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いきなりだが・・・裏表紙の内容紹介文は以下のようになっている。
日本初の地下鉄を東京に走らせる。〈非常識〉な大事業を決意した早川徳次。経験も資金もゼロだったが、大隈重信、渋沢栄一を口説き、ついに上野ー浅草間を開業する。自動改札機やATSを導入、日本橋三越本店直結の駅も作った。だが、ライバルが現れた。のちの「東急」の五島慶太である。地下鉄の路線をめぐる非常な戦いが始まった・・・。夢を追いかけた非凡な実業家の波乱の生涯を描く傑作。
この紹介文の肝は「夢を追いかけた非凡な実業家の波乱の生涯を描く」の部分で、ここを期待して、事業家早川徳次の生涯を銀座線の建設を中心に描かれているのを期待して読むと半分裏切られる・・・と思う。自分はそうだった。
内容は以下の通り。
六章建てで、銀座線の主要駅での話題を中心に物語が展開するように構成されている。
この中で、実業家の波乱の生涯の一端が主に描かれているのが、第一章と第六章だ。他の章にも登場はするが、そこでは違う人や出来事が中心に描かれている。要するに、この物語の中心を早川中心にして読むと、実業家早川の物語としては物足りなさが残る。
主な登場人物をあげれば以下のようになるだろう。
各章ごとにこれらの人たちが登場し、日本初の地下鉄の建設の苦労が語られていく。特に記憶に残るのが、やはり建設現場での出来事だ。登場してくる人々も多いが、道路や川の下に地下鉄を通すということが当時、いかに難事業であったかがよく分かる(だから道路や川の下を通す苦労がそれほどでもなかった渋谷-新橋間の描写は少なくあっさりしている)。そしてその難事業をこなしていく工夫(こうふ)の優秀さとか。それから脇役としての五島慶太の動きも結構目立つのだ。
だからこの本は、早川某の実業家としての側面よりは銀座線建設に関わった人たちの物語といった方がいい。そうやって読むと興味深く、面白く読める本だ。
文体に少々独特のものを感じるが、文章は軽く読みやすい。早い人なら1日とは言わないが2日あれば読み終わってしまうだろう。現在も浅草から渋谷までを結ぶ銀座線、利用したことのある人は多いはずだ。戦前に作られたその地下鉄の構想から完成までの生みの苦しみがどのようなものであったかがよく分かるのが本書だ。
21世紀の都市交通を考えるとき何がしかの視点を提供してくれるかもしれないと思うがどうだろうか?
銀座線の歴史は、検索してみると以下のような記事としてその一端を読むことができる。
出典は以下の書籍だ。
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長い歴史を持つ銀座線は、今日も多くの人に利用され、浅草と渋谷を結ぶ。