日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

競争評価2004:選択しないという選択肢

市場画定の議論で一つの判断材料として価格弾力性を計測する。その際、BB市場は長期時系列データがないから、クロスセクション・データを持ちいらざるを得ない。なお且つ、利用者側の利用データでそれなりのサンプル数を集めようとすると、アンケート調査ということになる。

アンケート調査は各人の選択行動を集計データに比較してかなり細かなところまで聞き出せるので、個人の意思決定行動をモデル化することが考えられる。その際、消費者行動は、ある財・サービスを購入するか否かというような0,1の選択状況をモデル化することになる。これが一番の基本形で、複雑な選択状況を描写する場合はこの部分が変わってくる。例えば、二項選択から多項選択へ、一段階から多段階へと言う具合にだ。

これまでの需要モデルでの一つの問題点は、契約しないという選択肢が入っていないことであった。これを直接モデルに入れないとデータとしては本来入っているべき、未加入という選択肢が抜けることになり、その分、推計結果が歪むと考えられる。そこで、この部分を改良する必要があるわけだが、その際にどのようにモデルに組み込むのかが問題になる。

今年は、この部分はモデルを切り離して、まずインターネットアクセスサービスに加入するか否かのモデルを作り、全体のインターネットユーザ数を計測する。その後にBBとNBのモデルを作り、計算する。BBとNBの部分に関しては、今年は標本抽出も改善されているので、後は価格指数をうまく作ることが課題として残っている。

昨年度までのモデルは未加入という選択肢は考慮していなかった。未加入という0の選択肢を多項モデルないしネストモデルに入れるときには、別の考慮が必要になるように思われる。まず一つは、帰無選択肢がある場合、そのサンプリングは選択肢ベースの標本抽出ではいけない可能性があること。モデルの中に価格指数をどのように組み込むか、具体的には「加入しない人が直面する価格指数は何か」という部分を検討する必要があること。

現状では価格指数の結果がうまく出ない。プラスになってしまう点がちょっと問題だ。そこをクリアし、算出された選択確率が現状を説明できるものなのかを把握しなければならない。価格指数の作成方法はまだ見つかっていない。

一応、ここまでは分かってきたが、これらをどのように解決していくかはまだ明らかになっていない。

上記の話は、競争評価で市場画定するときには問題ないかもしれない。それはすでにインターネットを利用しようと決めている人がどのサービスを選択するかという点が分析対象であって、利用しない人は分析対象には入らないからであると考えることもできる。しかし、インターネットアクセス市場の需要モデルを考えるときには検討しておかなければいけない点だと思う。