日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

小説「極秘指令・・・2k×3」

この小説は、(すでに還暦を迎えてしまったが)戦後日本の裏面史とも言える企業の生き残りの闘いを描いたものである。

今回、幸運にもこの題材を扱うことができたのはラッキー以外の何ものでもなかった。著者が私である必要はなかったのである。たまたま私がこの小説を書く機会を世の中から与えられたと捉えることが一番正確だろう。

21世紀に突入した今日、日本経済はIT化が進む一方、多くの人はそんなこととは無関係に生活している。そのような情景を描写することで、現在の企業のおかれている厳しさがより浮き彫りになるのではないかと思う。

さて、それでは本題に入っていこう・・・

第一章 200×年10月下旬、某企業にて

その男は、闇の上司からひそかに呼び出された。

闇の上司は何も言わず、紙を示した。その男が書類を読んでいる間、じっと目を瞑って構えている。そして一通り目を通し終えたことろを見計らい、徐に「上からこういう指示が下りてきた。こちらの思惑とも一致する。是非、計画を実行に移し、完遂しなければならない。」と低い声でつぶやいた。

その男は静かに頷いた。続いて闇の上司は

「この計画には向こう側の思惑も見え隠れしている。また最初に発案した組織と、最終的にわれわれが取り組まなければいけない場所は直接は関係ない。非常に難しい内容になる。」続けて闇の上司は・・・

「そこで君に頼みたいのはとりあえず取っ掛かりを作って欲しい。急ですまないが、ここはわれわれが大きく踏み出せるチャンスだ」そして最後に・・・

「2kを3本だ。頼んだぞ」と言った。聞き取れるか聞き取れないか微妙な声量の闇の上司。その声には一種の緊張感が伝わってきた。

「やらなければ行けない・・・このままでは闇の世界から足を洗えない。いいチャンス・・・否、最後のチャンスかもしれない」

「2kを3本はなかなか難しい・・・でもやらなければ、俺たちに明日はない

その男は大きくため息をつき、大きな指名に押しつぶされそうになりながら、しかし、しっかりした足取りで自席へ戻るのだった。

その男はつくづく思う。所詮人間は社会という大きな機械の歯車でしかない。どんな立場の人もそうだ。

どうせ歯車なら、わずかな期間でも、どんなに小さい動輪でもいい、それに少しでも近い歯車でいたい・・・つまり世の中を動かす側に回りってやりたいと思うのだった。

そのとき、男の頭の中にはチャップリンのモダンタイムスが浮かんでいた。

極秘指令2k×3はその男にそれをかなえる最後のチャンスと言えるものだった。

To be continued