高校での情報科の新しい学習指導要領が2022年度からスタートしている。その高校生が大学に入ってくるのは3年後の2025年度からだ。
新しい学習指導要領では、各学科に共通する教科の1つとして情報が定められ*1、その中の科目として情報I,情報IIで構成されている。
「情報Ⅰ」は,問題の発見・解決に向けて,事象を情報とその結び付きの視点から捉え,情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む共通必履修科目であり、「情報Ⅱ」は,「情報Ⅱ」情報Ⅰの基礎の上に,情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力や,コンテンツを創造する力を育む選択科目となる*2。
・・・ということなので、気の早い話だが、2025年度以降に入学してくる学生からは、情報Ⅰの内容を前提として、授業の内容(データ分析やそれに必要なプログラミング、統計手法の知識等)を考えることになる。
情報Ⅰに関する教科書や文部科学省から資料*3がネット上に共有されているので、まずはそれを見てシラバスを検討することになる。
情報Ⅰの教科書は、各教育出版社から市販されているので、その中から選択するが自分は実教出版の教科書がプログラミングがPythonを取り上げていたことやネット上で評判が良かったこともあり、購入してみた*4。
全ページカラー刷りで、200ページ弱(編集・執筆者10名)からなる。章立ては以下の通り。
- 第1章 情報社会
- 第2章 情報デザイン
- 第3章 デジタル
- 第4章 ネットワーク
- 第5章 問題解決
- 第6章 プログラミング
共通必履修科目なので扱う範囲は情報全般を扱っており、前半は、社会の視点から入り、情報の特性やそれを流通させる技術の説明に割かれている。データ分析に関するのは、後半の2章だ。
「第5章 問題解決」では、データ収集、前処理、集計、統計分析、シミュレーション(広い意味で予測も含む)という内容となっており、データ分析の基礎の導入部を学ぶことになる。
「第6章 プログラミング」では、プログラミングやアルゴリズムの解説をしている。プログラミングはPythonを取り上げているので、ここはRに置き換えて考える必要があるが、IDE(統合開発環境)を使って解説していることと、プログラミングの考え方やアルゴリズムは共通なので大枠は変わらないだろう。
他の教科書の章立てまでチェックしていないのだが、この章立てを前提とすると、第5章と第6章がどこまで学習できるか気になるところだ。授業が遅れ気味になると、この2章は十分時間をかけらなくなることが予想されるが、最近の高校の授業はどうなのだろうか*5。
少なくとも現状では、教科書や文科省の資料を参考して、25年以降の授業内容をどうするか検討しておくことになるだろう。教科書の内容から、基本的な統計やプログラミングの知識は一度は勉強したことがあるということになるので座学というよりは、データを利用して実際にプログラムを組んで分析してもらう実習・演習を中心にした方がいいように思う。
また今はRを使って分析しているが、Rは、どちらかというと統計分析用のアプリケーションという印象が強く、プログラミングとは別として考えられ、高校ではほとんど取り上げられないだろう・・・だとすると、プログラミングの基礎は分かっているとしても、Rの操作についてはイロハから始めないといけないだろうが、その辺りの理解度がどの程度かで進め方は変えていく必要がある。
さてさて、どうなりますか。