日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

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ウォルター・アイザックソン著『スティーブ・ジョブズⅠ』:洗練を突き詰めると簡潔になる

2011年出版だが、ずーっと積読になっていた。なぜ読まないで放って置いたのか自分でもよく分からない。当時は、Apple製品はiPhoneを使うかどうかぐらいだったので、Appleジョブズにあまり興味がなかったのかもしれない。それなら買うなよって言われそうだが、とりあえず買ってしまうから積読となり、不良資産化してしまうことになる。

 

ここ数年、iPhoneを再び使うようになり、iPadを購入し、そしてMacBook Proに加えてMacBookを購入していつのまかにApple製品で埋め尽くされている自分の机、はて、Appleとは何なのか、なぜにジョブズにこれほど魅了されてしまうのか・・・と思っていた時、積読になっていたこの本が目に入った。400ページを越える分量(Ⅰ、Ⅱ巻合わせると800ページ超だ)だが、興味深く読めた(もちろんⅡ巻を読むのはこれからだ)。

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Ⅰ巻は、全41章のうち、1章から21章まで。大きく分けると生い立ちとApple社の設立前からApple社の株式公開まで(1章から9章まで)、マッキントッシュの開発からApple社を去るまで(10章から17章まで)、Apple社を去ってからピクサーでの成功まで(18章から21章まで)というところか。章だては以下の通り。

  • はじめに 本書が生まれた経緯
  • 第1章 子ども時代 捨てられて、選ばれる
  • 第2章 おかしなふたり ふたりのスティー
  • 第3章 ドロップアウト ターンオン、チューンイン
  • 第4章 アタリとインド 禅とゲームデザインというアート
  • 第5章 アップルⅠ ターンオン、ブートアップ、ジャックイン
  • 第6章 アップルⅡ ニューエイジの夜明け
  • 第7章 クリスアンとリサ 捨てられた過去を持つ男
  • 第8章 ゼロックスとリサ グラフィカルユーザインターフェース
  • 第9章 株式公開 富と名声を手にする
  • 第10章 マック誕生 革命を起こしたいと君は言う・・・
  • 第11章 現実歪曲フィールド 自分のルールでプレイする
  • 第12章 デザイン 真のアーティストはシンプルに
  • 第13章 マックの開発力 旅こそが報い
  • 第14章 スカリー登場 ペプシチャレンジ
  • 第15章 発売 宇宙に衝撃を与える
  • 第16章 ゲイツジョブズ 軌道が絡み合うとき
  • 第17章 イカロス のぼりつめれば堕ちるだけ
  • 第18章 ネクスト プロメテウスの解放
  • 第19章 ピクサー テクノロジー・ミーツ・アート
  • 第20章 レギュラー・ガイ 凡夫を取り巻く人間模様
  • 第21章 『トイ・ストーリー』 バズとウッディの救出作戦

内容が濃い・・・と言うか、ジョブズの人生が濃いと言うことか。読んでいて面白いと思う反面、自分の上司だったらとんでもないという思い(あと15歳若かったら別だけどw)と、若手でいられても困っただろうな(でも局面打開にはこういう人材も必要だよねとも思う)・・・と思いながら読んだ。奇人・変人を地でいくような人だったんだと。

Steve Jobs: The Exclusive Biography (English Edition)

Steve Jobs: The Exclusive Biography (English Edition)

 

仕事でColor Classic ⅡとWindowsを併用していたときいつも感じていたのは、この使い勝手の差は、どこから来るのだろうか・・・いつも不思議に思っていた。それほどAppleの製品は使い心地が良かった。遊び心があるというか、Appleの製品は社員が楽しみながら作っている、Windowsは社員が仕事として作っていると感じるものだった。本書を読むと自分がなぜこういう感覚を持ったのかが分かる。それは、ジョブズの徹底したこだわりと、それを実現する仲間たち・・・仕事としてではなく、1つの作品として仕上げるそのこだわりぶりだろう。そしてこういう仕事は、コスト管理が厳しい世界ではまず無理だろうなという思いも。年に1件ぐらいはこういう仕事をしたいが・・・。

アップルのマーケティング哲学も参考になる。

  • 共感:アップルは他の企業よりも顧客のニーズを深く理解する
  • フォーカス:やると決めたことを上手におこなうためには、重要度の低い物事はすべて切らなければならない
  • 印象:会社や製品が発するさまざまな信号がその評価を形作る

3つの考えそれぞれに自分たちならではの意味付けができる。

ジョブズはシンプルさを求めたが、それにまつわる数々の名言がある。自分がそうだよなあと思わずうなづいてしまったのは、ダヴィンチの言葉だで「洗練を突き詰めると簡潔(シンプル)になる。」というものだ。文章を書くときはいつも頭の片隅に置いておきたい言葉だ(実際の文章は違うけどw)。

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

 

Ⅰ巻を通して読むと、その最初から最後まで印象に残るのは、様々な困難に直面するジョブズだ。上手くいくと次のステージを志向するのでそこで当然違う困難にぶち当たる。それの繰り返しだ。そしてそれを現実歪曲フィールドと呼ばれる事実を自分の都合のいいように曲げて自分ペースで進めようとする強引さなどで乗り切ってしまう。その一方で細やかな心遣いのあるところもあったりする。

コンピュータ産業の黎明期、高機能化とパーソナル化による市場の拡大期であった時期だから時代はジョブズを必要としたともいえるだろうか。

さて、Ⅱ巻はAppleに復帰してからが中心になるだろうが、どういう内容が書かれているのだろうか。

今年、7冊目読了しました。

 

新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』②:基礎的読解力を意識する

少し前、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の記事を書いた。その中では、AIの可能性とともに現代は文章を理解できないという危機的な状況にあることを紹介したにとどまった。実際に何をすべきかについては触れなかった(当然、本の中には書いてある)。AIの普及が予想される今の時代、これからはAIにできない能力を伸ばすことが、将来の自分の労働機会を確保することでもあるのだが、そのために基礎的読解力がいかに必要かが明らかにされている。

mnoguti.hatenablog.com

ではそれは具体的にどのような能力なのだろうか。本書から抜き出しておこう(主に第3章)。

ここで明らかにされたことは、がむしゃらに勉強してもダメだということ、自分の読解力の強い弱みをしっかり認識してそれを鍛えることが必要だということ。文章が正確に理解できれば、すべての勉強の難しさは緩和される・・・勉強の効率も上がる・・・ということだ。

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ではその能力とは何か・・・本書によると以下の点になる。

  1. 係り受け:主語と述語の関係や修飾語と被修飾語の関係
  2. 照応解決:指示代名詞が何を指すか
  3. 同義文判定:2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定
  4. 推論:文の構造を理解した上で、生活体験や常識、さまざまな知識を総動員して文章の意味を理解する力
  5. イメージ同定:文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
  6. 具体例同定(辞書・数学):定義*1を読んでそれと合致する具体例を認識する能力

これら6つの能力のうち、最初の2つ、係り受けと照応解決は最近のAI技術でも十分こなしすようになったそうだ。残りの4つはAIは苦手だ。後半の3つは全く歯が立たない分野ということ。将来、AIが普及した時、その煽りを受けないで自分の労働機会を確保するためには6つのうちの3以降、特に4から6の能力を鍛えておく必要があるということだ。

このように、本書での指摘は、AIにできることできないことを明らかにした上で、AI時代に鍛えるべき能力は何かを述べている。そしてその能力を含め全体としての読解力の差が実は勉強の能力の差をもたらしていることも明らかにしている。

授業や受験、その後、大学に入ってから、社会人になってから、人は一生勉強していくが、その効果を最大限にするためには、まず基礎的読解力を鍛えることが必要ということだ。しかし、本書は、その基礎的読解力をつけるための方法、あるいはその差がどのような環境や取り組みによって出てくるのかはまだ明らかではないということも述べている。一方で、これに気づいた中学校の取り組みで成績が大きく伸びた事例も紹介し、何かしらの解決策はあるはずだとも。

本書を読んで、自分の経験と合わせると、基礎的読解力をつける、あるいは鍛え直すためには、多様な経験と多様な読書の仕方(速読や精読、あるいは色々な人の文章など)と量、特に読書の仕方の工夫が必要なのではないかと思った。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
 

今回、この記事を書いたのは、自分も基礎的読解力に不安を持っていて、それでいつでも振り返れるようにしておきたいと思ったから。今、振り返ってみると、確かに自分はAIが苦手な4つの能力が程度の差はあるけどどれも弱いと思う。AI技術が本格的に普及する60代、70代、このままでは自分は職にあぶれて残りの人生を送ることになるのか・・・どんなもんでしょう。

皆さんも他人事ではないでしょうw

*1:定義には、国語辞典的な定義と数学的な定義の2種類がある。

新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』:AIの可能性とこれからの経済社会を考える

国立情報学研究所の新井氏が書いた問題提起の書。

AIとAI技術の違い。現在、AIと言われているのは正確にはAI技術のことであること。 AI(技術)にできることとできないこと。現状の数学では汎用AIを実現するのは不可能であること。AI万能論に対して、現実がどういうものなのかを丁寧に説明する。

一方、AIを利用する側の我々の現実を、子どもたちを対象として描き出す。こちらは、子どもたちだけでなく、社会人として働いている多くの人も自分自身のこととして認めるはずだ。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
 

今までの教育システムがもう通じなくなる時代(すでに通じなくなっているとも)がそこまできていることをあからさまにした怖い本だと思う。それを修正するには、プログラミング教育でも英会話力でもなく、実は、寺子屋の時代に戻るようだが、一番基本となる読み、書き、算盤という昔から言われてきたことを丁寧に行うこと*1。量ではなく、質が問われるということだと思う。

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子どもたちの能力を育てるはずの教育システムが実は問題を抱えている(まあ、水は易きに流れるということを考えてみれば、こうなるのは分かる)。これは社会人の世界でも同じだと思う。プレゼンテーションソフトで報告書を作るというのが典型だ。社会人になってから、能力を鍛える機会をこのソフトを使うことによって捨ててしまっているのが現在日本の企業社会・・・と言えないだろうか。

Amazonのカスタマーレビューには様々な意見が寄せられている。これを読んでみるのも面白いだろうが、何しろ自分で手にとって読んでみることだと思う。読む価値はある本だ。章立ては以下の通り。

  • はじめに
  • 第1章 MARCRに合格ーAIはライバル
  • 第2章 桜散るーシンギュラリティはSF
  • 第3章 教科書が読めないー全国読解力調査
  • 第4章 最悪のシナリオ
  • おわりに 

4章立てだが、各章に書かれている内容は濃い。前半はAIの可能性を明らかにし、我々が持つAIに対する幻影を払拭する。後半はそれを受けて、将来、AIが代替する職業についている人々が転職する際の転職先があるのか、あったとしてそのAIに代替される人たちは新しい転職先で仕事ができるのかを著者が実施したRSTからの結果などをもとに考察している。

何もしなかったらAI恐慌という状況もあり得るかもしれないが、現状の課題に気づき、それを打開するための行動を一人一人が取れば、AI社会としてより便利で快適な社会が達成されるかもしれない。

どちらを選ぶかは自分次第ということが、本書を読むとよく分かる。

今年、6冊目読了しました。

*1:その中でも読みが重要だと思うが、自分は、この「読み、書き、算盤」は三位一体だと思う。読みを鍛えたければ、算盤と書きも鍛える必要があるだろう。論理的な思考を養うのに算盤(数学)は必須だろうし、自分が理解できているのかを確認するのは書くことで確認できたりする。あるいは人に説明するでもいいと思う。だから読む能力がAI社会で生きていく上で重要であるのであれば、書く能力、算盤の能力も同じように重要だ。

坂井豊貴著:決め方の経済学ー「みんなの意見のまとめ方」を科学する:多数決の限界を知る一冊

多数決は民主的な決め方だ・・・と小さい時から教えられてきたような気がする。一方、最近の価値観が多様化している状況だからか、例えば選挙で投票するとき、この政策はあの人だけど、これについては支持できないとか、複雑な思いをする。そして選挙結果をみて、なんか違うなと違和感を覚える。そんな社会としての意思決定についてのモヤモヤ感が何かを明らかにしてくれるのが本書、決め方の経済学だ。

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この本を読むと多数決の限界、民意を反映する方法はシンプルな多数決ではなく、いろいろ工夫のしようがあることがわかりやすく書いてある。学術書というよりビジネス書だ。今の時代だからこそ、是非読んで、自分たちが従っている多数決というものの限界をしっかり知ることが大切だと思う。

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

本書は4部14章構成となっており、比較的短い章となっており、忙しい人でも短い時間で読めるように簡潔な記述となっている。具体的な章だては以下の通り。

  • 第一部 決め方を変えると結果が変わる
  • 第1章 民意は選挙結果からは分からない
  • 第2章「民主的な」決め方を考えるーボルダルール
  • 第3章 一騎打ちで選択肢を競わせるー総当たり戦
  • 第4章 決め方が変わると歴史が変わる
  • 第二部 三択以上の投票で優れている決め方は何か
  • 第5章 決め方を精査するーペア勝者とペア敗者
  • 第6章 ベストな配点を考えるースコアリングルール
  • 第7章 「絶対評価」で決めるとどうなるかー是認投票
  • 第三部 二択投票で多数決を正しく使いこなす
  • 第8章 多数決で正しい判断ができる確率ー陪審定理
  • 第9章 多数決と暴力は何が違うのか
  • 第10章 国会は多数決を正しく使えているのか?
  • 第11章 法廷の「決め方」を分析する
  • 第四部 多数の意見を尊重すべきでないとき
  • 第12章 費用分担をフェアに決める
  • 第13章 「決闘への満場一致」は尊重すべきか
  • 第14章 個人の自由と満場一致はときに対立する
  • あとがき

決め方をめぐる話題が多岐に述べられており、みんなの意見を何らかの形でまとめるそのまとめ方がいろいろあることが分かる。

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それよりも前に第一部で明らかにされるのは、決め方でいくらでも結果は異なるし、今の多数決が本当に民意というものを反映する決め方なのかという政治不信の底にある原因の一つをえぐり出しているところだ。

そして決め方もいろいろ工夫する余地があるということだ。学術的には社会的選択理論になるのであろうが、本書はその学術上の知見を現実の世界に落とし込み、社会的意思決定での多数決の危うさを多方面で検討した後、それを改善するための工夫もいろいろあることを述べている。

ここで挙げられている改善策を実現するのは、なかなか難しいと思う。それは例えば、現在、議員をしている人たちは現行制度で選ばれた人たちだからだ。自分たちが選ばれた制度を、その支持がどういう影響を受けるか分からなくなるような方向に変える人はいないであろう。

一方、ICTという情報通信技術がこれだけ発達した世の中で民意を最大限反映させるような制度は昔に比べてその実現可能性は高まっているとも言えるのではないか。どのような世の中にすべきか、そのためにどのような決め方が良いのか、考える必要があるのではなかろうか。未来を決めるのは我々なのだ。

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

 

身近な例で言えば、今の自民党中心の政治状況が本当に民意を反映したものなのか・・・考えてみるきっかけを視点を与えてくれるのが本書だ。今だから是非読みたい一冊だと思う。

今年、5冊目読了しました。 

今の働き方改革は中途半端ではないか?:目指すのは妄想を促進する働き方だ!

働き方改革・・・今もってなかなか関心があるようだ。

働き方改革というとどういう改革をみんな連想するのだろうか。

例えば、こんなところだろう。

  • 労働時間の短縮(ノー残業デー、朝型勤務、深夜残業禁止など)
  • 休暇の取得推進(時間単位有給休暇、有給休暇取得促進、フォロー体制整備など)
  • 育児・介護支援(休暇・休業制度の充実、取得奨励など)
  • 仕事の進め方の見直し(業務プロセス改善、ITツール導入、会議時間短縮など)
  • 多様な働き方(在宅勤務、テレワーク、フレックス、短時間制など)
  • ダイバーシティ/女性活躍推進(多様な採用、女性管理職登用など)
  • 高齢者雇用(雇用推進、定年の66歳以上への引き上げなど)

こういう取り組みはそここで行われているようだが、それだけで終わっていないだろうか。

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働き方改革の先に何を目指すのか?そこをしっかり踏まえて取り組まれているか?単純に、時短になればいいとか、有給がとれるようになればいいとかいう話ではないのではないか?

今の日本経済や産業は、昔のような世界の最先端を走っている状況ではない。昔の余力でまだ走っている感じだ。そして蝋燭が燃え尽きる直前にふわっと明るさが増すあの状況が今の日本経済だとしたら・・・w

世の中、多様化して金だけじゃない、国力を測るのもGDPだけではない、価値観が多様化していろいろな生き方があっていいはずだとかいろいろ言うけど、それを可能にしているのは、それなりの収入があるからだ。昔から「衣食足りて礼節を知る」というではないか。そこを忘れてはいけないのではないか。

そして、その「衣食足りて」の部分が今や弱体化しているのが日本経済だ。そこを脱出するために何をしなければいけないのか?そこを考えることが働き方改革の一つのポイントなんだと思う。

新しい「衣食足りて」の部分に必要なのが、価値観の多様化だとしたら?働き方改革は何のために行われているのか?新しい価値観の下、新しい仕事のありかた、産業の在り方、経済のあり方が問われているのではないか。

日ごろの仕事の中で新しいことを考えるのはなかなか大変だ・・・だから働き方改革で新しい環境を作り、新しい世界を妄想することが求められている・・・と思うのは自分だけ?

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

 

iPhone XS MAX:買ってしまいました>< @ドコモショップ日本橋浜町店

来年まで待つかと考えていた・・・スマホの買い替え、本日、夕方、ドコモショップに行って実行してきました。

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近所のドコモショップで機種変更したのですが、昔に比べて手続きの時間が短縮されているのにびっくり@@!

変にイライラすることもなく、スムースに完了。自宅に戻り、充電をしてからAppleサポートに電話をかけ、旧iPhone7PlusをMacbook上に丸々バックアップして、それをXSに再度復元すれば完了。簡単なものです。

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あとはドコモメールと一部のアプリのPWなどを再設定して完了。快適に動いております。大きさは7Plusとほとんど変わらず・・・ということでスマホケースはそのまま利用。表面のガラスフィルムは買った方がいいということで別途調達。

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今回、ドコモショップの対応がすごく改善されていてびっくりしました。以前は機種変更に1時間以上要していたと思うのですが、今回は50分程度・・・いや、もっと短かったかも。これまで機種変更はこの手続き時間が嫌で、躊躇することが多かったのですが、このくらいなら十分OKって感じ。

それでもウィークデイの昼休みに行ってちょっと機種変更しようってところまではもう少し短くする必要有りかと思いますが、それもそんなに遠くないような気がします。

坂井豊貴著「暗号通貨vs.国家ービットコインは終わらないー」:面白い、読みやすい、そして理解できる

この本はいい。何がいいって、読みやすい、面白い、そして理解できる。三拍子そろっている。だから、あっという間に読み終わってしまった。読了後には、ビットコインブロックチェーンのことが頭に残っている。

人に読ませるにはこういう風に書けって感じ。文章は短く、一文一意、そして主語と述語を明確にすること、これが読みやすい文章を書くための3条件だが、坂井先生の文章は、まさしくそれを体現したものだ。

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さらに具体的な書きっぷりもいろいろ考えられている。読ませるにはこちらの方がより大切かもしれない。例えば、まえがきの書き出し・・・「ビットコインをはじめとする暗号通貨(=仮想通貨)は、いまだに怪しいものだと思われているふしがある。というか、けっこう嫌われている。」・・・どうだろう、ズバッとみんなの本音に切り込む小気味良さ。これでイチコロだぜw

あるいは、ビットコインのアイディアを最初に書いたサトシ・ナカモトを神にしてしまうこの大胆さ。創造主としてのサトシ・ナカモト・・・「そうなんだ!」ってそれで改めてビットコインが出てきた背景を考えてしまう。

その流れの中でさらりと、この取り組みはノーベル経済学賞ものだと書いてしまう。読者にクリプトエコノミクスという新しい研究分野ができていることをインプットしてしまう。これを読んだ高校生(もしかしたら中学生でさえ)は、経済学、おもしろそーって思うのではないか。

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

 

サトシ・ナカモトの書いたBitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash Systemtという論文が非常に洗練された論文であることや、どういう過去を持っている人物なのかということまで本文では類推してみせる。

そしてそれからビットコインやそれを成り立たせるための中核の技術であるブロックチェーンまでその本質を軽快に説明し、さらに貨幣についてや、ビットコインなどの暗号通貨の今と今後を考えさせ、最後にはその社会的な影響についての記述など、ビットコインブロックチェーンというミクロの動きから、社会における技術の受容がそんなにすぐに起こるものではないという読者を冷静にさせる心配り・・・いい本だと思う。 

本書の章立ては以下の通り。

  • まえがき
  • 第1章 サトシ(神)はビットコインを創生し、やがて姿を消した
  • 第2章 そもそもATMは魔法の箱なのだ
  • 第3章 ブロックチェーンの生態系には、人間も機会も黄金もある
  • 第4章 暗号通貨の社会はめちゃくちゃ人間くさい
  • 第5章 超絶的な自動販売機イーサリウム
  • 第6章 正社員は減ってないし、会社は無くならないし、電子化はそう進んでいない
  • あとがき

全部で200ページ少々の本だ。いろんな人に読んでもらいたい本だと思う。

そしてビットコイン等を理解するだけでなく、今、われわれの生活を日々変えているデジタルトランスフォーメーションという技術がもたらす社会変革がどういうものなのかということに思いを巡らしてくれたらいいなと思ったりする。

今年、4冊目の本を読了しました。

CEATECに中学生、高校生を呼ぼう!

CEATEC(Combined Exhibition of Advanced Technologies)、毎年10月ごろに開催されるアジア地域最大の規模のIT技術とエレクトロニクスの国際展示会だ。幕張メッセで開催される。

そのCEATEC、これまではCEATEC JAPANと言っていたが、今年からJAPANを取るとのことだ。2月6日の日経新聞の電子版に載っていた。それによると、「出展者・参加者ともグローバル化が課題となっており、名 称変更をきっかけに海外で認知度も高めたい考え」ということだ。

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CEATEC、昨年、久しぶりに参加してきたが、こういうところに行くといろいろ刺激される。会場が非常に広いので二日間ぐらいじっくり時間をかけて、見て、説明を聞いて、質問してみたいところ。

mnoguti.hatenablog.com

何しろ最新の製品や技術が日本や海外のメーカがブースを構え、我々を迎えてくれ、丁寧に説明してくれる。これだけ刺激的な空間が他にあるだろうか。海外から出展者や参加者を呼びというのもわかるが、それと同時に足元の工学系、理数系の学生にもっときてもらいたいと思ったのは自分だけか。

www.ceatec.com

昨年は、やはり映像系、8k映像のすごさにビックした。本当にすごかった。肉眼で見るのとほぼ同じ映像なのだそうなのだ。だから肉眼とほぼ同じということで、映像を見ると奥行きがあり、立体的に見えてくる。そして綺麗・・・2020年のオリンピックは是非これでみたいと思った。こういう刺激をもっと若い人に感じて欲しい。そうすれば勉強や自分の進路を考える際に良い影響を与えるだろう。

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8k放送が実現するかどうかは別として、こういう最先端の技術や製品・サービスをもっと若い人に見てもらったらどうか。学生では遅いと思う。中学生や高校背に見てもらうのだ。そうすれば自分が進む道を考えることへの刺激となるだろう。CEATECを体験して、少年よ大志を抱け!って感じ。

会場はたくさんの見学者で賑わっていたが、そこはサラリーマン中心で学生の数も少なかった。本当は若い人に見てもらうというのも、将来の技術開発を担う人を作るという視点からは大切だと思うのだが、そこに若者の数は少なかった。

大学生でも良いが、できれば中学生、高校生にCEATECにきてもらって、最先端に触れてもらいたい。そうすることでイノベーションを活性化する一助になるのではないかと思う。

CEATECに中学生、高校生を呼ぼう!

主催者には是非検討してもらいたいものだ。

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)

 

今更ながらスマホへの依存ぶりを認識する・・・そしてiPadPro、いいね!

忙しくて慌てていても忘れちゃいけない!今日、外出時にスマートフォンを忘れた。

改めてないとやはり非常に不便。

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スマホを忘れたある日の午後

まずは外出する時はたいがい地下鉄に乗ることになるが、その時にSuicaを使っている便利さを痛感する。自動券売機で切符を買うというのが今となっては日頃ない行動なのですごく手間に感じる。しかも数円だが、乗車料金が高いときたもんだ。

次に心配になったのが、電話ができないこと。

設置台数は少なくなったとは言え、公衆電話があるだろう?って人ごとのように考えるでしょ。使えないんだよね・・・なぜって相手の電話番号を覚えていない。昔なら電話帳は必携だったが、今、電話帳を持っている人ってどれだけいるのだろうか。自分はもちろんそれを持っていない(正確にはスマホの中にはある)。

次は目的地に行くのに地図が見られない。昔は訪問先の地図は必ずプリントアウトして持っていったものだが、今は住所をスマホに送って、Google Mapで確認し、目的地まで連れてってもらうのが通常。それができない。これはお手上げ。

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その他にもメールの確認ができない。最初に電話をかけられないと書いたが、かかってきていても出られない。これもまずい。相手は自分がスマホ忘れてるって知らないからね。

そしてSNSを見られない。SNSメッセンジャーで連絡とれるし、チェックできるんだけどそれができない。もちろん投稿もできない。 さらにネットの情報を確認できない。

今回は自分一人ではなく、二人で行動したのでことなきを得た。その後、次の打ち合わせ場所にスマホを持ってきてもらった時は正直、「助かった」って思った。

 

タブレットも同じようなツールになるか?

これまではあまり使わなかったタブレットiPadだが、買い換えてから極力使うようにしている。しかし、スマホの代わりにはならなかった。

自分が対応していなかったというのもあるが、iPadは持っているけど、Wifiに接続できない。これもせっかくWifiアクセスポイントがあっても使えない。なんとももどかしいこの状況。今回の経験でこのiPadからWifiの接続はできるようにしておいたほうがいいなと痛感。iPadがネットにアクセスできれば何らかの連絡手段は確保できただろうに・・・って感じ。

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そのiPad、いろいろ意識的に使うようにしている。ブログの更新、SNSへの投稿、LINEの利用など・・・それで少しでも慣れようと思っている。以前にも書いたが、最近は電子書籍の読書をこれで再開した。液晶が良くなっているので見やすくなっているというのが大きい。昔、自炊したpdfファイルをGoodreaderに取り込んで読んでいる。

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今のデジタルトランスフォーメーションの時代にあって、自炊したpdf版のニューロマンサーをiPadProのGoodreaderで読み直すというのもオシャレじゃないか。他にも、語りかける中学数学とか、成長論の本とか、kindleでも、Collins Cobuild Advanced Dictionaryとか、ファストアンドスローとか、数学ガールの秘密ノートとか・・・また電子書籍で読んでみようという気になっている。

 

技術は使い倒そう

スマホタブレットスマホはすでに生活になくてはならないものになっているし、次はiPadがそうなっていくのか、否、高価な買い物なのでそうなってもらわないといけないのかもしれない・・・という感じで、デジタルトランスフォーメーションは進展していくのだろう。

こういうスマホタブレットの生活や仕事への浸透を依存しすぎと言って否定的に捉えてはいけない。新しい技術は使い倒さなければいけないのだ。使い倒すということは、今回のようにそれがない時にも最低限の対応はできるようにしておくことでもある。

新しい技術を使って、新しい毎日を!w

宮川努著「生産性とは何かー日本経済の活力を問いなおすー」:働き方改革は必須です

バブル崩壊以降、20年以上に渡り低成長にあえぐ日本経済(最近はバブルっぽいけど)・・・その日本経済に再成長とそのための活力と取り戻すための一つの見方を提示したのが本書だ。そのキーワードが、「生産性」ということで、生産性を中心に日本経済を多面的に分析している。
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本書の章立ては以下の通り。

  • はじめに
  • 序  章 生産性はなぜ注目されるようになったのか
  • 第1章 生産性の概念と日本経済
  • 第2章 経済学における「生産性」
  • 第3章 生産性を向上させる要因は何か
  • 第4章 企業レベルの生産性向上
  • 第5章 政府は生産性向上のために何ができるのか
  • 第6章 日本経済が長期停滞を脱するにはーアベノミクスを超えて
  • あとがき

「はじめに」も含めて最初から読んでいくのがいいと思う。著者の問題意識が書いてあるが、その最初ページに入る前に、村上春樹の小説から「使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。」という一文が引用されている。そしてはじめにでは、「生産性とは『経済的な活力と工夫の指標』となる。自分が労力を投入する仕事に対して、どれだけの成果が得られるかは、その仕事にどれだけ意欲的に取り組み、うまく成果を出せるように工夫するかに依存するということだ。」と述べている。

この視点から本書は、前半では主にマクロレベルでの生産性の動向を分析し、徐々にミクロレベル、企業の生産性の分析に関心の先が移っていく。

生産性とは何か (ちくま新書)

生産性とは何か (ちくま新書)

 

生産性のマクロレベル、ミクロレベルでの分析を通し、日本経済の問題点が明らかにされていく。まずは供給サイドから日本経済は、長期低迷からなぜ脱出できないのか、長期低迷に陥っている要因は何か、改善されている面はないのかなどなど、生産性というキーワードを通して日本経済を分析している。

そして第5章においては、政府の役割についても述べ、長期低迷を脱出するための政府の役割について考察している。最後、第6章では、低迷している日本経済において、元気のいいところもあるということで例を出している。それがスポーツと観光だ。この二つの分野に何が起きたのか、どういう改革が行われたのかが簡潔に語られている。そして経済政策としてどこから手をつけるべきかという点については、その影響の大きさから労働市場だと述べている。

経済学が教えるところはシンプルだ・・・長期低迷を脱出するために生産性を向上させるには、市場メカニズムを最大限活用して行くことだと(そこでの政府の役割は長期ビジョンの提示ということになる)。そこでは、競争性、合理性、多様性が維持され、政府規制は最小限にすべきであると。ただし、言うは易し行うは難し・・・それを実行するにはいくつもの障壁がある。ある時は業界慣行であり、ある時は政府規制であり、我々の考え方であり、過去からのしがらみであったりする。

本書は、現在の危機的状況(だと思っていないでしょ・・・だからバブルっぽいって)をどう打開していくかを生産性というキーワードを通して分析したものだ。通して読んだ後は、気になる章を再度読むもよし、参考文献欄にある関連文献を読むよし、いろいろなアプローチで何回も読んでみることで著者の考えをより深く理解できるだろう。

イノベーションの研究―生産性向上の本質とは何か

イノベーションの研究―生産性向上の本質とは何か