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ディーン・カーナゼス:ウルトラマラソンマン

走る人には面白く読める一冊だ。いや、もしかしたらたまらない一冊かもしれない。

ある男のランニング人生記だけど、書名を見ても明らかなとおり、とびぬけたランニングの内容だ。自分は今までの最長ランニング距離はフルマラソンの42.195キロ。この主人公はなんと300キロ超だ。普通はあり得ない。

あとただ距離を走るだけではない、あらゆる長距離走に挑戦していることもすごい。ウェスタンステーツ100耐久ラン、バットウォーター、南極大陸、リレーマラソン(一人で走った)などなど、あらゆる長距離走に挑み、そして完走してきた・・・すごいはすごいんだけど、読んでみると、そこに書かれていることは長距離を走って、苦しい思いをしながらゴールをした人間にはいちいち自分のそのシーンを思いうけべながら思わず読んでしまうような内容だ。


4799311298 ウルトラマラソン マン
ディーン・カーナゼス
ディスカヴァー・トゥエンティワン  2012-02-16


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「苦しいのになぜ走るの」、「走りながら何を考えているの」という質問はよく受けるけど、この本に書いてある内容はまさしくそれにこたえてくれていると思う。そうなんだよねえ・・・なぜマラソンなんてって思っている人もぜひ読んでもらいたい本だな。内容は以下の通り。

  1. サンタクルーズまでの長い道
  2. 思春期の頃
  3. ハートで走る
  4. 生きるために走る
  5. レクサスを汚す
  6. 普通からの逸脱
  7. 山を越え、森を抜け
  8. キング・オブ・ペイン
  9. 暗闇へ
  10. すべてが変わった
  11. バットウォーター
  12. 氷の大地
  13. リレー
  14. 橋を渡る
  15. チーム・ディーン
  16. 未来に向かて走ろう
  17. いのちの贈り物

全17章立てだが、一番の読みどころは、ウェスターン・ステーツ100耐久ランへの出場資格を取るところからその完走までを描いた、「7.レクサスを汚す」から「10.すべてが変わった」の部分だろう。他のレースでも壮絶な様子が描かれているが、最初にチャレンジしたこの大会での様子はなかなか読ませるものがあった。


本書を読んでいると、「うん、そうそう」とうなずくところがいろいろ出てくるのだけど、その中で一つだけここに紹介するとすると、以下の部分。

本当は僕のやっていることは不思議でもなんでもなく、僕だって他の人と同じくらい苦しい。僕はようやく重要な真理を学んだのだ。ある程度の距離は足で稼ぐことはできるが、(中略)・・・、それ以上は気持ちの問題だ。人間の身体は驚くべき潜在能力を秘めており、自分で設定した限界を取り払って内面の火を灯せば、可能性は無限大だ。(本書243ページ)

練習していても、フルマラソンを走っているときも、いつも念じていたのは「リミッターを外せ」だった。

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