日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

企業行動の実証分析

IT産業を分析するとき、一つは需要側からのアプローチ、もう一つは供給側からのアプローチがある。前述した通信市場の競争評価にも大いにかかわることである。今回の競争評価では、価格弾力性の計測に離散選択モデルを使うなどして、その部分が比較的注目度が高かったようである。

競争を評価するためにはまずその市場で供給されている財・サービスがどのような経済的特徴を持っているかを明確にする必要がある。需要の価格弾力性はその中の一つでしかない。しかし、市場を画定する際にはキーになる数字である。そのほかには、必ずしも分析のレベルはあっていないが、

  • 規模および範囲の経済の存在、

を最初に明確にする必要がある。最初の2つは主に供給側、企業の経済学の分野の話であり、3つ目のネットワーク効果は需要側の話である。

実は私は今まで企業の経済分析をきちっと勉強したことがなかった(恥ずかしいかな需要側も初歩である)。私の回りには、常に優秀な大学の先生方がいて、その先生方のやり方をみようみまねでやってきたわけである。しかし最近、その付け焼刃的なやり方では限界が出てきて今回改めて勉強しなおそうと思い立ち、とある先生に参考文献を教えていただいた。それは以下のとおりである。

Advanced Industrial Economics 2nd Edition

Advanced Industrial Economics 2nd Edition

  • 作者:Martin, Stephen
  • 発売日: 2009/01/01
  • メディア: ペーパーバック

以上、2冊が基本的文献であり、以下の2論文は昨今、企業の実証分析で学会で認められるために最低限クリアする必要のある代表的な論文である。現在ではこの論文のレベルが求められるということであった。

Olley, G.S. and A. Pakes, The Dynamics of Productivity in the Telecommunications Equipment Industry, pages 1263--1297, Econometrica, 1996.

Pakes, A. and R. Ericson, Empirical Implications of Alternative Models of Firm Dynamics, pp1-45, Journal of Economic Theory, 1998.

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