日本橋濱町Weblog(日々酔亭)

Quality Economic Analyses Produces Winning Markets

シンクタンクの仕事

先日、とある金融系シンクタンクのシニアエコノミストの方と話す機会があった。

あまり同業他社の人と話す機会がないので、タクシーの移動中のちょっとした時間を使って、仕事のやり方などを聞いてみた。

金融系のバリバリのエコノミストの方だから、経済分析を主にして、デスクワークが多いのかな?という先入観とともに聞いていたのだが、実態はまったく違ったものだった。

まず仕事のあり方が全然違う。僕のいる研究所は受託研究が主だが、金融系のシンクタンクは投資家に対する情報提供が主たる仕事になるということ。よって仕事の評価も投資家にいかに有効な情報を提供できたかで決まるようだった。

また競争の激しい世界なので人と同じことをやっていては絶対ダメだとも言っていた。

実際の仕事の内容は、この方の場合はマクロ経済分析が主なのだが、そればかりではなく、いろいろなことをやるということだ。例えば・・・

投資家からある資料が欲しいと言われたら、自ら資料の所在を確かめ、電話して入手するということだった。彼はシニアエコノミストがですよ。さらに投資家と投資先の社長や重役などとの懇談会の開催や新しい設備や建物ができたときなどは施設見学会みたいなものも開催するとのことだった。

要するにお客(投資家)が欲する情報を提供するためにありとあらゆることをしているということだった。

シンクタンクあるいは研究所というと難しい理論を振りかざし、最先端の分析をして報告することが主たる仕事で、シニアともなればそういうことばかりやっているというイメージを持ちやすいが実際は全然違うということがはっきりした。当然、そういう仕事をしている人もいるだろうけど。

翻ってわが社はどうか。一言で言ってしまえば、仕事を選びすぎる!ということに尽きる。

クライアントが望む情報を出せるようにすることが第一だということを肝に命じるべきだろう。そのためにはどのような仕事を請け負わなければいけないか、それを可能にするためにどのような知識・スキルを身につけ、コネクションを構築すべきかが自然と問われてしかるべきだ。しかし10年前の仕事のスタイルとまったく変わっていない現実にはこの先に待ち構える結果が分かろうというものだ。

「クライアントの望む情報を出せるようにする」というところを出発点とすれば、海外との付き合い方、アカデミックな世界との付き合い方、業界との付き合い方、それらとのコネクションの作り方、情報発信の目的、方法、必要とされるスキルなどなど、今後の打ち手が明確になるはずだ。

どうも一番大切なこと(「クライアントの望む情報を出せるようにする」)を置き去りにしていないだろうか?

世の中そんなに甘くないというのは誰もが現在ひしひしと感じていると思うのだが・・・変わるなら今だし、ここで変われないなら市場から退出勧告を受けることになるだろう。