ネットワーク・・・我々の身近に存在し、分かっているようで分かっていない存在。
ITとかICT社会はネットワーク社会とも言われる。それは情報社会と言われてきた頃からそうだった。しかしそのネットワークについて何が重要なのかその特徴を説明してくれる本はなかなかなかった。
「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ 増田 直紀 今野 紀雄 講談社 2006-02 by G-Tools |
この本は前半でネットワークの基本的特徴を明らかにし、なぜ今ネットワークなのかを一般に人々にも分かりやすく説明してくれている。後半はそれをIT社会や脳の仕組み等現実の問題に応用して、なぜ注目されるのかを分かりやすく説明してくれている。
例えば、ソーシャルネットワークサービス(あるいはサイト)が現在マーケティングのツールとして注目されいてるが、それがなぜなのか?・・・本書はその理由を複雑ネットワークの理論にのっとり説明してくれる。
これからICTを利用してビジネスを考えている人々にとっては、知っていることが必須となるであろう複雑ネットワークの理論を優しく解説してある点で一押しである。
人間社会(に限らない)のネットワークは
- ほとんどすべてのネットワークはスモールワールド
- 不平等さが顔を覗かせる場面ではスケールフリーネットワークも数多く見られる
ということが分かってきた。ここでいうスモールワールドとは、
- 小さい平均距離
- 大きいクラスター係数
を特徴とするネットワークであり、スケールフリーとは、
- 平均値や分散というスケールがない
ということである。
巻末には参考文献欄もついているので、さらに勉強したい人はそれらの本を読むと良いだろう。
ネットワーク・・・まだまだ分からないことが多いようだが、なかなか面白い研究対象になってきたようだ。