異様に売れている。「非常に」ではなく「異様に」だ。
なぜこの本が売れるのか、読んでみても分からない。
内容は講演録を元にして、加筆修正したということだ。藤原さんという昭和18年生まれのおっさんの最近の日本に対する見方とあるべき姿が述べられている。
国家の品格 藤原 正彦 新潮社 2005-11 by G-Tools |
それはそれでいいのだが、そこに上げられている例があまり関心できない。藤原さんは少なくとも学者、研究者の範疇に入る人だと思うが、そういう人がこの手の内容を書いていいのか・・・というのが僕が本書を読んだ後の感想だ。
ブログにあまりネガティブなことは書きたくないけど、今回は書きようがない。
主張したいことは分かる(支持するということではない)が、それを主張する論理というか理由というか証拠の示し方がめちゃくちゃとしかいいようがない。
すべての主張について展開されている論理やその証明に使われている証拠はすべて(といってもいいだろう)中途半端だ。我々俗人が、盛り場で一杯やりながら自説を開陳するのと同レベルのものだと思う。
本書では、国家の品格は武士道と情緒によって保たれると書いてあるが、それを説明するために出されている例を一つ一つ丹念に追っていくと、日本という国の特徴が藤原さんの見方とは違った視点で明らかになると思う。
・・・で、なんでこういう内容の本がここまで売れるのかがよく分からない。多分、読んだ人の多くは違和感を多少とも覚えながら読了したのではないかと思うが・・・いかがでしょうか。
若い人には、藤原さんの本なら国家の品格ではなく、次の若き数学者のアメリカを読んでもらいたい。
若き数学者のアメリカ 藤原 正彦 新潮社 1981-06 by G-Tools |
こちらは著者の若いときに留学した体験記のようなエッセイだったと思う。こちらの方が読んでいて楽しいし、若い人にはいろいろ参考になることがあると思うよ^^