日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

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算数と数学の不幸な位置づけ2

2004年9月18日の日本経済新聞の教育欄に「『数学的考え方』重視を 実社会の問題解く手がかりに」という見出しで東京理科大の芳沢光雄先生の文章が出ている。

そこには社会に出てから数学がどのような場面で必要になるかが書かれている。現状では数学的ものの見方、考え方ができないから、算術としての計算方法は知っていても、それを実際の問題に役立てる方法が分からず苦労する様が紹介されている。これは自分も含めて多くの社会人が経験していることではなかろうか。

この例を見ただけでも、自分の経験を照らし合わせただけでも、現在の日本の数学教育が抱える問題が明確に分かる。

問題はこういう現実に対して、日本の数学教育がどのようになっているかというとだろう。端的にはマークシートの導入により、問題は計算力を問うものが主流となり、論理的に考え解く問題はますます少なくなる傾向にあると言う。

今後、IT社会、情報社会といわれる時代が本格的になってくると思うが、そのような社会を考えたとき、数学で論理的思考能力を鍛錬することはますます重要性を増してくるだろうと芳沢氏は指摘している。その一文を引用すると・・・「知的財産権をもつような高付加価値商品を生み出すには、新しいものの創造に向けて試行錯誤を繰り返す力が必要になる。この力を身につけるのに、粘り強く『証明』問題にチャレンジする学習はもってこいである。」ということになる。

後半では日本の教育は「受験教育」と「ゆとり教育」の間を振り子のように触れる特徴があると指摘がなされているが、数学教育を見直すには、まず大人が数学に対する認識を改める必要があるのではなかろうか。これは学校の先生や文部科学省に任せてはおけない問題だと思う。

芳沢氏は具体的には、「今こそ『振り子論』を克服し、『興味・関心』と『系統的な指導』の両者を弁証法的に発展させて行かなければならない。それは数学で言えば、計算など基本を大事にした上で、『数学的なものの考え方』や『証明』を強く意識した教育である。」としている。