世の中はWeb2.0花盛り。その他にはブロードバンドに携帯電話。
つい10年前まで電気通信とはほぼ電話のことを指していたことを考えれば、嘘のような世の中の変わりようだ。
さて、その電話・・・実はまだ5000万以上のユーザがいる。将来的にこの電話市場はどうなるのだろうか。特にNTT東西にとっては非常に重要な問題であろう。NTT東西にとってばかりでなく、われわれユーザにとっても電話がどうなるかは非常に興味があるところ。
「電話サービスというより音声サービスをどうするのか」という問題設定の方がいいかもしれない。
さて、研究の世界ではどうかというと、やはり電話を研究対象とした分析は最近では減少傾向であるようだ。
例えば今までの代表的な文献としては・・・
- A. De Fontenay, M.H. Shugard, D.S. Sibley(eds)"Telecomunications Demand
Modelling", North-Holland, 1990.・・・絶版
Telecommunications Demand in Theory and Practice Lester D. Taylor Kluwer Academic Pub 1994-01 by G-Tools |
Handbook of Telecommunications Economics: Structure, Regulation and Competition (Handbook of Telecommunications Economics) Sumit Kumar Majumdar Ingo Vogelsang Martin E. Cave North-Holland 2002-09-01 by G-Tools |
などがある。特に真ん中の一冊は1990年代中ごろまでの電話に関する需要分析の集大成だ。また3冊目の第4章にはさらに凝縮してこれまでの研究が紹介されている。
これまでは独占産業であった電話に競争を導入するという視点から需要分析が行われてきた。今後はそれがマーケティングの分析対象となっていくことになる。
手段が多様化した音声サービスについての分析だ。その中で現状、規制でユニバーサルサービスとして位置付けられている電話サービスをどのようにIP電話など次世代の音声サービスにマイグレーションさせていくかは、事業者にとっても監督官庁にとっても重要な検討テーマだろう。
つまり電話という音声サービスを提供する一手段は今まで以上に研究テーマとして重要になっている・・・と言ったらおかしいだろうか?
また人間のコミュニケーションを広げるメディアとしての分析対象としてもやはり魅力のあるものではないだろうか。
ブロードバンド、特に光サービスは今、キャズムに差し掛かりつつあるようで、こちらもそれを乗り越えるために何が必要か・・・分析の興味は尽きないが、電話サービスももう一度脚光を浴びてもいいのではないかと思う今日この頃。