今頃になって読み返していますが、改めて良書だと思います。
モバイル産業だけでなく(融合してきているから当たり前と言えば、当たり前ですが)、現在の情報通信産業における競争政策や場合によっては産業政策を考える際に重要な論点を与えてくれる内容です。
例えば、現在読んでいる第3章「モバイルの産業構造と競争政策上の課題」は現行の国内の情報通信市場における競争政策(あるいは産業政策?)の是非を考える上で基本的な視点を整理し、論点を具体的に挙げ、現状と理論を対比させながら記述してあり、改めて考察する上で貴重な論考となっています。
モバイル産業論―その発展と競争政策 川濱 昇 東京大学出版会 2010-03-20 by G-Tools |
目次
- まえがき
- 序章 モバイルの成長と競争
- 第1章 モバイル市場の動向
- 第2章 モバイル産業の規制・競争政策
- 第3章 モバイルの産業構造と競争政策上の課題
- 第4章 独禁法の規制枠組み
- 第5章 新規参入とオープン化
- 第6章 モバイル産業における中立性問題
- 第7章 モバイル産業におけるネットワーク効果―価格構造と垂直統合型モデル
- 第8章 モバイルプラットフォームの高度化連携
- 第9章 プラットフォームに関わる競争政策の問題点
- 第10章 モバイルプラットフォームとエッセンシャルファシリティ理論
- 第11章 モバイル通信技術の動向
- 第12章 オープン化を巡る端末・OS開発の動向
- 第13章 競争政策から見た標準化と知的財産権
目次を見ても分かるとり、モバイル産業のビジネス面、技術面の特質と競争政策の基本からそのモバイル産業への応用、標準化、知的財産権まで幅広く議論されていて、現在の政策上の課題を議論するためにはまず本書に目を通すことが良いかと思います。
可能な限り頑張って読んでみようと思います。