日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

市場メカニズムは万能か?

この記事は2006年5月14日にタイトルだけ書いて、そのまま下書きとして保存されていたものだ。

今、たまたま見つけたのだが、一昨年のリーマンショック以降、「市場原理主義」といわれ、「市場メカニズムは信用できない」、「そんなものを重視しているとひどい目にあう」・・・という言い方を現在ではされている市場メカニズム

ミクロ経済学を勉強したことがあれば誰でも市場メカニズムが万能ではないことは知っているだろう。だから市場メカニズム重視といってもそれは当然機能している分野に限られるわけだし、それを無視して市場メカニズムですべてを解決しようとはしていなかったはずだ。そのことについては経済学を知らない人でも世の中を冷静に見ればわかることではないかと思う。

それがだ、リーマンショック以降、市場メカニズムが諸悪の根源であるような言われようだ。マスコミでは、市場原理主義は悪玉とよく言われている。今もそういう人がいて、「なぜ?」と思わずにはいられない。社会は何らかの組織あるいは制度でできている。広く見れば市場もそういう制度のひとつだろう。そして制度に万能なものはなく、得手不得手をうまく補い合いながら機能している。そのバランスが崩れるとさまざまな社会問題、経済問題が発生する。

そういう事実を冷静に観察せず、ある意味、自業自得であるのに、自分らの損失を正当化するためか、市場メカニズムを悪者に仕立てる。でも日本経済は市場メカニズムを基本として経済取引が行われている。そのような社会で生きている人間が市場メカニズムを全否定するような意見を言う。それもマスコミから流れるとみんながそう思っているように錯覚する。

そういう極端な議論の流れ(反転?)が起きる・・・なぜ?という思いはいつまでも解けない。そういえば、先日とある会合で、日本人はマスコミの影響を受けやすく、かつ、不確実性回避傾向指数(UAI,Uncertainty Avoidance Index)が強く、ネットに対する信頼性が非常に低いというのが特徴だと言っていた。この3つの背後に共通の何かがないだろうか。そして今回の市場メカニズムに対する180度変わってしまう態度もそれが出たのではなかろうか。

単なる思いつきだけど、何か非常に怪しいと思っている。少なくとも日本人はマスコミに影響されやすい国民性である可能性が高いことを考えれば、そのことをマスコミ人は肝に銘じるべきだろう。

さて2006年のこの当時、「市場メカニズムは万能か?」というタイトルで何を書こうとしてのか、まったく忘れてしまっている。少なくとも市場メカニズムを否定するようなことは書かなかっただろうし、全面的に公定することも書かなかったような気がする。おそらく「制度に万能なものはなく、得手不得手をうまく補い合いながら機能」するんだということを違う言葉で書こうとしたのではないかと思う。

2006年の5月に何があったのだろうか。これは永遠の謎だ。

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