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Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

オープンソースがなぜビジネスになるのか

書名を見た時、「これは面白そうな本が!」と思って迷わず買った。

語り口は柔らかく、シンプルなので読みやすい。

4839920788 オープンソースがなぜビジネスになるのか
井田 昌之 進藤 美希
毎日コミュニケーションズ 2006-06

by G-Tools

内容についてもフリーソフトウェアでは伝説の人?、ストールマンとの逸話から始まり、徐々にオープンソフトの話になっていくことで話題に自然と入っていける。

前半部分はフリーソフトウェアからオープンソースにいたる主要プレーヤーについて時間軸にそって解説している。そうなると「なぜビジネスになるのか」を問う所はこれから、つまり第2章以降が重要な章になると思い読み進めたが、期待はずれであった。

端的に言ってしまえば、書名に内容が答えていないのである。

今、ネットの世界はWeb2.0と言われているように生活面でもビジネス面でもそのネット利用は新しい段階に入ったと言われている。しかし、特にビジネス面においてはその収益モデルがはっきりしない状況が続いており、Web2.0のビジネスを大きく成長させるための新しいモデルがあるのではないかと考えている人達もいる。

・・・というより、新しい収益モデルを考えることによって第二のGoogleになることを目指している輩が一杯いるといったところか。

例えば上記のGoogleが有名にした広告ビジネスがあるが、この他となるとまだ明らかでない。さらに広告ビジネスも万能ではなく、GyaOは多くの会員数を集めながら広告主が集まらず四苦八苦していると伝え聞く。

ネットの収益モデルには、広告モデルのほかには課金モデルがある。課金モデルは消費者が購入するごとに回収するもので通常の購買と変わらない。これは現状でも音楽配信など各種コンテンツ販売では使われている。

Web2.0集合知の利用など今までとは異なるビジネス構造をしているものがある。多くはユーザ側の自主的な活動によって自然とその便益が発生するものであろう。あるいは複数の技術を組み合わせて新しいサービスを考えるようなものもある。

そのような中でやはりオープンソースの製品がどのようにそのコスト回収モデルを形成しているのかは興味のあることだろう。書名からすると、本書はまさしくそれの回答ないしそれんに近いものが書いてあることが期待されたのだが、そこまでは書かれていなかった。

著者は少なくともオープンソース運動の歴史を体験している人であるようだし、もう少し書名にダイレクトに答えるような考察が欲しかった・・・残念!

オープンソースについて何も知らない人がその歴史と現状を知りたい時に読むと良いかもしれない。

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