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竹中平蔵:構造改革の真実−竹中平蔵大臣日誌−

小泉前首相の首席秘書官飯島氏が書いた「小泉官邸秘録」を読んだ後は是非この本を読まなければいけないだろう・・・と思って手に取った次第。

経済政策を遂行するためには、しっかりした現状分析に基づいた政策の立案だけではだめで、政治過程をいかに掌握するかにあるということが本書を読むと分かる。著者の言葉を借りれば「戦略は細部に宿る」とうことだろう。

4532352487 構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
竹中 平蔵
日本経済新聞社  2006-12-21


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また与党、野党、官僚およびその他の利害関係者が自らの立場を守ろうと魑魅魍魎の動きをする様が描かれており、これは飯島氏の著書と合わせて読むと、よりリアリティを持って政治の難しさを実感できる。

そこではある意味、利己主義の塊、エゴイズムのぶつかり合いの世界であり、国民はもちろん自らの顧客なども存在しない世界だ。ただあるのは自らの保身と利益誘導のみ・・・そのような世界に舞い降りた小泉首相竹中平蔵氏。

本書には竹中平蔵氏の閣僚としての体験と彼の目から見た政治の世界が淡々と描かれている。淡々と書かれているけれど、その内容は壮絶だ。ここに書かれていることをどのように理解するか、そこからさらにどのように想像を膨らませるかは読者次第である。

多少の脚色はあるだろうが、ここに書いてある事は日本の政治の世界の一面であろうことは間違いあるまい。それを考えると、日本の今後を考えると憂鬱^^;

本書を読んでいて「なるほど」と思ったのは以下のくだり。

・・・、批判する側には三つの単純なパターンがある・・・批判の第一のパターンはとにかく反対の立場でものを言うことだった。・・・第二のパターンは、いわば”永遠の真理”をかざして批判することである。・・・そして批判の第三のパターンは、批判する相手に”レッテル”もしくは”ラベル”をはること・・・(本書227〜228ページ)

今後、政治的な議論に限らず、さまざまな議論においてまっとうな議論がされているのか、あるいは上記の3パターンのうちどれかになってしまっているのか注意しながら聞けばいいということだ。

ところで、なぜか竹中氏は、本書の中で、同郷人の和歌山出身の人を紹介する時その旨を書いている箇所が何箇所かある・・・目立つ。その人物を信頼して登用していたんだなあと思う半面・・・しかし、そういう人は同郷の人以外にもいただろうに、何故和歌山だけ・・・だろう?・・・というか、「わざわざ和歌山出身なんて書く必要ないのに・・・何かあるのかな」と思った次第。

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