日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

競争評価2004:サンプル

競争評価の定量分析については、もう一つ、気になる部分がある。離散選択モデルを推計するために使ったサンプルのサンプリング方法とその数だ。

サンプリングの問題は、サンプルが母集団を代表する部分集団として適切かという問題にかかわる。サンプル数の問題は、推計の際の信頼性の問題にかかわる。ここではまずサンプリングの問題から考えてみる。

通常、市場調査では母集団を代表するように無作為抽出が行われる。層別や二段階にすることはあっても元は無作為抽出であろう。ところが、離散選択モデルは必ずしも無作為抽出が支持されるとは限らない。理由は、次の通り。

離散選択モデルを使う場合、各選択肢(昨年度の例ではナローバンド、ADSLFTTH、CATVなど)のユーザがどういう特性を持つユーザであるか、あるいはどういう特性を持つサービスがどのように選択されたかという情報が重要になるため、各選択肢についてそれなりのサンプル数を集める必要が出てくる。

そのようなとき、無作為抽出を使うと、例えばFTTHのように普及し始めのサービスについては、ごく少数のサンプルしか入手できず、FTTHの選択行動を推計するには不十分な情報しか集まらない可能性が高い。よって、離散選択モデルに使うデータのサンプリングには、選択肢に注目し、選択肢ごとにある一定規模のサンプルを確保する方法が取られる。これをChoice based samplingという。

このサンプリング方法を用いたときの注意点としては、個々の選択肢別のサンプルが、そのサンプルの特性ベクトルにおいて無作為性が達成されているかという点である。これは調査後、公表統計データなどと比較して検証する必要がある。

昨年度のサンプリングはそのようになっていたのであろうか、今年度はどうするのであろうかという点が気になる。

さらに、ある選択行動を取る人は無数にいるわけで、推計する場合にはそれらの人々の情報をなるべく吸い上げることが重要となる。そのとき、必要とされるサンプル数はどのようにして求めれば良いのであろうか。

例えば、昨年度の離散選択モデルは799であったわけだが、それでBBサービスの離散選択モデルを推計するのに十分なサンプル数と言えたのであろうかとうのが次に気になる点である。

これについては明日続きを書こうと思う。時差ぼけによる体調の悪さで最悪。

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