まず通信事業者の場合、特にNTTの場合、期末設備簿価の差額を投資額に使うとマイナスになってしまいます。投資がマイナスってのはどういう状況なのでしょう???
そこで資本ストックは投資の積上げと考えて、投資額を直接把握する方法を考えます。そこで参照する数値が有価証券報告書の資金収支表の有形固定資産取得等支出の有形固定資産取得の数字です。
この数値はその年の設備投資額にほぼ等しいと考えられます。これを今度は資本ストックの系列別に按分する必要があります。
通信の場合は、資本ストック系列は以下のとおり。
- k1 通信機械施設(機械、空中線、端末施設)
- k2 通信線路設備(負担金圧縮前加入者線路・市内・市外線路、土木設備)
- k3 建物、付属設備および構築物
- k4 諸施設(機械及び装置 車両及び船舶 工具器具及び備品)
- k5 土地
- k6 無形固定資産
このうちk1〜k4までに有形固定資産取得額を割り振らなければなりませんが、それを割り振るためのウエイトは、有価証券報告書の固定資産明細票の中の「期中増減」の欄の「期中増加 取得原価」の数字で作ります。土地と無形ストックは別途考えました。
それで按分すると系列別の粗投資額が出ますから後は恒久棚卸法の考えに基づき、以下の算式で計算していきます。
ただし、Kt:t期の資本ストック
s:資本減耗率
It:t期の粗投資額
v:デフレータ
このとき資本減耗率の数字を具体的に何にするかは結構悩みました。僕は結局参考にした鬼木先生の数値に従いました。
以上です。
いや〜13年ぐらい前に格闘したことを思い出しました^^