日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

レイ・カーツワイル:加速するテクノロジー

テクノロジーはどこまで進歩するのか?

自分は情報通信分野の研究に従事している。その中でつくづく思うのは、最近の技術進歩、技術革新の速さだ。コンピュータやインターネットそして携帯電話に代表されるITは95年以降に大衆化し、その後も急速に進歩している。それに伴い我々の生活や仕事の仕方がどれだけ変わったことか!

つい2,3年前までは、仕事の中で、ネットや携帯、メールをうまく使いこなして、情報の収集・共有から知識の創造までをどのように行なっていくか・・・という視点から考えて自分なりに使いこなそうとしてきた・・・つもりだ。それが最近は、次から次えと出てくる新技術やそれを応用した新サービスについていけなくなってきている自分を見つけたりする。

自分の限界を突きつけられているような日々の変化とどこまで技術は進歩するのかという漠然として、変な不安感?あるいは閉塞していないけど、自分に対する閉塞感を日々感じている。

そんなときふとしたきっかけで知ったのが、レイ・カーツワイルという人の書いた本書。内容は、慶応大学の徳田氏との対談形式でテクノロジーの進歩について述べら、最後に徳田氏の解説が書かれている(よって正確には共著)。

4140812176 レイ・カーツワイル加速するテクノロジー (NHK未来への提言)
レイ・カーツワイル 徳田 英幸
日本放送出版協会 2007-05


by G-Tools

全体としては100ページにも満たない厚さだが、その内容は飛んでいる。帯に書かれているのが、「2020年、コンピュータは人間の知性を超える」だ。2020年ってあと12年後・・・すぐそこだよ。

しかも怖いことにレイの予測は当たるときている。人間の行動のようなランダムなものはなかなか当たらないが、技術の進歩みたいなものはマクロな動きとしては予測可能だということだ。また技術の進歩は、新技術を用いたさらに新しい技術へ進歩していくことから、そのスピードは加速するということだ。これまでの歴史を見てもそれは歴然ということで、いくつかの例をあげて述べている。

本書で注目されている技術は、情報テクノロジーのほか、3つある。遺伝学、ナノテクノロジー、ロボット工学だ。そして語られる、情報テクノロジーを中心にこれら3つの技術が融合し、人間は未知の段階に突入していくとの未来に対する見通し。

強烈な世界が描かれているわけだが、彼の言うことはいずれは実現されるように思わせる。最後の徳田氏の解説にもあるとおり、レイモンドの言うことが実現するためには社会がそれを受け入れなければならない。そのためにはわれわれの考え方も大きく変えなければならないだろう。それには今、実際に自分らがどのように変化しつつある社会に生きているのかというところを理解できるかにかかっているのではないか。

これから情報通信の世界は大きな変革の時代に入っていく。その背景がここで述べられている技術革新を背景にもつものであると位置づけると、それはそれで納得できる。

ナノボットはマイクロマシーン、人間の知性とコンピュータの知性の関係は電脳化、遺伝学は義体化(これはちょっと無理があるか^^)などと対比すると、攻殻機動隊の世界は近いのかななどと考えてしまう。

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