日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

3000万回線光ファイバ化の狙い

NTTが2005年11月に「NTTグループ中期経営戦略の推進にむけて」を発表した。

そこでは引き続き2010年に光ファイバを次世代ネットワークのアクセス回線として3000万ユーザに提供することが目標としてあげられた。それと同時にブロードバンド・ユビキタスサービスとして次世代ネットワークを利用した具体的経営戦略を示した。

次の3点について中期経営戦略を中心にその背景を探ってみる。

  • 光ファイバ化の背景
  • ADSL、CATVとの競争の勝算

  • ライバル他社にとっての3000万の意味

今回の中期経営戦略ではNTTグループとして将来のサービスの構想が述べられている。そこから明らかになる3000万回線光ファイバ化の狙いは次のとおり。

1 光ファイバ化の背景

NTTグループ中期経営戦略によると、その中心は2つ。

  1. 次世代ネットワークの構築
  2. ブロードバンド・ユビキタスサービス

現在、インターネットのブロードバンド化がかなり進み、そこではプラットフォームやコンテンツ・アプリケーションという新しい市場が成長してきている。その部分をより成長させるためにはより高度なネットワークが必要である。それの高度な要求を満たすネットワークが次世代ネットワークであり、その次世代ネットワークのアクセス回線としてスペックを満たすのが光ファイバによるアクセス回線と考えられる。

NTTグループを含む通信事業者は、電話を中心とした競争の時代からブロードバンドの次代まで固定通信市場は料金の値下げ競争が中心であった。

(ブロードバンドの時代にはそれに加えて伝送速度の競争が加わった。これは見方を変えればキロビットあたりの料金競争と言える。おかげで日本は世界一安い料金を達成することになった。)

一方、事業者にとっては固定通信市場は料金競争の進展で縮小の一途であり、その流れを変え、利用者のARPUを上げ、企業価値を高めたいという考えもある。

その利用者のARPUを上げるための具体的戦略がブロードバンド・ユビキタスサービスとして明らかにされているものだ。

なぜ3000万を5年間で整備するかといえば、ネットワークを介して提供されることによる。ブロードバンド・ユビキタスサービスをスムースに離陸させるためには、それを利用できる大きな需要母体(光ファイバユーザ)が必要であるからである。

従来、上位レイヤとネットワーク部分はニワトリと卵の関係で言われることが多かったが、その部分でNTTがリスクをとり、3000万を積極的に整備することによりこのニワトリと卵の関係を正の循環に変えようというものである。

つづく

2 ADSL、CATVとの競争の勝算

上位レイヤの需要が立ち上がらないと、光ファイバの需要は出てこない。光ファイバがBBサービスで中心的な役割を果たせるようになるかどうかは需要の立ち上がり次第である。

ADSLやCATVもサービスの開発を進めていくであろう。現状で技術的な優位性は光ファイバが持っていると見えるが、それを十分活かすような需要、ニーズが出てくるかはわからない。

そのようなリスクを少しでも低くするために、ブロードバンド・ユビキタスサービスはオープンな環境を作り、いろいろなプレイヤとの協力のもと、IT産業全体として成長していくことを志向している。

3 ライバル他社にとっての3000万の意味

現状の開放義務を前提にすれば、KDDIソフトバンクDSL事業者のイー・アクセスなどにとっても3000万をNTTが敷設することは・・・

電力会社、CATV会社

さて、この記事の完成版は、年明けにとあるビジネス誌に掲載される予定です。

そのときはまたお知らせしますので、お楽しみに!

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