーザーの嗜好を捉えて製品化することができていないのではないか。
  • サムスンなどが数カ月のサイクルで新製品を出してくるのに対し、日本のメーカーは半年に1度とか、サイクルが遅い。スピード感に欠ける。
  • 経営者が高齢すぎる。中国はみな40代だ。日本人は何歳が中心か?リーダーシップをとって皆を引っ張っていくことが必要な時、高齢な社長でどこまでできるか。
  • 中国の外来語には、日本人がその昔英語を漢字に訳したものを輸入したものがいくつかある。たとえば、経済。今の日本はローマ字やカタカナが氾濫しており、そういうことは現代ではなくなっている。
  • 日本人女性が目立つが、男性が目立たない。彼らはどこにいったのか?
  • 人形町周辺は古き良き日本が残っているいい街。ここの環境を国際観光資源としない手はない。人形町周辺は老舗の店や伝統の食品が入手できるグルメ街、大江戸温泉のような温泉をその近くに作り、東日本橋の問屋街をショッピングセンターにする。そうすれば中国の人はたくさん来るようになるだろう。

こんなような話を2時間弱、いろいろさせてもらった。彼が言っていたのは、日本は技術は持っているはずだということ。この点は唯一日本を評価している点だったが、あとは人形町とその周辺の素晴らしさをほめただけで、現代の日本ないし日本企業を評価するようなコメントは無かった・・・と思う。

一人と話しただけでなので断定的に言うのは短絡的だが、日本経済の立て直しには、国際競争力などというマクロの観点より、個別企業の具体的に製品に対するマーケティング、開発、製造、流通販売という各ビジネスのステップでそれぞれ問題を抱えているのだろうから、そこを一つずつ解決して行くしかないのではないかという思いが残った。

日本経済を立て直すのは、日本企業とそこに働く人々なのであり、国ができることは所詮それをアシストするだけだ。それなのに今の企業人は何かあると国に助けを求め、国の責任を声高に叫び過ぎてはいないか。その前にこの地球規模でのビジネスの変革期についていく体制が整っているのか、まずは自ら再度確認する必要があるだろうとつらつら考えていた。

ではそのような時、シンクタンクという職業についている我々はどのような役割があるのであろうか。

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