久しぶりに一冊読了。
長らくアシックス社でアスリートのシューズ作りに携わってきた三村さんの著。シューズ作りの苦労と喜びについて、具体的なこれまでの経験を通して語っている。
多くの一流選手にシューズを提供してきた人だから書けるシューズ作りにかける思いが伝わってくる一冊。
目次は以下のとおり。
- はじめに
- 序章 オリンピックメダリストを支えたシューズ(メダルの数が物語るシューズの力、結果はシューズで8割決まる、青山学院大学の箱根駅伝連覇を支えた「シューズ+α」、イチロー、香川、錦織、五郎丸・・・のシューズの秘密、リオオリンピック、そして東京オリンピックへ)
- 第1章 「勝てるシューズ」とは何か?〜「足」を見れば、すべてがわかる(なぜ日本のマラソン選手は世界で「勝てなくなった」のか、三村流「勝てるシューズ」とは何か?、「足」を見れば、すべてがわかる、「シューズの渡し方」で選手のメンタルは大きく変わる)
- 第2章 1ミリにこだわるトップアスリートの世界〜一流と二流を分けるもの(アスリートたちはシューズの「どこに」こだわったのか、アスリートの明暗を分ける「感覚」、シューズの真価がパフォーマンスをここまで変えた)
- 第3章 選手の履きたいシューズは作らない〜シューズ職人として譲れないこと(シューズ職人から見た「伸びる選手」の共通点、職人魂に火をつけたトップアスリート、もの作りのプロとして「絶対やってはいけない」こと、シューズで選手を「導く」ということ、シューズ製作者として譲れないもの)
- 第4章 シューズで世の役に立つ、ということ〜究極のシューズ作りとは(身体が不自由な人へのシューズ製作で学んだこと、自らの工房を立ち上げた理由、シューズ職人が目指す究極のシューズとは?)
- 付録 世界一のシューズ職人が伝授!「自分に合ったランニングシューズ」の選び方(一般ランナーがシューズを選ぶときには)
以上、4章構成になっている。
内容は目次を見れば一目瞭然、三村氏の別注シューズ職人としてのこれまでの経験とシューズ作りに対する考えが、過去の選手のエピソードを散りばめながらいろいろな角度から語られている一冊だ。
三村氏は、シューズ作りで大切なポイントは選手とのコミュニケーション、あとは試行錯誤の繰り返しという経験だと書いている。
単純に足の形状や大きさを測定して、それに合わせたシューズを作ればそれで事足りつというものではなく、選手の希望も聞くが、それにただ合わせるだけでなく、選手の足の形やその時のコースのコンディションや素材などなどあらゆる点を考慮して一つの別注シューズが作られている。その様をこれまでのマラソン選手を通して語っており、あの時のレースの裏にはこういうドラマがあったのかと興味深く読める。
自分もadizero takumi ren(ブースト前)を履かせてもらっているが、これからも大切に履きたい一足だと改めて思いました。
ささ、練習練習。
【加筆】読んでいて印象に残ったのは、練習を積んでいくと足が大きくなる!と書いてあったところと、最近のランナーは練習量が少ないというような記述があったところでしょうか。練習を積むと足が大きくなるってのはびっくり@@!でした。