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松本清張:点と線

日本の推理小説を代表する作品。2007年、ビートたけしの主演、高橋克典、他の共演でテレビ放送された。それを見て改めて原作を読んでみたくなった次第。

僕自身がこの文庫本を購入したのは、奥付の購入日付を見ると、1985年(昭和60年)12月9日となっている。大学4年生のときだ。当時は超売り手市場だったのに就職をせず、10月か11月ごろになって大学院に進むことを決め、この頃は年明けの大学院の試験に備えて勉強していた頃ではなかったかと思う。

いつかは読むだろうと思っていたけど、それが今になるとは・・・もう少し早く読んでおけよって突っ込まれてもしょうがない^^

4101109184 点と線
松本 清張
新潮社 1971-05


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今回、改めて読んでみて、やはり名作は名作なんだなと思った・・・久しぶりに簡潔で面白い推理小説を読ませていただきました。

テレビドラマはかなり脚色されていて、半分人間ドラマみたいな感じだったと思うが、原作を読んだ感想は、「あくまでも推理小説だ」、当たり前だが。

クライマックスは、13章?の「三原紀一の報告」だ。ここで事件の全況と結末が語られる。その中に以下の一文がある。

・・・佐山とお時とはばらばらな二つの点でした。その点が相寄った状態になっていたのを見て、われわれは間違った線を引いて結んでしまったのです。(207ページ)

これが「点と線」という書名に直接結びつくおそらく唯一の記述だ。しかし、「点と線」という書名は、この小説全体から考えられたものではないかと思う。なぜなら、そもそもばらばらになっていた個々の事象(点)がアリバイを崩すことにより一つの意図のある事象につながっていく様(線)が描かれており、それは「点と線」そのものだ。

昭和30年代、西暦でいえば1950年代に書かれた小説は、今、読んでみると使われている単語も懐かしいし、当然、それで描写される東京などの風景も懐かしい。おそらく当時の人と、現代の人が読んだのでは、頭の中に描かれる情景は大きく異なるのではないか。

しかし、そこに書かれているストーリそのものは今も古びておらず、淡々と組織の恐ろしさを描き、女の情念の恐ろしさを描いたものになっている。

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