さて、退職後3ヶ月目に突入している毎日、予定していたことをいつも積み残しながら日々喘いでいる。1ヶ月ほど前に、『定年ひとり起業』という本を読んだ。この本を読むと自分もひとり起業を実現してみたいと思うが、読んだ後、じっくり考えると、誰にでも機会はあるがそんなに簡単なことではないことがじんわり分かってくる。再就職するにしても、ひとり起業するにしても、どう収入を確保していくかが一番のポイントとなる。
そこで次に読んだのが、同じ著者、大杉氏の次の本だ。先立つもの(生活資金)をどう確保するのか、定年後の人生をどう生きていくか、理想の生き方(衣食住)があっても、それを実現する先立つものがなければダメだし、先立つものがあっても生き方を考えていないと宝の持ち腐れ?になってしまう。先立つものと自分の生き方の交差点がどこにあるのか、それを考えることが大切だ。そこで前回の内容を忘れないうちに先立つものについて書いてある「マネー編」を読んでみた。
「マネー編」は、以下のとおり、「はじめに」と「おわりに」と5章からなる。
- はじめに
- 「定年再雇用」vs「定年ひとり起業」
- そもそも老後の収入はどのくらい足りないのか?
- 老後マネープランは「WPP」と「トリプルキャリア」
- 第1章 月5万円をずっと稼ぎ続ける「理想の働き方」
- 第2章 まずは年金を知ろう!
- 第3章 銀行がすすめる投資商品がダメな理由
- 銀行員がすすめるのは「手数料の高い」運用商品
- おすすめは手数料の安い外貨建て「インデックス投信」
- 「つみたてNISA」が優れた投資法になる理由
- インデックス投信の王道は「米国株S&P500インデックス投信」
- 第4章 老後ライフスタイルを決定づける「終の住処」
- 大前研一氏が説く「人が変わる三つの方法」でライフスタイルを考える
- 自宅での「看取り」が急増すると「終の住処」が重要になる
- 大杉潤が目指す「終の住処」と」老後ライフスタイル
- コラム:日下部氏
- 第5章 老後資金の作り方年表と7原則
- 老後資金の作り方
- 「60歳から老後資金を作る」ための7原則
- 「ライフステージごとの戦略」を考える
- 老後資金で最も大切な「Work longer」と家計の収支
- 生涯現役を目指すから「幸せ」で「健康」になる
- おわりに
以上のような項建になっている。この中で最初の本を読んでいることを前提にすると大切なのは、自分の場合、2章と3章かと予測しながら読んだ。確かにそうであったが、読み終わってみると、自分にとっては、実は第5章の老後資金の作り方年表が一番大切だということが分かった。
それはなぜか。60代になった自分にとって、それまでの人生(20代、30代、40代、50代)をどう生きてきたかを振り返っておく必要があることが分かったからだ。20代はまだ学生、30代が社会人になりたての10年間、40代は一番仕事が楽しかった10年間、50代は無為に過ごした10年間、この40年間を今振り返ることで、自分というものを考え直すことができる。また再就職にしろ、ひとり起業にしろ自分の専門性を検討することができるからだ。
老後資金の作り方年表を参考に自分はどうするのかを考える・・・これが軸になって、最初の本の内容(マネー編では第1章に要約されている。60歳以降の働き方、基本的な生き方をどうするか)を考え、このマネー編でマネープランを考えることになる。
そして具体的な各論に入る。まずは第2章の年金についてだ。「年金ネット」「ねんきん定期便」、日本年金機構の「相談窓口」という大切な情報源を利用することの大切さが分かる。そして年金を前提にしたマネープランをどうするかを具体的に考えるプロトタイプも示してくれている。ここでまずは誰でももらえる年金の受給をどうするかは一つのポイントだ。
年金について理解できたら次の第3章の投資法の検討だ。これはつみたてNISAを利用したインデックス投資が中心になるということで、具体的に銘柄名まで上げながら考え方を理解できるようになっている。つみたてNISAは2024年から新しい制度に移行する。23年に口座開設しておくと、自動的に新NISAにも口座ができ、両口座で限度額まで投資できることになる・・・が、実際、両口座の限度額まで使うのかは人それぞれだろう。新NISAからでもいいかもしれない。それよりはこれから10年、20年という投資期間を考えたとき、自分のライフプランはもちろんだが現在の世界情勢や環境問題などを考え検討することが大切だと本書を読みながら考えた。
第4章は、住む場所をどうするか。自分は、浜町に自宅が、北軽井沢に親が残した家が、そして徳島にも奥さんの自宅がある。その中でどこに住むか?最後の最後はやはり利便性を考えると浜町になるのではないかと考えている。北軽井沢は車の運転ができる限り利用することになるだろう。
そして最後の第5章で、大切な老後資金の作り方年表の話が出てくる。これは前に書いた通り、まず検討して、50代までを整理した後は、60代以降の部分については常に見直しながら更新していくことで、自分の事業計画書として機能することになる。
本書を読むと、60歳からでも老後資金を作ることは可能であることが分かる。ここが分かったことが一番大きい。そしてその具体的な方法がプロトタイプとして示されており、自分の状況に合わせて作り直していけばいいようになっている。
もうすぐ退職だけど何も考えてこなかった人がいたら、先立つもので慌てることはないことが分かるので、本書をまず読んでみるのがいいかもしれない。
大杉氏は3冊目を出している。「生き方編」だ。これは目次をざっとみたところ、これまでの著者の読書歴を存分に活かした内容になっているようだ。
こちらは少し時間をあけて読んでみたいと思う。