日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

IP電話は何者か?

今、通信市場は、以下の3つの市場に分けて分析されることが多い。

  • ネットワーク市場
  • プラットフォーム市場
  • コンテンツ市場

これら3つの市場は電話の時代には一体化しており、分化しておらずわれわれはこのような階層構造を意識することなくサービスは提供されてきたし、通信サービスを提供するための制度上の枠組みのそうであった。

ところが、IPになったからか、ブロードバンドになったからか、ここ数年で実態上もこの階層構造がかなりはっきりしてきている。当然、制度的枠組みもそれに沿って変容していくことになろうし、事業者の戦略もそれで大きく変わるだろう。

われわれの立場からしてみれば、まず市場がどういう構造になっているのかを正確に把握することから始めなければならない。そこで・・・

IP電話である。従来の加入電話ISDNの直系の子孫であると考えられるIP電話だが、ブロードバンド時代での位置づけはちょっと異なる。従来の電話は、それでネットワークのほとんどすべてを代弁するほど通信サービスの中で巨大な存在であった。当然収入源としてもそうであったが、IP電話は異なる。

気がついてみれば、同じ音声を伝送するサービスでもIP電話はその収益源としては限りなく小さく、ほとんどないに等しくなるかもしれない。またネットワークに関しても、IP電話が使う部分はその一部で主要なサービスではないであろう。そう、IP電話は巨大なブロードバンドサービスを提供するためのオプションの一つと考えた方がいいかもしれない。

要するにプラットフォーム上で実現される多種多様な付加機能の内の一つだということだ。そうやって考えれば、従来の音声市場が急激に縮小し、今までの市場は他のコンテンツ市場に取って代わられることになることは容易に想像がつく。

ユーザの財布は限られていて、その使い方も急激に変動することが少ない以上、今までの通信費の中で多様になった通信手段それぞれに支出していかなければならない。よってこれまでの通信支出の対象であったネットワーク市場の料金が急速に下がり、その市場規模を小さくするのも当然といえば当然なのだろう。

そこで節約された分がプラットフォーム市場やコンテンツ市場で支出されるようになれるのが最低限の合格ラインで、現在、そのようになっているかというとどうなのだろうか。恐らく減ってはいないと思うが、分析するのが難しいところだ。