日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

半藤利一「昭和史(戦後編)−1945〜1989−」

昭和史−1926〜1945−」につづく戦後の昭和史。

昭和20年から昭和63年までを全部で16の章で説明する。

昭和26年のサンフランシスコ講和会議までの6年間の説明に前半の9章を費やしている。

4582454348 昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989
半藤 一利
平凡社 2006-04-11


by G-Tools

著者も述べているようにこの講和会議までの時期が戦後の日本を考える上で非常に重要だった事によるものだ。

などについて要領よく、また同時代を生きてきた著者の当事者としての見方や感想を含めて記述されており、戦後昭和史を全体の関係を把握しながら各事項がどういう時代背景のもの起こってきたのか、それが後の時代にどういう意味を持っていたかが理解できる。

以前、白洲次郎の本の記事を書いた時、

日本国憲法を作成する段階でのアメリカの対応を読むと、現在でも国会議員憲法改正自主憲法制定を主張する気持ちは理解できる。あんな憲法、受け入れられるかという気持ちになる。

と書いたが、どうも当時の改憲派の人たちはこういう占領政策の中の経緯から出てきているのではなく、本書を読む限り、戦前戦中の残党が復帰することで出てきたものであるようだ。だから改憲論と再軍備が常に表裏一体となって出てくる。そういう点で、自民党の今の改憲論は支持できない。

本書の後半では以下の項目が扱われている。まだ経験した人がほとんどで、そういう点で歴史になりきっていない当時を解説している。

僕も55年体制は大学の講義でそれを初めて知り、そしてその体制が崩れていくさまは同時代の中で経験した。70年安保闘争はまだ小学生の4,5年だったと思うけど、幼子ごろに大学とは恐ろしいところだと思ったことを覚えている。高度経済成長は、それよりも石油危機で世の中が大騒ぎしたこととして記憶に残る。そして団塊の世代については今改めて大きな存在となっている。

敗戦処理とその後の大きな社会的、経済的、思想的改革のあった戦後・・・その改革がどのように進められたか、その背景にはどのような事情があったのか、大国の都合が隠されていたのか、そして日本はどうして今この立ち位置にいるのか・・・本書に書かれていることがすべて正しい見方とは限らないであろうが、戦後を整理し、理解するきっかけの本としては非常にまとまっており、お薦めの本だと思う。

ブログパーツ