日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

ICT経済:10−12月期はどうなるか?

景気指標・・・そろそろ10−12月期の数字が出てきている。そして四半期別GDPの10−12月期の1次速報は、2月14日、2次速報は3月10日だ。今度の数字はどのような数字になるのであろうか。

たしか第4四半期は落ち込む、それも結構落ち込むということだったが、どうなるだろうか。ESPフォアキャスト調査でも、7−9月期の+4.5%に対して、10−12月期は−2.03と予測されている(いずれも年率換算)。本当にそこまで落ち込むのであろうか。そしてICT部門はどうか。

7−9月期は、輸出の持ち直しとエコポイン
トで液晶TVの生産が刺激されていたが、それが続いたのか、あるいは他に何かあって景気を維持するのか、あるいはマクロ経済の見立てと同様落ち込むのか。エコポイント後をにらんだ動き、あるいは制度要因とは別の自律的な動きが見られるかというところが注目点になる。

供給面で一番の注目はICT関連サービスの動向だ。そこがどうなるか。サービスが上向くとそれがICT関連投資へ波及して・・・という循環が起こって・・・それは企業レベルではICTの利活用が進むということで、企業の競争力もついていくことになると思う。つまりB2BやB2Cの取引にICTがより活用される一方、B内にもクラウド型のサービスが徐々に浸透し、生産性や効率化が向上し、それが新ビジネスへの取り組みに活かされるようになれば、新たな比較優位を生み出す可能性を大きくさせる。

一方、国内景気の持ち直しは、7−9月期はエコポイントと輸出主導ということで、自律的な回復とは言えないのではないかという見方になろう。あるいは旧来型の循環がたまたま今回も回ったということになるか・・・産業では自動車、地域では中国、米国の持ち直しも大きい。これらの産業・地域では10−12月期も大きな落ち込みにはならなかったのではないか。自動車も10−12月期の早い時期に底を打ったと聞いている。つまり10−12月期、供給面、財およびサービスの生産は当初ほど大きく落ち込まなかったのではという見立ても可能だと思うが、本当にそうなったのか。

消費面では液晶TVの他はタブレットPCだろう。端末のプラスに加え、サービス面でも、通信サービス、課金決済サービス等プラットフォームビジネス、コン
テンツ・アプリケーションの各セクターには刺激になったはずだ。タブレットPCが端末としてのPFに今後なっていくのか要注目。B2C市場の活性化になるから、そこが供給面を刺激するかもしれない。

端末側のPFが今後どうなっていくのかと同様に注目したいのが、ネットワーク側のPFがどうなっていくか。物理レイヤの通信ネットワークは固定と無線を消費者が自らの利用目的に応じて最適につなげていくことでどれか一つということにはならないという最近の識者の見方だが、そうだとすれば消費者に対しニーズに沿ったネットワーク環境を提供できるビジネスモデルがPFになっていくということになる。ネットワークをバラバラに売っていたのではこれからのICT市場での競争、特にグローバルな競争には勝てない。さらに必要なのが垂直統合的な関係をどのように構築するかだろう。その点でApp EconomyとHTML5の話は面白い。学術的には、だいぶ前から注目されているTwo-sided MarketあるいはMulti-sided Maketの議論になる。

マクロの話からそれつつあるが・・・そのビジネスモデルをどのようにグローバル化させるかが良くわからない。なんとなくグローバル展開に成功した時(何を持って成功とみなすかもわからないが)、ICT産業は日本のリーディング産業のひとつになっていると思う。今後のICT産業をけん引するのは、これまでの歴史からして通信キャリアに期待されるが、ビジネスモデルを構築する企業は競争メカニズムが機能している限り、どの階層からでてもかまわない。

あとはウィンブルドン型というか米大リーグ型というか欧州サッカー型というか、コンテンツ調達型のビジネスモデルのように、コンテンツやプレーヤーをいかに国内に引き込むか、ICTビジネスを展開するためのリソースをいかに国内に集めるかということだろう。それが成功しているのは実は大相撲だけだったりする(大相撲の最近の番付表は外国人力士が中心だ)。野球は大リーグに取られ魅力ないものになりつつあるし・・・、サッカーはまだ可能性があるかもしれない。

そういうビジネスに貢献できるICTって考えてみるとどうなんだろう?コンテンツは大切だけど、コンテンツだけでは儲けられないということはみなさんもうはっきり分かっているはず(ごく一部の超大物は除く)。PFをうまく作ることが重要だって・・・しかもそこにマネタイズの仕組みを偲びこませることも・・・そうするとロングテールが機能して、より多くの人が恩恵にあずかれるようになる。

こうやって考えてくると、これまでの経緯を思い出しても、今までのようなICTの利活用の思考の範疇では限界があるわけで、やはり新鮮な視点を持った人の発想がすごく大切だと思う。新しい人による新しい動きが出てきたとき、ICT関連サービス面は大きく盛り上がるのではなかろうか(その前にその動きをつぶそうとする動きも当然出てくるであろうが、そこを乗り越えた時だな)。そしてそれが投資面や消費面にも当然波及していくだろう。

そういう動きのかけらでもいいから、そろそろ出てきてもらいたいもの。さて、10−12月期のICT経済はどのような状況だったのでしょうか。そして足元では何が起きているのでしょうか。複眼的な目で前向きに業界動向を整理していこうと思うわけです。

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