日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

イケダハヤト著『まだ東京で消耗しているの?環境を変えるだけで人生はうまういく』:東京はコストが高い・・・これだけは曲げようのない真実だ。

今、読まれているブログの上位に入るだろう「まだ東京で消耗してるの?」の記事を取りまとめたのが、本書だ。内容は・・・

  • プロローグ
  • 第1部 東京はもう終わっている
  • 第2部 田舎の方が圧倒的に稼ぎやすい
  • 第3部 限界集落に移住して、こんなに幸せになりました
  • 第4部 「ないものだらけ」だからこそ、地方はチャンス
  • 第5部 移住で失敗しないための5つのステップと知っておくべき制度
  • 特別対談 妻へのインタビュー
  • エピローグ
  • おまけ 移住に関する「よくある質問」

内容は著書イケハヤさんの言葉を借りれば、「上から目線」で貫かれ、いかに東京が住みにくい都市か、高知を代表する地方に魅力が眠っているかがこれでもかと書いてある。描写には、さすがに「?」と感じる部分もあるが、そこはデフォルメしてあるのだろうということで差し引いて読むとして、なかなかズケズケ書かれいて、東京にどっぷり浸かっている我が身としては、指摘されて痛いところもある。 

 この本のポイントは誰でも同じようにできるかというとそれは違うということだろう。イケハヤさんが言っていることをできるのは、自分から課題(目標)を見つけ、行動に移せる人だ。そうでない人は真似をした途端失敗する。都市部で不平を述べている人のほとんどは実はこの失敗する側の人ではないかと思う。そこのあなた、どうだろうか?

イケハヤさんのように成功する人は、周りに気付かれないうちに自分でさっさと行動に移し、気づいた時には「あれ?どこに行ったの?」って感じで、東京を脱出しているだろう。

それから否定できないのは、「東京はコストが高い」という点。こればかりは否定のしようがない。まあ、東京の中でも場所によってかなり物価に差があるけれど、全国平均から比べれば、高いことは事実だろうと思う。これが我々の生活を制約している部分はかなりあります。

さらに、人が多い、世界中の人が集まるということで、東京では、「『やりたいことが見つからない』のは、個人の意欲や能力の問題ではなく、環境の問題なのです。」という指摘も確かにそうかと思う。一方、地方では、「『ないものだらけ』というのは素晴らしい環境で、『だったら自分達でやろう』と思える。」ということだ。東京のような切磋琢磨する環境がより洗練されたものを生み出すということかもしれないが、一般の人にはその壁は高すぎる。それに比べて地方に行けば、人が少ないからこそ、東京にはない自由があり、ビジネスの種も転がっているということだろう。

社会の流動性は着実に高まり、今後もいっそう、人々は自分の環境を選びやすくなります。21世紀は「人々が自分の意志で環境を選べるようになった革命的な時代」として歴史に刻まれるでしょう。

本書で言いたいのは つまりはこういうことなのだ。社会が右肩上がり一辺倒の時代から変わってきている中で、嫌が応にも価値観は多様化し、一方でICTの発達、それを活用したテレワークやクラウドソーシングの発展、普及、そして地方への移住政策として構築されているが、流動性を高めるための様々な社会制度・・・着実にそちらに向かっているように見える。今までの当たり前が当たり前でなくなる社会が半ば実現されていて、それに気づいて最初に行動を起こして社会に情報発信しているのがイケハヤさんなのだ。

最後の方に複数拠点のことも書かれているが、自分の目指すところもそれ。拠点は、日本橋浜町という江戸の田舎、そこを中心に北軽井沢、徳島吉野川市、そしてセビリア!・・・まあ、セビリアはまだ拠点はないけど願望ね。浜町にいるのが基本だけど、週単位、月単位で北軽井沢や吉野川市で生活して、季節ごとに棲み分けるのが理想だ。その時は今の仕事はリタイヤしているだろう、何か他のことをしているのだろうがどうなるかはまだ分からない。

 すごく軽く楽観的に書かれているので、(考え方が)お年寄りが読むと「何を言いやがる、世の中ってのはそんなもんじゃない」と抵抗があるかもしれないが、それだからこそ読む価値がある一冊だと思う。