日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

ベストエフォートとBBサービス

ブロードバンド(インターネット)サービスは、ベストエフォート・サービスである。

インターネットがブロードバンドサービスとなりここまで急速に普及した背景には、それがベストエフォート型のサービスであったからであったと言える。それは旧来の市場区分を前提にした日本ではことさら意味が大きかったといえる。

そのベストエフォートが今問われようとしている。これまではベストエフォート型でもよかったが、これからはどうだろうか。

今までの通信サービスの進化の方向はより高速サービスを求めるというものであった。それは、世界でもっとも早いといわれるアクセスサービスが提供されることによって達成されたといえる。

ちなみに今までは、インターネットがそもそもベストエフォート型ということの他に、日本の通信市場を考えたときベストエフォート型でしか、サービスの提供はできなかったのではないかと考えられる。つまり、アクセス回線の速度をギャランティ型にしても、中継回線、あるいはサーバー側の回線がギャランティ型になっていなければエンドユーザがend to endでギャランティされたサービスを利用することは不可能ではなかったか。

ギャランティ型サービスが求められるようになったとき、今の産業構造には無理がないであろうか。公衆回線サービスにおいて今のままの産業構造ではギャランティ型サービスは提供しにくいのではないか。

つまり1999年のNTTの再編によってネットワークが分断された国内市場ではNTT自身がギャランティ型サービスを提供しづらい市場環境にあったこと、市場でのドミナントキャリア(=NTT再編4社)の行動の制約は通信サービスの進化の経路をおのずと制限することになったことなどの理由による。

光ファイバ・サービスが本格的に普及し始めたことによって、速度競争は一段落し、BBサービスの進化の方向は通信品質(QoSにその中心を移していくであろうと考えられるが、それはコンテンツ産業の発展と鶏と卵の関係にあるといえる。

仮に日本が真に世界最先端のブロードバンド・サービスを利用できる国として今後も行きたいのであれば、ネットワークを分断するような競争政策はやめるべきであろう。またレイヤ間の参入退出も自由化し、誰でもがリスクを取り、ビジネスを展開できるような市場環境を整備すべきである。

これまでのベストエフォート・サービスが果たした役割は大きい。しかし、今後を考えたとき、事業者にギャランティ型サービスの提供するインセンティブを与えるような市場環境の整備が今後必要とされる。

最後に、強い企業の力を抑えて競争他社を育てるような政策では真に競争力のある企業は育たないと思う。

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人口が減少していく社会は当然のことながら、人口が増えることにより経済成長することはない。

よって、さらに経済成長を求めるとすれば、海外市場で勝ち抜かなければならないのであり、国際競争力という話がまた出てくるようになる。

NTTが再編されたと当時、橋本内閣により情報通信の国際競争力の観点も一つの重要な論点だった。

今回、このベストエフォートサービスの功罪および今後を考えるに当たっては、情報通信市場で再度国際競争に打ち勝つ和製企業を出すためにはどうしたらいいかという視点からの議論が必要になる・・・と思う。