日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

IT産業のウィンブルドン化

テニスの世界で有名なウィンブルドン。そのセンターコートは年に1度の大会のために、1年間かけて整備されるという。

最高の環境でプレイする選手たち・・・しかし、そのセンターコートの決勝にイギリスの選手が立つことは最近ではほとんどなくなった。

国内に目を転ずると、日本の国技と言われる大相撲・・・今の九州場所が行われている。その大相撲の土俵にも最近、いろいろな国の力士が立ち、優勝を争っている。朝青龍琴欧州がその代表だろう。

世界4大タイトルに数えられるウィンブルドン、国技と言われる大相撲・・・競技者にとっては言わば自分たちが活躍するインフラだ。しかし、そこで活躍している選手や力士はさまざまな国から参加している。

実は同じようなことが情報通信の世界でも起こっているらしい。

一昔前までは、日本のドラマはアジアで売れた。アニメにいたっては世界に流通している。しかし、現状は惨憺たるものだそうだ。ドラマはアジアで売れていないそうだなのだ。国内の放送界では韓流ドラマが流行り、ネットゲームの世界でも外資が中心で国内ゲーム企業はぱっとしていないらしい。

日本はブロードバンドの世界では先頭を走っている。しかし、ブロードバンドはインフラであり、そこから生み出される付加価値は限られている。使われて何ぼの世界だからだ。じゃあ、IT産業はどこが付加価値を生み出す源泉かというと、それはコンテンツなのだと思う。

そのコンテンツ産業が今、日本では弱体化しつつあるようなのだ。テレビをつければ、最近のドラマは人気の俳優や女優を使った単発物、ドラマの内容という本来重視される部分が前面に出てくることはほとんどない。そのほかではお笑い番組やアニメ、クイズ番組、ドキュメント番組が全盛の時代だ。要するにじっくり練られたものが出ずらい状況になっているようなのだ。

映像コンテンツを配信できる光ファイバという最高のインフラを持つ国のコンテンツが弱体化していったとき、そこに流れるコンテンツは韓流ドラマであり、ディズニーであり・・・外資のコンテンツが幅を利かせる時代になってしまうかもしれない。

そのとき国内のIT経済はどこから付加価値を生み出すのか?

インフラのネットワーク部分は定額制の導入や料金の過度の引き下げでほとんど利益を出せなくなる一方で、利用環境は最高のものを提供している。それを使うのが海外の作品ばかり・・・ちょっと考えても恐ろしいことだ。

IT産業が本当に国内経済の戦略部門として考えられるのであれば、ネットワーク産業でブロードバンドを普及させることや競争が機能している今日、コンテンツ産業をどうするかということがIT政策の根幹にならなければいけないのではないか。

ウィンブルドン大会でイギリス選手がセンターコートに立たなくても、世界中から観客が来て、お金を落としてくれる。IT産業でブロードバンドというセンターコートに国内のコンテンツがなかったとき、IT産業はどこから儲けを得ればよいのだろうか?

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