自分らのやっていることって、文献調査、インタビュー調査、アンケート調査でいろいろ情報を集めて、それを分析してアウトプットとして、記事を書いたり、論文を書いたり、報告書を作成したりすること。
どのアウトプットの形を取るにしろ、それを作成する目的があります。その目的はその人の立ち位置によっていろいろあります。ジャーナリストにはジャーナリストの、企業人には企業人の、研究者には研究者の探るべき目的があります。
われわれ、社会科学分野の研究の端っこにいるものとして、日々の営みの目的は、人間行動の真理を究めるところにあると自分は考えます。つまり自分の研究はもちろん、クライアントからの受託研究にしろ、読み物としての投稿記事にしろ我々が何かアウトプットを出すときは何らかの人間行動の真理を探る行為(≒研究)が入っているはずということになります。
例えば、ICTを使ったサービス(モノでも同じです)が普及するのはなぜか?ということを明らかにしようという試みで考えてみると・・・
単に「便利」だからということでは、明らかにしたことにはなりません。その「便利」の中身を問うことになります。そのプロセスのとっかかりが調査であり、その調査で集めた情報を使って「便利」の中身を具体的に明らかにすること(真理を探究すること)が分析になるのです。調査から分析の一連の作業全体が研究ということになります。
調査をするには、調査手法のマスターが必要であり、それは文献調査、インタビュー(ヒアリング)調査、アンケート調査等における方法論があります*1。
社会科学の場合、数学や統計学はそれらを理解するための一手段です。分析でも同じ。
一方、分析するには、経済学、経営学、社会学等の学問分野のフレームを応用する必要があるでしょう。
例えば、経済学のフレームを使えば、ステークホルダーとして認識すべきは、サービスの供給者である企業であり、需要者である消費者でしょう。その企業も競合他社であったり、下請け関係であったりといろいろな形が想定されます。消費者もいろいろ分けられるでしょう。その分類学を経済学のフレームで行うということになります。研究目的によっては、規制機関としての政府や競合先としての海外企業が入ってくるでしょう。
およそ人の経済行動や社会の経済現象を分析しようとする限り、経済学、特にミクロ経済学の知識は必須となります。経営学やマクロ経済学は応用ミクロ経済学の一分野という位置づけになります*2。
同じサービスを分析するにも、社会の成り立ちや関係を分析するとなると社会学の分析フレームが役立つでしょう。その場合は、地域社会や家族などの社会関係がステークホルダを分析する際の基本になります。
つまりわれわれ研究の片隅にいる人間は、何らかの研究をしたければ、調査手法と分析手法の両者をマスターする必要があるということです。 特に実証分析を志すのであれば両者をマスターすることなくして、研究は完結しないのではないかと思います。
文献調査だけでは説得力に欠けるのは、調査から研究の一連の流れを考えただけでも明らかでしょうし、昨今のエビデンスベースの評価ということを考えれば、定性情報にしろ、定量情報にしろ、一次情報*3が重要であることは明らかであり、文献調査だけの限界はおのずと明らかでしょう*4。
荒っぽい議論ですがご容赦を。
なぜこんなことを書いたのかは・・・謎です。