翁庵のねぎせいろ・・・昔、人形町の金座通り、久松警察署の斜前ぐらいにお店があった。2011年10月に閉店してしまったが、ねぎせいろは人形町の翁庵で覚えた味だ。そのねぎせいろ、やはり美味しかったことでずーっと食べたいと思っていた。何かの折、ネットで上野に同名の店舗がありしかもねぎせいろもあるということに気づいた。古さからいうと上野の翁庵が元なのだろうが、人形町の翁庵とどういう関係だったのかは謎だ。
暑い中、浅草から歩いてきたので汗が吹き出している。古い佇まいの引き戸を開け店内に入ると、夕方には少し早い時間なので先客も少なく、店内はひんやりとしていてとてもいい感じだった。さてどこに座るかというところだが、入ってすぐのカウンタに陣取った。
そこでまず注文したのが、ビール小瓶。ここはサッポロ黒ラベル。コップになるべく泡と立てないように注ぎ、キンキンに冷えたところをグイッと飲む。美味い。
肴はまずはこれ、油揚げの甘辛煮。程よい味付けが美味しい。塩っぱさが足りない時は醤油をちょいと付け足して食べるといい感じだ。本わさびが嬉しい。
ビールをあっという間に飲み干してしまったので、次は日本酒だ。松竹梅の樽が飾ってあったので、松竹梅の酒だったのだろう。程よく冷えた感じで美味しかった。
油揚げの次に頼んだのは、月見だ。こちらの月見は、山芋、うずらの卵と蕎麦つゆ、ねぎ、わさびが分かれて出てくる。お好みの味でどうぞというところなのだろう。自分は迷わず、全部入れてよ〜くかき混ぜて食べた。さっぱりと美味しいこの感じが暑い夏にはちょうどいい。
店内には何枚かサインが飾ってあったが、落語家さんのものが多かった印象だが、志ん朝さんのサインもあった。下谷神社は寄席発祥の地でもあり、落語に縁があるということで、翁庵にも多くの落語家さんが訪れているのだろう。
さて、本日のメインの一品が、こちら。ねぎせいろだ。大盛りで頼んであるので、結構、いい盛り加減になっている。
蕎麦は機械打ちだろうか、かなりの細い蕎麦で、綺麗に揃っている。見たからに美味しそう。そして結構量があるのが嬉しかった。
このメニューの主役がこちら、長ねぎといか天の入ったつけ汁だ。あまり比べたくないが、昔食べた人形町のつけ汁の方が甘かったような記憶がある。それといか天がもう少しごろごろしていて、いか天を食べてるって感じがした。こちらも十分美味しいかった。
蕎麦をつけ汁に入れるとこんな感じになる。蕎麦はつけ汁にどっぷり浸けて頬張る。汁といか天とねぎ、そして蕎麦が口の中で渾然一体となって美味しさ倍増・・・これがねぎせいろの美味しさだよ。いいねえ。
人形町のそれとはちょいと違うが、こちらもというかこちらが本家なのだろう。この美味しいねぎせいろ、これからも食べにきたいと思いながら大盛でたっぷりある蕎麦を手繰った。美味しかった!!
最後は、蕎麦湯で締めて、ごちそうさまでした。十分堪能させてもらった。
お店の外観はこんな感じ。古い建物だ。静かに佇んでいるって感じで、浅草方面から来ると、通り過ぎてしまいそうになる。実際、自分は通り過ぎそうになった。この古い建物の引き戸を開けて店内に入ると、いい感じの古い蕎麦屋の世界が広がっている。
ねぎせいろの他にもいろいろ美味しそうなメニューがあるので、次回はそちらを食べに寄らせてもらおうと思いつつ、店を後にしたのでした。
ごちそうさまでした。