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加藤廣『信長の棺』

小泉さんも読んだという信長の棺を読みました。 続編があるそうですので楽しみです。

4532170672 信長の棺
加藤 廣
日本経済新聞社 2005-05-25


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主人公は信長公記を書いたと言われる太田牛一で、本能寺の変でなくなったかつての主君信長の亡骸を探すうち、本能寺の変そのものの構図が明らかにされていくというものです。

歴史推理小説というものは今回はじめて読んだのですが、かなり面白かったです。これ以上ストーリーを書いてしまうとマナー違反になりますから書けませんけど、歴史小説(特に信長ファンにはいいかも)が好きな人にはお薦めですね(アマゾンのカスタマレビューではかなり酷評されてます)。

私は読み終わったあと、本能寺の変の首謀者として「確かにあいつならやりかねない」と思いました。光秀、秀吉、家康、京の公家、豪商、その回りにいる人々そして太田牛一。本能寺の変を巡って多くの人の思いが絡み合い、一つの出来事に昇華していく・・・著者は構想を思いついてからかなりの年月を費やして書いたようで、草稿はかなりの枚数になったことがあとがきに書いてありました。

著者の加藤さんは信長が好きなんですかねえ。なんか読み進んでいると、信長が好きで好きでたまらないんだけど、でも彼がやったことはすべて許せるわけではない・・・それをあえて許せるとすると、志の高さを考えたときだ・・・と訴えているようでした(というより太田牛一に言わせてました)。信長ファンであるという小泉さんが気に入るのも無理はないですね。

後世から見ると、あの時点で信長が倒れたのは歴史の必然みたいに思えなくもないですが、どうだったんでしょうねえ。そもそも歴史に必然なんてことがあるんだろうか。すべては確率的なもの・・・ん?

人間五十年 下天の内を比ぶれば 夢幻のごとくなり 一度生をうけ 滅せぬもののあるべきか

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