日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

佐々木俊尚:フラット革命

佐々木さんの本はこれで2冊目。

1冊目は、2006年4月に読んだ「グーグル Google -既存のビジネスを破壊する-」だ。これはその前に出て話題になっていた梅田さんの「Web進化論−本当の変化はこれから始まる−」が明らかにしたWebの新しい世界についてより身近な話題から分析したものであり、ネットにより社会がどのように変化しつつあるのかを描写したものだった。

今回の「フラット革命」は、普通の人とネットの関係を、ジャーナリストとネットとの緊張関係を実際の事例を丹念に調べ上げ、ある事例では当事者として、現在、その関係がどのように変化しており、そこに顕在化してきた問題点を明らかにしている。

内容の重い本だ。

4062136597 フラット革命
佐々木 俊尚
講談社  2007-08-07


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目次は以下のとおり。

  • プロローグ
  • 第一章 フラット化するマスメディア
  • 第二章 よるべなく漂流する人たち
  • 第三章 組み替えられる人間関係
  • 公共性をだれが保証するのか

梅田氏のネットに対する考えが徹底して「楽観的」なのに対し、佐々木氏の視点はネットと既存社会のさまざまな摩擦や対立を抉り出そうとするものだ。

そこでは楽観的な個々の変革の先にあるであろう秩序や制度や権威という社会の再構築がすでに起こりつつあることが具体的事例を述べながら明らかにされている。佐々木氏はその点をジャーナリズムの再構築をテーマに自らの体験も踏まえながら書き上げたものである。特に後半は読み応えがある。

今回の佐々木氏が行った問題提起は、今後さまざまな形で自分たちの生活や仕事上で考えることになるであろう。本書で取り上げられている事例・・・場合によってはすでにそのような状況になっている場合も多々あるのではなるまいか。

明らかなのは、インターネットが普及し、それが社会変革をもたらすほどのインパクトを持っていること、変革は生活やビジネス面から始まり、倫理、権威、秩序、法制度といった社会の骨格を形成する基本構造への影響が出始めてきたところである一方、それを受け入れるわれわれは皆が未体験の世界、誰も何が正解なのか分からない世界に突入するということだろう・・・ネットの時代は便利、便利と浮かれているだけでは進まなくなる時代になろうとなろうとしている。

 

さてここまで来ると社会を秩序立てるその根本はどう考えるべきなのだろうか・・・そろそろあの本を読まなければいけないときがきたようだ。

梅田氏の楽観的視点、佐々木氏の現実を見る視点、両者の視点は今後を考える際に常に忘れないでいたいところだ。

ところであとがきに出てくる「I」さんて、僕の知っているIさんかな?



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