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下山事件 最後の証言

久々にわくわくしながら読んだ。

下山事件は戦後すぐにあった数々の不可解な事件を代表するような事件で、現職の国鉄総裁が轢断死体で発見されるというものだった。 おそらく高校で日本史を選択していれば必ず出てきたはずだ。下山、三鷹、松川という国鉄をめぐる3つの事件が当時の時代背景とともに紹介されていたと思う。

4396632525 下山事件―最後の証言
柴田 哲孝
祥伝社 2005-07


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正直、読み終わった今、この本の内容をどういう風に受け入れたらいいものか・・・素直に受け入れるのがいいのだろう。あまりに壮大で終戦直後の裏面史が浮き彫りにされているので、狐につままれたような感じになる。

おそらく事件において中心に近いところで関係していたと思われる人の家族が書いた本書は、その歴史的背景から、関係者の利害関係まで視野に入れて、下山事件の構造を検討している。そこには身内だからこそ得られた情報もあり、その文章には説得力がある。

当然、なぞに包まれていた下山事件の解答編のような本書は、推理小説としても一級品と言っていいかもしれない。今年の「このミス」でどのように位置づけられるのか楽しみだ。

歴史が好きな人も興味深く読めるであろう。本書を読むと、日本でさえ、第二次大戦直後は世の中が非常に不安定であり、当時の状況ではどちらに転ぶか分からなかったとうことが理解できる。

その中でいろいろなステークホルダーがそれぞれの利害の下、行動し、世の中を自分の有利な方向に動かそうとした。さまざまな利害が絡まる一つの象徴が当時の国鉄であり、その交差点にいた人が下山国鉄総裁であったということがよ〜く分かる。

文句なく面白い本である。

konstanzeさんの「千の天使がバスケットボールをする」にTBしました。

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