日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

これも経済学だ!

中島隆信氏の4冊目の著作だ。

今回の本はこれまでの3冊(大相撲の経済学、お寺の経済学、障害者の経済学)で扱った話題を中心にしながら、経済学はどういう学問かを分かりやすく解説したものである。

これまでの3冊が、各テーマについて経済学を使って解説するという視点だったのに対し、今回は逆の視点から経済学自体を分かってもらうように書かれたものだ・・・と思う。

4480063145 これも経済学だ!
中島 隆信
筑摩書房 2006-08


by G-Tools

これまでの3冊で、「障害者の経済学」が一番考えさせられたが、今回も第4章「世の中に『弱者』はいない」の部分だ。それから最終章。

今回この本を読んでも、第4章については、これからの社会システムを考える上で重要な問題だという再認識した。また最終章は経済学のものの見方がどういうものかを本書の総括として書かれており、分かりやすい。

こういう本を読みながら、いつも思い知らされるのは「自分は経済学をまだ分かっていないな」ということだ。どうしても感情的、感覚的に議論してしまうことが多い。あと中途半端な経済学の知識を振り回してしまうことがあること・・・反省反省。

仮にも研究所というところに努めていて、規制の話や消費者行動の分析(市場調査)、企業行動の分析をするのであれば、最低でも、経済学、特にミクロ経済学のイロハぐらいは知っておきたいものだ。

本来ならアカデミックな世界の最先端で何が議論されているのかも当然チェックしておくべきだろう・・・でもどっかの研究所はそうなっていない・・・個人的にやっている人はいるだろうけど・・・でも問題なのはそういうことを組織としてできるかどうかという点だと思う。

まあ、ちょっと話が横道にそれましたが、今回の本ももちろんお薦めである。

今回の本も含めて、中島氏の4冊の本をどのような順番で読むか?僕ならば以下のとおり。

  1. これも経済学だ!
  2. 障害者の経済学
  3. 大相撲の経済学、お寺の経済学

一応経済学の知識がある人も、最初に今回出された「これも経済学だ!」から読むといいだろう。その次はやはりいろいろ考えさせられるという点から、「障害者の経済学」。「大相撲の経済学」と「お寺の経済学」は自分の興味のある方から読めばよいと思う。

いろいろなテーマを経済学という分析フレームで解説してくれるので、分析フレームを持つことの大切さを分からせてくれる4冊の本だ。

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