阿佐ヶ谷自体、行くのは初めてだったかもしれない。今日のお店は、JR阿佐ヶ谷駅を降りて南口へ、アーケード商店街を抜けて住宅地をしばらくいくとある。入り口は目立たないのでうっかりすると通り過ぎる可能性が高い。
店内は、コンクリート打ちっぱなしの壁、カウンターのみのシンプルな作り。そこを女将が一人で切り盛りする。この日は我々4名と他に2名、計6名だった。
料理はコースのみ。先付けから煮物までとその後に土鍋ごはんをつけるかが選択できる。お酒もこの時は9種類ぐらい日本各地の銘酒が揃えてあり、料理と共に楽しめる。最初に黒ラベルで喉を潤し、その後、4種類の地酒をいただいた。もちろんどれも美味しく飲めた。この日もいただいたが、最近、塩竈の阿部勘*1が置いてあることが多く、個人的にはこの蔵の酒をここで飲めるのが嬉しかった。
さて料理。まずは先付け2品。最初は、枝豆と生海苔の冷製茶碗蒸しだ。暑い中を到着し、ビールで喉を潤した後に最初に味わう料理。涼しさをさらに確かなものにするために枝豆と生海苔、そこに焼きとうもろこしが載る冷製茶碗蒸し。
2品目は、一転、暖かい料理。大山鶏ツミレときのこのお出汁とお椀が出される。落ち着いた体に暖かい出汁、暖かさが体に染み渡りホッとする。きのこの歯触り、つみれの柔らかさにハッとさせられながら味わう。シンプルだけど、予期せぬ美味しさが口の中に広がる。
そして刺身だ。本鮪赤身漬け、真こち、酢〆あじの棒寿司の3点盛り。白身の真ごちが舌触りと真ごちの美味しさを堪能できる。赤身の漬けは切り身の美味しさが良かった。そして酢〆あじの棒寿司は、旬の味、あじをこう食べさせてくれるかという感じ。いいねえ。
料理は4品目の揚げ物だ。自家製胡麻豆腐のあげだしが目の前に。胡麻豆腐の濃厚さが揚げ出しになっているというところが初めてだった。出汁も美味しく、初体験の胡麻豆腐の揚げ出しの美味しさが印象に残る。
肴物として5品が少しずつ出てくる。真あじの南蛮漬け、鶏ごぼう味噌のもろきゅう、ブルーベリーの白和え、福耳とうがらし ちりめん山椒炒め、そしてマカロニサラダ。どれもお酒のつまみとして申し分ない。この量がまた何とも言えない絶妙な量で、酒をちびりと口に含み味わった後に、つまみを小分けにして少し食べる。酒の後味がつまみの味と交わり、そこにまた酒を注ぎたくなる。
土鍋前の最後の料理が、煮物として、夏野菜と素麺の冷やし煮合わせを出してくれた。茄子、アメーラトマト、ズッキーニ、オクラ、焼きもろこしと夏野菜をいろいろ楽しみながら素麺を啜る。シンプルな素麺が、5種類の野菜に彩られ、味もいろいろ楽しめる一品。
お腹の具合によっては、ここで終わらせてもいい。ここまで来たらやはり最後の土鍋ごはんをいただきたいと思うだろう。しかも鮎の土鍋ごはんだという鮎好きとしては是非とも食べたいと思ったのはいうまでもない。
この日は和歌山の鮎だったそうで、形、大きさもいい感じだ。土鍋の蓋を取った瞬間に広がる鮎の香り。これはたまらない。熱々のうちに身を素早く骨から外しほぐす。ご飯と軽く混ぜふっくらよそってくれる。糠漬けと味噌汁もそれぞれが美味しくかつ鮎の炊き込みご飯に合う。
この鮎の炊き込みご飯は美味しかった。鮎の身だけではなく、皮目の美味しいところとご飯の味と一体となって味わえる・・・幸せを感じる一瞬。
夕方6時から9時過ぎまで、4人で話す話題も楽しく、料理をさらに美味しいものにしてくれたし、料理はシンプルでいろいろな味が楽しめるように調理されていて、とても贅沢な時間を過ごさせてもらった。
これは再訪間違いなしということでお勘定を済ませて阿佐ヶ谷の駅への道を帰って行ったのでした。
ごちそうさまでした。
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*1:まだ学生の頃、仙台に行った時にここの四季の松島を偶然飲んで美味しかったので、東京でも飲みたいと思ったが、当時、東京ではなかなか飲めなかったと思う。