今、もっとも注目されている2人による対談を書籍化したものだ。
内容はネット社会の未来とその時代へのかかわり方やリアル社会へのインパクトについて梅田さんと茂木さんのそれぞれの立場から議論している。
その視点は徹底して楽観的だ。それは本人たちが目指したところでもあるらしく、梅田のあとがきに以下のように書いてある。
対話を繰り返すう中で私たち二人は、「この本は、細部をつついて批判するのがバカバカしいような明るい本となる」と予感し、そういう本にしたいと思った。(212ページ)
梅田さんは幕末に例え、それほど大きな社会変革が今おきつつあるという認識の下、困難があったとしてもそれを前向きに捉え、乗り越えていこうとする姿勢。それは茂木さんにも通じているものがある(茂木さんは「言語以来」と言っている)。
フューチャリスト宣言 梅田 望夫 茂木 健一郎 筑摩書房 2007-05-08 by G-Tools |
並みの企業で働いていると、それはシンクタンクといえども例外ではない、今、情報通信で起こっていることのインパクトが見えなくなるときがある。世の中の変化の先を見ようとする姿勢と一人のサラリーマンでなければならない立場・・・後者の視点が強くなればなるほど、世の中を悲観的に見てしまう。
一方、前者の視点で世の中を見てみると、これから起こることを想像してわくわくしてしまう。この本はそういう視点で徹底的に対談されている内容となっている。
気になった小見出しを目次からあげてみると・・・
- 媒体を自分で持てる快感
- 公共性と利他性
- 新しいものを賞賛する精神
- 最初から完璧さを求めない姿勢
- サーチとチョイス
- 負け犬たち、一匹狼たちが幸せになれる
- ネットへのアクセスは基本的人権
- 実験は大事
- 無料とはfreeである
- 過去の思想で今起こっていることは語れない
ネットがオープンであることの重要性とそれを維持していくことの困難さ、そしてその先にある新しい未来を創造することに対する期待とそれに関する諸々のこと・・・楽しいけれど、凄まじい世界が待ち構えていることがこの本を読んでちょっと考えれば分かる。
茂木らの仕事の仕方の凄まじさ、しかしそれをそうと感じず坦々とこなす・・・なぜ彼らはそうまでするのか、そうまでできるのか・・・日ごろの自分の考えがいかに小さなものであるのかを認識させてくれる。
プロフェッショナルとはどういう人のことなのか・・・本書で示される形は日ごろ自分で忘れつつあったものだけに、ちょうどよい刺激となった^^v
さあ、これからも面白いことができるようにがんばろう。