岡本太郎といえば、「芸術は爆発だ!」というフレーズが僕の頭には浮かぶ。それからもう一つは、1970年の大阪万博の象徴、太陽の塔だ。
先日、渋谷に行った時、岡本太郎の「明日の神話」が渋谷駅のどこかに展示してあることを思い出し、帰りにちょっと寄ってみた。JRのホームの裏あたりになる井の頭線に向かう通路にそれはあった。これは、「原爆の爆発の瞬間を描いたもの」と明日への神話オフィシャルページには書いてある。戦争の悲惨さを伝える絵画といえばピカソの作品で「ゲルニカ」が思い浮かぶ。岡本太郎はピカソを超えることを目標にしたということだが、この「明日への神話」はピカソがゲルニカを書いたことに対する彼の表現だったのだろうか。
絵を間近に見ると、真ん中の原爆で焼けただれる人、それはすでに骨だけになっている。その姿を中心に周りには多くの人が炎に包まれる姿が描かれており、戦争の悲惨さ、原爆の恐ろしさを訴えかけてくる。
以前は多くの人が立ち止まって見ていたそうだが、現在はあまり立ち止まって見る人はいないらしい。確かに土曜日の夜だったが、僕たちが行った時もほぼ誰も見ている人はいなかった。
これだけの大作だけにちょっと寂しいと思う。