日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

【ICTの今】誰にでも見えている・・・変わる富の分配構造

電話の時代は、ネットワークは完成品だった。だから収益を上げられた。しかしIPの時代になってからはネットワークは部材になった。結果は・・・部材の一部になったネットワークがPFやコンテンツ・アプリという他の部材とともに完成品の一部を構成するようになり、ネットワークが完成品だった時代と富の分配が大きく変わった。

今、どのプレイヤが富の分配の要を握っているかはだれが見ても明らかだろう。

日本企業は部材が強い・・・からまだまだいけるというような言質を聞くことがあるが、部材に強くても収益は限定的だろう。完成品を作るところが収益を押さえ、それを部材に分配していくことになる。どこの製品を作るべきかは明らかだ。その点は昔も今もそれは変わっていない。変わったのは電気通信産業(C)や情報産業(IT)がICT産業となったことだ。

電話からブロードバンド、モバイル、IPの時代になり、ICT産業はモジュール化し、そのモジュールを自分のリソースを中心にどのように組み合わせてサービスを提供するか・・・モデルはオープン/クローズと簡単に二分法できるようなものではなく、自分のリソースの特性により変わるだろう。それがビジネスの成功の鍵になる。今までの部材が完成品を作るためのキーになることもできる(そうやって考えると、ちょっと大げさに言えば、あらゆる企業に完成品を握る機会が与えられれていると言えなくもないのではないか)。

こんなことを書くと大概の人は、「そんなことは百も承知だ」と思うだろう。ではなぜそれが実践できないのか?

それを検討するために何が必要かも分かっているのではないか?テクノロジーとビジネスをいかに直結させるかが問われていると思う。

例えば、「知財戦略」と聞いて、「特許料」、「著作権料」しか頭に浮かばない人は今の時代にはそぐわない。今は知財をもっと大きく捉える必要がある。モジュール化した産業でどのようにビジネスを考えるか・・・その基礎の一つとなるのが知財戦略だ。

日本という社会がそういう世界に変わったということを十分認識しているのか・・・未だ一部の人たちに限定されているのではないかと思わざるを得ない。

それは知財戦略に基づいて新しいビジネスを展開しようとしても、それに抵抗する勢力の強さだ。富の分配が大きく変わっているとき、その方向に大きく一歩踏み出すか、自分を守るか・・・今の日本は後者、非常に保守的になっているのではないかと思わずにはいられない。

こういう自分とて、保守的ではないと言いきれるかと自問自答すると・・・。正直、難しいところだ。こういう時代的・・・社会的気分の中では、そこここで新しいビジネスの目が出てきているとしても、それを踏みつぶしてしまっていても気づかないだろう。

今の自分を捨てられるかが問われているのかもしれないと改めて思う。

人気ブログランキングへ

ブログパーツ