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生島淳著『箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ』:たかが箱根、されど箱根・・・往復10区200キロに隠された多彩なドラマ

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今では正月2日、3日のTV番組といえば、たいがいの人は箱根駅伝を思い浮かべるのではなかろうか。その箱根駅伝がTV中継されるようになったのは、1987年からだそうだ。箱根駅伝の歴史からすると意外と最近のこと。

www.hakone-ekiden.jp

自分の故郷は大磯だ。就職する前まで住んでいた。大磯は駅伝区間だと往路4区(復路は7区)にあたる平塚中継所から小田原中継所の間になる。幼少の頃は親に連れられ、小学生になってからは友達と、箱根駅伝がどういう競技かもよく分からずに、沿道でその走りを応援の小旗を振りながら見たものだった。その頃、TV中継がされる前だった箱根駅伝は今ほど沿道の応援はなかったと思う。

Nine dramas make you think about many things.

9つのドラマがいろいろなことを考えさせる

TV中継されるようになっていろいろなところが大きく変わった。今では沿道の応援が切れることはない。多いところでは人垣が十重二十重に重なる。その中で数々のドラマが生まれる。そしてドラマはコース上だけではなく、その裏側でもさまざまな人間模様が繰り広げられる。この「箱根駅伝ナインストーリーズ」は、伝統校から新興校までいろいろな大学のその時の選手や監督、主務、マネージャーの物語なのだ。そしてそれはTV中継されるようになり大きく変わった箱根駅伝がどういうものかを教えてくれる。

選ばれたナインストーリーズは以下の通り。名前が出ているものもあるし、名前はなくても誰が主役かはおおよそ分かる。一方、裏方(という言い方がいいかはあるが)の話もある。選手、指導者を中心に箱根駅伝の主役が9つの物語にまとめられている。

  • 今井、柏原、神野が、山の神になったとき
  • 青山学院の初優勝を支えて
  • 原監督が、名門・駒澤を抜いた
  • 横に曲がった人がいる
  • 瀬古のラストスパートには狂気がある
  • 明治は静かに変わっていった
  • 早稲田と山梨学院にはドラマがある
  • 中央は伝統に苦しみながら
  • 酒井監督が、東洋に帰るまで
  • あとがき

1つ1つの物語は簡潔にまとめられ、読みやすく、当時の状況がよく伝わってくる。この中でもやはり今年の箱根駅伝の圧勝の記憶が新しい青山学院に関する物語、3つ目の「原監督が、名門・駒澤を抜いた」は興味深く読んだ。実はこの部分は、今年の駅伝の後、ネット上に記事として抜粋してあったものだ。

number.bunshun.jp

この本を購入したのもそれを読んで、さらに全体を知りたいと思ったからだった。読んでみて自分なりにいろいろなことを感じたし考えた。以下、箇条書きに書いてみると・・・

  • 山の神、走りの強さは人それぞれ
  • 表があれば裏もある。自分の役割をどう考えるか
  • 生活力、チーム力、競技力・・・大切なのは何といっても生活力
  • 成績を残すのは大切なこと。残すためには何が必要か考えなければならないし、諦めないことも大切
  • 成功の秘訣はやり続けること(自分の立ち位置、役割を踏まえて)
  • 人の長所を伸ばす考え方、使い方(性格を把握することが大切)
  • 信じるものは力をつけるが、どんなに努力しても神が微笑まないこともある
  • 組織の強さはトップのあり方で決まる。学生がそうであるように企業もそうであろう
  • 決断は考え抜いた上で自分に従え
  • 勝者にはそれだけのドラマがある

最初9つだったが一つ加えて10個になった。必ずしも一つ一つが対応しているわけではないし、読む人によってその感じ方はさまざまだろうと思う。読み方によって箱根駅伝の、団体スポーツのいろいろな側面を見せてくれる9つの物語だ。

ランナーはもちろん、そうでない人も読んで面白いと思う。少なくとも箱根駅伝を沿道やTVで観戦する人はこの9つの物語を読むことでさらに箱根駅伝に引き込まれるだろう・・・と思う。

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