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梅田望夫、平野啓一郎:ウェブ人間論

梅田さん関連の本はこれで3冊目だ。1冊目がもちろん「ウェブ進化論」、2冊目が「フューチャリスト宣言」、そして本書。

1冊目を除き、他の2冊は対談もの。フューチャリスト宣言の相手は茂木さん・・・この本は非常に楽観的に世の中の最先端を走る二人がこれから起こる未来について語っている内容で楽しく読める。

それに対して本書は、小説家である平野啓一郎氏。本書の対談では両者の言っていることは必ずしも一致していないが、それが逆に今のネット社会というものがどういうものなのかを明確にしている。


4106101939 ウェブ人間論 (新潮新書)
梅田 望夫 平野 啓一郎
新潮社  2006-12-14


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梅田さんは持ち前の楽観主義で話を進めていく。そこではこれまでの梅田氏の話を再確認することなる。一方、平野氏の話は、小説家という立場から半分懐疑的な見方をしつつ、今後のネット社会への希望と漠然とした不安を垣間見せる。

恐らく世間の多くの人は、平野氏の感覚に近いのだろうと思う。

今、起こっている変化がどういうものなのか?・・・立場の異なる2人の言葉から、何を感じ取るか・・・それは読者の人の立場の違いだけあるということだろう。

企業に勤め、情報通信の世界に身をおき、情報通信業界を分析対象とする商売をしている人間としては梅田氏の次の言葉は、いつもながら考えさせられる。

今の僕は、朝4時に起きてトータルで1日8〜10時間ぐらいネットにつながっていて、「ネットの世界に住んでいる」という感覚なんです。(本書15頁)

僕の場合、こういう感覚でネットを使いこなすまでいっていない。デスク作業が当然多いが、僕の作業はネットを情報収集、メールの送受信等使うが、パソコンのデスクトップ上を主に使っており、ネット上に「住んでいる」感覚を得るまでには到底いかない。それから次の記述・・・(ちょっと長いですが)

インターネットの普及が・・・1995年のことですね。1975年生まれの人は、皆、19歳か20歳なんですね。これに数年の差があるともう感覚が違っていて、当時23歳だった世代というのは、新入社員としてふるい文化の会社にどっぷり浸かって忙しくて、ネットに触れる環境になかった場合が多い。だから大学院に行っていない限り、71,2年生まれというのは、案外感覚が古い。そして75年、76年、77年生まれ辺りが、ゴールデン英字ですね。(本書191頁)

この世代論は、情報通信業界にいるからか、僕も常々実感していて、95年以前に就職した人は感覚が古いと感じていた。一番の問題はインターネットや携帯電話の普及を前提にしてものごとを発想できないという点。若い人から言われれば、理解はできるが、自ら発想はできないということ・・・涙

古い人間は新しい人間をいかにうまく伸ばしてあげられるか、芽を摘まないようにできるかに注意しながら日々の仕事をする必要がある。決して自分がうまいビジネスを発想できると考えてはいけないのです・・・一旗あげたければ、30歳前半世代以下の人たちの発想をうまく吸い上げられますか?・・・そんなアホなこと考えるな!って若い人の発想を袈裟切りしてませんか?・・・そこの管理職や経営者の皆さん!

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